バニラの天蓋

君のシャンプーの匂いが
金木犀の香りを打ち消して
はらはら この夜に 堕ちてゆく
橙の花 暮れたら 淡い白 纏って 融解

天の神様の言う通り 指差して選んだのは
君の声
首に 目蓋に 指先に
季節外れの雪に散った 椿と見紛う
子猫が路地裏で戯れるみたいに
ふざけて 二人で幸せになれるから
朧月の瞳は そっと閉じていて いいの

一人じゃできないやり方で 幸せになれるなら
一人じゃなくても 幸せになれるなら

君は、なりたいの、愛で幸せになりたいの?

君のことが見えなくなっても 分かるように
歩いた跡には 沈丁花の花が 散るように
ねぇ 祈ったって 枯れないの
霞んで 揺らいで 君の影 遠くなってゆく

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