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5/12まで【写真】Playground Becomes Dark Slowly@日比谷公園

 「日比谷公園で、粋なアートイベントが開催中」アート好きの友人からメッセージが入り、某日の夕刻、訪れてみた。

 ほんとうに粋な、心が動くイベントだった。その記録を手短に写真で。

Park×Art 日比谷からはじまる新たな公園のかたち
「Playground Becomes Dark Slowly」
『Park×Art 日比谷からはじまる新たな公園のかたち「Playground Becomes Dark Slowly」』が2024年4月27日(土)~5月12日(日)の期間、東京都が実施する「花と光のムーブメント」の一環として、日比谷公園で開催されます。
●花と光に「Art」を掛け合わせ「Playground Becomes Dark Slowly」と題したアートインスタレーションを開催。大巻伸嗣氏、永山祐子氏、細井美裕氏ら3名のアーティストによる企画や展示を通して、アート体験をお楽しみください。
●開催期間:2024年4月27日(土)~5月12日(日)
●時間:9:00~22:00
●入場:無料・予約不要

日比谷公園 ウェブサイトより


某日、夕刻、日比谷公園

 銀座方面から、日比谷公園へ。

 公園入口すぐに、地図による作品案内がある。

「はなの灯籠」永山祐子(土曜日開催)

 まず、地図「C」の作品へ。土曜日のみ開催のため、ただ池を観るだけになったけれど、

 水面に花々が浮かぶようすを思い浮かべる。


「余白史」細井美裕

 ふと、ふしぎな音が聞こえて、上を見上げる。スピーカーから聞こえてくるのは、「公園の音」だ。風の音、子どもたちがはしゃぎまわる声。それらが増幅されて、ふたたび公園に放たれていく。

 音を放つと同時に録音も行っている。過去と今の音が混ざり合い、収集されていく。スピーカーは、いろいろな場所に。

「はなのハンモック」永山祐子

 人目を引いていたのは、

 芝生の広場に設置された、この作品。

 注意事項を確認して、作品へ。

ハンモックに寝てみれば

 せっかくだから、少し寝ていくことにした。

 なるほど、ハンモックの下は、花畑なのだ。

 網は、体重をかけても、ぴんとしっかり張られている。

 見上げれば、日比谷ミッドタウン。

 寝転んで、左右を眺める。

 こんなふうに公園を眺めるのは、もちろん初めてだ。

 もう一度戻ってくることにして、次の作品に歩を進める。夕闇が迫り、花壇から漂う花々の香りが、少し強く感じられるようになってきた。

「Gravity and Grace」大巻伸嗣

 遠くに、それは見えてくる。

 シモーヌ・ヴェイユの箴言集、『Gravity and Grace(重力と恩寵)』に由来する本作。シモーヌ・ヴェイユは哲学に詳しい人からその名を訊いて、作品を何作か読んだ。30代で、おそらく自死に近い形で世を去ったフランスの思想家だ。純心、ストイック、という浅い言葉でしか表現できないけれど、著作を読んでいると身をただすとともにせつなくもなる。そのなかでも『重力と恩寵』には、どうしようもないところまで堕ちたあとの、期せずして差し伸べられる恩寵が語られていて、その微かな光が好きだ。
 もちろん、常に激痛ともいえる頭痛や身体の不調に苦しめられながら、才を発揮して哲学教授資格者となり、自ら求めて苦難のほうを常に選び、のちに信仰に目醒めた著者が絞り出した言葉の数々を、それらの基礎知識すらない自分が理解できているなどとは、とても思わないけれど(それより悪いのは、誤読を誤読と自覚していないことだけど)。

 それはともかく、本作のGravity and Graceは、巨大な壺が放つ光と影が織りなす「美しさ」という恩寵の背後には、巨大なエネルギーに伴うリスクもまた見え隠れする、ことを意味する。

ハンモックに、再び

 ハンモックに再び、戻ってみれば

 ビルの窓明かりとともに、

 作品も、夜景の一部となっていた。

 1日の終わりの、時間にしたらわずかなひととき。でも、長い長い旅を終え、帰途に着く気分に包まれながら。

 闇の中で、花が強く薫っている。



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