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アイリスの深淵~科学と魔法の謎

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魔法と科学の謎に迫るという、SFファンタジー小説を投稿します。 全3話構成になる長編になります。 第1話 魔法学校ギャラクシア 第2話 粒子爆弾と幻の数 第3話 魔界の旅 …
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#魔物

9章 幻の数

9章 幻の数

シェフの生きた時代

エリカは、大食堂で1人食事を摂っていた。

厨房シェフがいなくなったのに、料理が運ばれてくるのは当番制になったからである。

試験期間が開けたこの夜はいつになく賑やかで、特に厨房シェフの話はちらほら聞こえてきた。

「厨房シェフが消えたって本当?」
「ここに縛りつけられた呪いが解けたみたいだよ。」

それに混じり、雑学の話も成されていた。

「縛りつけられているとか、地縛霊み

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7章 魔力と意識エネルギー

7章 魔力と意識エネルギー




薄暗い廊下では、いくつかのランプの明かりが移動する様子と、人影があり、
ゆっくりと静かになっていきそうな消灯前の雰囲気にあった。

そんな微妙に人気のある廊下で、2名の生徒がひそひそと話していた。

「ちょっと目立ちすぎたんじゃないかしら。」
気弱にそう言ったのは、涙ほくろのある女の子、ジャスミンであった。

「おかげで、用務員の顔と名前が割れたからいいんだ。」
そう言い聞かせるように言っ

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6章 魔人の怒り

6章 魔人の怒り

魔人とは

ギャラクシアの大食堂は、バラ窓から注ぎ込む射光による、微妙な明るさの下で、それなりに賑わいを見せていた。

マリア・ルイスは、
食事の入ったトレーを持って、空きテーブルに座った。
1人で無表情に黙々と食べ始める。

エリカはそんなマリアを見かけると、
彼女の元へ行き、意を決して声をかけた。
「ルイスさんお疲れ様です!」
元気に挨拶をするエリカ。

マリアがそれに気づき、微笑で返した。

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3章  魔法遺伝子                  ~第1話魔法学校ギャラクシア~アイリスの深淵より~

3章 魔法遺伝子 ~第1話魔法学校ギャラクシア~アイリスの深淵より~



皇族メイデン・ギャラクシア

快晴の空に、綺羅びやかに聳え立つ巨大な城があった。
お伽噺の絵本から飛び出てきたかのような美しいその景色は、正に帝国メイデンのもの。

城下の賑やかな市場では、果物やパンが屋台で売り出され、絹の羽衣職人や、蛇使いなど、様々な娯楽や売買が成されていた 。

そのような活気溢れる雰囲気の中、1人の少年が、ただ事ではない様子で人々を押し退けながら走っている。

「皇帝陛

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