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既存インサイドセールスチームの2年間の軌跡を全て話します

はじめに

みなさんこんにちは。freee株式会社の高内真登です。ニックネームはa-kun(あーくん)です。
弊社では2022年7月から既存顧客へのアップセル・クロスセルに特化したISチーム(以下、既存IS)を立ち上げました。
このnoteでは、今日までの2年間を3つの期に分け、発生した課題にどう向き合ったかを中心にご紹介していきます。
同じ状況で頑張る方へ少しでもヒントになればと思っております。
※IS=インサイドセールス

また、本noteで記載する既存ISは、私と中泉雄人の2人でマネジメントをスタートしました。(後ほども触れますが、拡大するにあたって現在マネジメント側の人員は増加してます)
そのため、私と中泉の2人でそれぞれの視点から書いていることをご了承ください。


自己紹介


「高内真登(たかうちまさと)-ニックネームはa-kun。SMB事業部マーケティング部新卒研修チーム_SET&Ops。2022年2月中途入社。既存顧客へのインサイドセールスを経て、既存ISチームのマネージャーとして従事。最近の口癖は「ちょっと散歩しながら考えない?」
いいクルクル
中泉雄人(なかいずみゆうと)-ニックネームはyuto。SMB事業部カスタマーマーケティング部既存ISチーム。2019年新卒として入社。新規・既存顧客のインサイドセールスからフィールドセールスを経て、既存ISチームのマネーシャーとして従事。趣味は筋トレ
いい笑顔

2022年7月〜2024年6月の2年間での変遷

「組織・体制」「ISのKPI」「ISのHC」の2年間での変遷をスライドにした画像。詳細は記事の中で紹介

「組織・体制」「ISのKPI」「ISのHC」の2年間での変遷はこちらです。
ここからは、これまでの2年間を大きく3つの期に分けて紹介していきます。

まずは立ち上げ期についてお話しできればと思います。

[立ち上げ期] 期間:FY23Q1〜Q2

先述の通り、2022年7月にfreeeでは既存ISが立ち上がりました。
それまでの体制は、「CSE(Customer Success Expansion)」というチームが存在し、サクセスの延長線上でアップセル/クロスセルのニーズがある企業に対して接触する程度でした。

FY23に入るタイミングに、全社の重要指標がARRだけでなくNRRも取り入れられました。
それがきっかけで、NRRを上げる要素の一つとして、CSEにISマーケ組織を拡充した既存ISが立ち上がりました。

立ち上げ当初のマーケ観点では、そもそも温度感の高いチャネルの母数が把握できていなかったため、「熱いところに熱いうちに適切な回数当たる」ことを軸に人員配置を行いました。
また、立ち上げ時のISメンバーは7名であり、今後上がっていく事業計画に対してヘッドカウントが足りないのは明確な状況だったため、採用活動も並行して進めた時期となります。

立ち上げにあたって、主に発生した問題は下記になります。

温度感の高いリード流入を検知できていない

これまではサクセス・サポートからの連携やユーザーからの問い合わせ対応しかしていませんでした。
そのため、HPや比較系からの資料請求といった温度感の高いリード流入を検知する体制が整っておらず。

そのため、まずは弊社が導入しているMarketoとSalesforceの連携を理解することに努めました。
加えて、新規ISチームの力も借りることで、SDRの流入を全て検知できるようにしました。
その結果、シームレスにマーケティング施策を把握することもでき、顧客の動きをリアルタイムで把握することができるようになりました。

※SDR=「Sales Development Representative」の略であり、顧客からの問い合わせを受けて対応する組織のこと

検知できたリードの優先度が曖昧になっている

リード流入を検知できるようになった後に起こったこととして、想像以上にリードが存在していたことにより、どのリードから当たればいいか混乱が発生しました。

この状況を解決するために、即座にキャンペーン単位でのCVRを可視化し、

①CVRの高いキャンペーンから順にタッチする
②各キャンペーンでの架電回数を最適化する
③SDR専任ISメンバーを増やす

の3点を実施しました。
温度感の高いリードから優先してコネクトするまで架電しきる体制を構築できたことで、コネクト率やトスアップ率といったCVRを向上させることができました。

※CVR=Conversion Rateを略したもの。日本語だと「顧客転換率」と訳される。ここでは顧客にコネクトする率やコネクトしてからトスアップする率のことを指す。

IS架電OpsやFS側とのトスアップルールが定まっていない

架電するリードを明確にするのと並行して進めたことが、Opsやルール設計です。
既存ユーザーに架電する上で、過去の接点を把握することは非常に重要です。
しかし、把握しようと努めすぎると生産性が下がり、必要なトス数を創出できなくなります。
この間での良い塩梅を見つけるのが非常に重要な要素かと感じました。

また、ここでのOpsやルール設計はIS内に留まらず、FSとも密に連携することが大切です。
各プロダクトでのトスアップ基準からヒアリングメモのフォーマットといった細かいところまで、ISとFSで受注に向けた認識を揃える必要がありました。

IS・FSどちらかの要望に寄りすぎないように設計することが重要なポイントでした。

※Ops=Operations(オペレーションズ)の略
※FS=Field Salesの略であり、ISからトスを受けた顧客に対し、営業アプローチを行う組織を指す

既存顧客のTAMに対してインサイドセールスのヘッドカウントが足りていない

一定水準のオペレーション設計や数値の可視化が完了したことで、次のフェーズに移っていくことになります。
弊社の既存ユーザーは46万社を超え、私たちが担当する既存ISの顧客数も数万社いらっしゃいます。
現状のISヘッドカウントではカバーしきれない状態でした。

そのため、これから拡大期に入るにあたって、採用活動を開始しました。
必要な制度や基準、リスクヘッジなどを洗い出した上で、FY23Q3から拡大期に入ってまいります。

立ち上げ期の既存ISチーム(※マーケ3名含む)15名の集合写真
立ち上げ期の既存ISチーム(※マーケ3名含む)

[拡大期] 期間:FY23Q3〜FY24Q2

立ち上げ期が過ぎ、「熱いところに熱いうちに適切な回数当たる」ことができるようになりました。
非常に良い結果(QoQ130%…!)に繋がったことで、既存ISへの更なる期待が予算という形で降りてきました。
※QoQ=Quarter on quarterの略で、日本語で「前四半期比」のことを指す

しかし先述の通り、既存ISの顧客数は数万社を超える中で、当時のIS HC10名ではカバーしきれず。
1年間で1度もお話できていないユーザーも存在し、マジ価値を届けるためにはその状況を改善する必要がありました。

その打ち手となるのが、採用の加速化・採用メンバーの早期Onboarding・適切な評価制度の設計になります。

自チームにフィットする採用基準が定まっていない状態

どんな人が自チームにフィットするのかが明確になっていなく、定性情報に頼った採用活動を行っていました。
そこで、採用チームと連携し、現在のチームに合った採用基準や評価方法の作成を行いました。

優劣があった要因として、体制が属人化していることや採用に関わる経験者がいませんでした。

打ち手として、面接のロープレから過去の面接記録をまとめるフォーマットを作成し、次を担うメンバーに託せる体制を構築しました。

また、人事チームや他チームの採用経験を模倣した後、自チーム特有の質問事項などを追記していきました。
「ミスマッチ」をなくすことを念頭に取り組み、順当に採用活動を進めることが可能になりました。

Onboarding期間が長くハイパフォーマーまでの育成コストが高い

現在freeeには22個のプロダクトが存在するため、これまで採用したメンバーのOnboarding期間には、10営業日以上要していました。
プロダクト数が多くなるにつれ、全てインプットするにはどうしても架電開始までのOnb期間が長くなる状況に陥っておりました。

そこで、まずはfreeeのコアとなるfreee会計 or freee人事労務に絞ってインプットする形に変えました。

その結果、架電開始までを5営業日に短縮し、一定のSAL創出ができるようになったタイミングで他プロダクトのインプットを進めることで、複数のプロダクトを提案できるISへと成長するモデル設計を行いました。

インサイドセールスを定量実績以外で評価できていない

ISメンバーが拡大する中で、定量目標であるSAL/Qだけでは測りきれない評価すべき行動が発生するようになりました。
また、ARPUが高いSALを多く生み出すために、複数のプロダクトを提案できるISを増やしていきたい意向もあり、SAL以外でも評価項目を設定すべきだと考えました。

具体的な項目は、「SAL/Q」「提案可能プロダクト数」「ISスキル」「業務へのマインド」の4点を掛け合わせて制度設計しました。
※SAL/Q=1Q当たりのSAL数

その結果、ストレッチな目標設定にも耐えうる組織へと強くなっていったと実感しております。

お話しできていないお客様が一定数いる状態

拡大期の冒頭で記載した、採用の加速化・採用メンバーの早期Onboarding・適切な評価制度を前述のように整えていきました。

そこに次いで、ご案内可能か否かの社内調整や適切なご案内のための情報蓄積も課題でした。
架電準備から架電処理までの時間が他チームと比較して長いため、ご案内可能か否かが一目でわかる項目をSalesforce内に実測しました。

また、「架電準備〜処理まで」と「Salesforceの情報蓄積方法」のマニュアル作成を行い、1年以内にご案内した顧客カバレッジ率が75%→100%へ向上しました。

拡大期の既存ISチームがお店で集まっている写真。総勢25名がにこやかにうつっている。
拡大期の既存ISチーム(マーケも増えました)

[成熟期] 期間:FY24Q3〜FY24Q4

既存ISチームとして、成熟期に入っていきます。
将来的な組織を見据えた編成が行われた時期です。

既存顧客を対応するチームが6チームに別れ、他事業部に所属していたメンバーで構成されるチームが大枠を占めました。
各チームをみると、インプット内容や環境が変わるため負荷がかかる時期でした。

また、過去は「量」が優先されていましたが、「質」を重視する比率が上がるため、顧客との対応方法も変化していきました。

「質」を重視するために取り組んだのは、プロダクト訴求型から課題訴求型のアプローチに変更することです。
お客様へ価値を提供する機会を増やしていくため、伴走型に近い体制となります。

歩みの中で起きていた問題から打ち手を簡単に記載します。

チームが6つになることで、別チームの情報キャッチアップが難しい状態

チームリーダーとチームメンバーが増える一方で、連携の強化が必要な状況となりました。
議論や情報交換の場を増やすため、会議体の設定やメンバーへ共有する場を策定しました。

限られた時間内で終わらせるようにアジェンダを切ることをして、必要な情報を漏れなく伝達し、次のアクションを明確にする場を構築できました。

頻度としては、週1~2回のリーダーmtgを開催し、各自チームのメンバーに落とし込みを行いました。

メンバーの意識やスキルに長短が目立つ状態

様々なチームに所属していたメンバーの合併があり、スキルやナレッジの基準が曖昧な環境でした。
マーケティングチームとFSチームと横連携を取る上で、メンバースキルの平準化や向上は欠かせません。

そこで取り組んだこととしては、6チームの中で先駆けてナレッジ蓄積ができているチームのノウハウを横展開しました。
また、他部署からの勉強会も積極的に開催しました。

MK/IS/FS間で連携が取れていない状態

KGIやKPIが異なり、チーム毎に短期視点や長期視点の目線合わせができていませんでした。
その結果、お客様に提供する体験に一貫性を持ちにくいなどの課題が浮き彫りとなります。

そこで、共通の目指すべき姿を持つため、今四半期に優先するべき事項をOKRに入れてまとめました。
連携を更に強化したい場合は、評価基準なども足並みを揃えられると良いと考えます。

上記以外にも沢山ありますが、
日々、各チームでPDCAを回していきました。
※MK/IS/FS=マーケティング/インサイドセールス/フィールドセールス

成熟期はまだ集合写真がないため、最新の僕らのツーショットをどうぞ。

[終わりに]

ここまで読んでいただいた皆さん、ありがとうございました!
今後の既存ISの展望としては、お客様の属性に合ったチームを「マーケ・IS・AE・CS」を横断して、マジ価値を届けられる体制を構築していきます!

このnoteが、インサイドセールス組織の立ち上げに日々奮闘している方にとって少しでも参考になれば幸いです。
真似できるところはどんどん真似していただき、SaaS業界やインサイドセールス職の更なる発展にご活用いただければと思います!

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