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そのプライドにどれだけの価値があるか

僕にはいつからかプライドというものがない。それが自然に消えていったものなのか、くだらないからと自ら捨てたものなのかはあまり覚えていない。なんとなく後者だったような気もする。

中学生の頃はそれなりにプライドがあったように思う。吹奏楽部に所属し、一年生ながら大会にも出場した。自分がダサいと思うことは兎に角したくなかったし、人に馬鹿にされることにも妙に腹が立った。

しかし、高校2年生になるとそのプライドはあっさり消え失せた。

誰かを見てそうなったのか、環境の変化がそうさせたのか、成長と共に考え方が変わったのかどれにも当てはまらないし、どれにも当てはまるとも言える。

これら全ての要因が結果的に見れば、自分の中の凝り固まったプライドという殻を破ったことになるが、それでも決定的な要因が一つ思い当たる。

大幅な学力の低下だ。

高校2、3年生の頃は本当に勉強をしなかった。宿題もやった記憶がない。

テストの成績はクラスで下から3番目くらいには常に入っていたし、昼休みもだいたいどこかしらの教科の先生の部屋に呼び出されていた。呼び出しを喰らう度ににクラスの笑い者だったが、全く気にならなかったし、僕自身も笑って呼び出された場所へ向かった。

こんな僕でも大学はすんなりと決まった。というか学年で一番初めに決まった。確か3年の9月か10月には決まっていたと思う。

”Admissions Office“

自己推薦入試。いわゆるのAO入試ってやつだ。僕のために用意された大学に入る方法かと思った。

大学には合格したもののますます勉学に励まなくなったので、卒業は学年で一番最後に決まった。

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大学では良い評価をもらうため、それなりにプライド持ち課題に取り組んでいた。

大学2年次に一度挫折しかけたが、その時はとりあえず他に行きたい大学もないし、大卒の資格だけは取ろうと持ち堪えた。

3年次後半からは研究室の配属先が決まり自分の棲家ができた。徹夜で作業もたくさんしたし、友人たちと食事を作り、酒を持ち寄り、盛大に楽しんでいた。

就活には苦労したし、正直失敗したが卒制では最優秀作品に選ばれた。努力しただけあって本当に嬉しかった。この経験はいまでも僕の支えになっている。

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今年に入ってすぐありがたいことにあるアパレルブランドから什器の制作依頼を個人的にもらうことができた。

社会人1年目のときコロカルというウェブメディアで読んだ記事に載っていたブランドだった。

すごく嬉しかった。

納期がある仕事で時間もなかったが、自分のプライドをかけて全力で取り組んだ。何度も壁にぶつかったが、時間もない中、最善と思われる解決策を考えては実行した。

無事納品もなんとか終わりこれから請求書を送る。初めて自分の個人の力で得る報酬。なんだか感慨深い。

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今年に入ってからというもの本当にいろんな出来事が急激なスピードで起きている。

そしていくらプライドを持ってものづくりと向き合っていても、この体調の悪さだけはどうにもならなくなってきている。

徹夜での作業は自分の命を削る行為だと思う。より制作物のクオリティを上げたり、納期に間に合わせるには仕方のないことだということも分かっている。著名な作家や映画監督が命を削ってでも作品が少しでも良くなるなら妥協はしたくないという気持ちもよく理解できる。作品は自分の分身だから。

しかし、それは自分の制作物に対して言えることで他人の作品に対してその思考を持ち込むことは危ういことだと思う。命に変えられるものはないのだから。

そのプライドにどれだけの価値があるか。

8月に入ってから急激に調子が悪くなり、良くなりそうな様子もない。このことが原因で代表の機嫌も良くない。これからの一週間が乗り越えられるか不安だ。そろそろ限界なのかもしれない。

最近よく高校のテストで何も分からず名前を書いて手が止まる夢をみて、心臓ばくばくで目が覚める。ちょっとしたトラウマにはなっているようだ。

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工房準備中 @craftsmans_harbor
制作アカウント @object_wood

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