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時のコラージュ-岡田菜美[The eternal moment](7/3-7/20)


 岡田菜美「The eternal moment」(2024/07/03 -2024/07/20)@gallery UG Tennoz

弊廊で5度目の個展となる本展では、タイトルにもあるように「永遠の瞬間」をテーマに発表。
「永遠の瞬間」という表現は一見矛盾しているように思えますが、瞬間の儚さと瞬間が持つ深い意味や影響力を同時に表現しています。

岡田菜美は、アクリル絵具を何層にも重ね、削り出す行為を繰り返す手法により、抽象と具象が入り混じったような作品を制作。作品には岡田⾃⾝が訪れた場所や見たことのある風景が幾重にもコラージュされ、新しい情景を描き出しています。

幾重にも重ねられた色から生まれるグラデーションは空間に境界を生み出し、光彩を放ちます。印象派の画家たちが色彩と光を追い求めたように、岡田もまた、自身が創り出す景色の中にそれらを追い求めているかのようです。またその光彩は宇宙的、存在論的ビジョンが重ねられており、それこそが永遠の瞬間を求めている現れかもしれません。

同上

 

永遠と一瞬の共存


時のコラージュ

 異質な何かを貼り合わせることで生まれるコラージュだと思い込んでいた。実はアクリル絵具を何層にも重ねてそのあと削ることで生まれるコラージュ風の表現は、その中に作家が過ごしてきた時を織り込んでいるようにも感じられる。


自分の内面を旅する

 作品世界に入り込み、そこで自分の知っているなにかと再会した。

 夢の中に置いてきてしまった記憶を少し思い出したような、でも思い出す傍から消えていってしまうような、ふしぎな感覚があった。


現実に戻ってみれば

 圧倒的な情報が風のように自分のなかを通り過ぎていった。

 そしてふと我に返れば、作品に描かれている美しい世界が、さっきとは違って見えてきていた。


 そしてギャラリーを出てみれば。空の見え方まで少し変わっているように思えた。



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