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蝉時雨、耳鳴り

太陽を隠した雲の縁が
銀色に透けてグリッター
あの夏が来たと勘違いして
黒い駅のホームに鳩が堕ちる

慰めは高い塔 青い光の点滅に
フラワーダストの瞬きを重ねた
低く低く飛行機は翔けて
手を振る人は5秒間の物語になる

放射 火花 咲いて 静寂
次の灯火は誰の残像?
網膜は正常で 偶像を殺めたのは僕の脳
結べない 無数の残響

僕の目の中で 君は死ぬのさ
絶えず屈折する希望
涙から掬い上げた金魚は共喰い
長く伸びた髪と朝顔の蔓に蝕まれて、幻影

永遠の蝉時雨は 片手で払いのける灰に似て
乾いた十字架に 翅をむしり取って捧げる
夕立の記憶だった

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