サマスペ! 九州縦断徒歩合宿(7)
杉の木の香りがひときわ強くなる。丸太が高く積み上がっている材木店の横に電話ボックスがあった。涼がへたり込んでいた所にあったのと同じだ。
悠介は今朝のことを由里がどう思っているのかずっと気になっていた。
「由里さん、涼のことはよく知っていたんですか」
「新人歓迎のイベントの時に挨拶したくらいかな」
五月に催されたウォーキングイベントは和気藹々としたハイキングだった。
「可哀想に、涼君。たった一日じゃ何もわからないのに」
由里が小声で言う。やはり由里も涼を引き留めた