電解する手
フラスコに生けた白百合に
飲み込んだ嘘が 析出してしまう
裏切りと優しさのグラデーションで
染まっていく水溶液
君の涙を吸い上げた試験紙は 無反応だった
悲しくなくても泣いて
嬉しくなくても笑って
嘘を謳歌するこの〈実験〉に 終わりは来るの
投げ銭を受け取った白衣が 我を忘れて笑った
ああ ほら また 君を傷付けたくなる
溶かそうと思えば 君は一人で溶けてしまうから
混ざっても僕は 触媒のままだね
二人でいるのに どうしてこんなにも
離れているの
立てた仮説は ただの妄想に成り下がる
理科室のカレンダーの鯨が泳ぎ出す
いらない 僕は もう いらない
今日も化けられなくて
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