放課後から砂場まで

スターチスの紫が錆びて
幼いウサギの瞳の色に 変わりゆく
チャイムで守られた箱庭に
片足だけ靴を落として 君は卒業した

初めて見たクラスメイトは 春の雨の日
右の頬を濡らして 笑っていた
2人に1人が 黄色い傘を開かない 通学路
空いた片手は アドレセンスの無防備さで

赤信号が膨張して 進めない夕暮れ
あどけなさで 足踏みする ステップに
うつむく君は バランスを崩した
不意に目に入ったのは 遅咲きのバイオレット
君のピルケースと それは同じ色だった

いつだって会話で 呼吸は苦しくなるから
赤いジョーカーを 手札に忍ばせていた
千切れた出席簿のボールペンで
明日の日付に 斜線を引く

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