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ストレス社会に求められるレジリエンス

採用関連の仕事をしていると最近よく見聞きするのが「レジリエンス」という言葉。海外では「未来に向けて最も強化すべき能力の1つ」と言われていて、求める人物像の欄にもよく記載されています。今回はそのレジリエンスについて、まとめてみました。


・そもそもレジリエンスとは?

「レジリエンス(resilience)」とは、「回復力」「弾性(しなやかさ)」を意味する英単語。元々は物理学、環境学などの自然科学分野で生まれた単語みたいですが、ストレス社会と言われる現在では、心の回復力(精神的な強さの指標の一つ)を説明するものとして、幅広いジャンルで使われる重要なキーワードになりつつあります。

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・なぜ注目されているのか?

ここ数年で働く環境は激変しました。変化に対して柔軟な対応が求められる一方で、短期間で具体的な成果が求められる仕事が増加。またリモートワークが中心になって何気ないコミュニケーションにストレスを感じやすくなりましたし、時短営業・外出自粛などでストレス発散する機会もかなり減ったと思います。

実際、勤務先でストレスを感じている人の割合は約8割と言われています。どんなにやりがいのある仕事でも、大なり小なりのストレスを感じることになります。そうなると大事なのは、ストレスが降りかかったときにどのように自分の心をマネジメントしていくか。

ストレスマネジメントについては、以前にnoteを書いているので割愛しますが、とりわけ社会人デビューしたての新入社員は、ストレスや逆境への耐性がほとんどありません。なので、心が簡単にポキっと折れてしまって、早期退職に繋がるケースも少なくありません。

なので、職場のレジリエンスを高められるような人事労務施策の実施する企業も少しずつ増えてきました。欧米では、リーマンショック後に多くの企業が従業員にレジリエンス研修を提供し、病気にならずに不況を乗り越え、仕事上の変化を受け入れ、新しいことに挑戦する柔軟性を育成したようです。

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・レジリエンスを構成する6つの要素

要するに「さまざまなストレスを跳ね返す力がレジリエンス」ということなんですが、レジリエンスの構成要素としては、6つ挙げられています。

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図:レジリエンスの6つの要素
出典:©Positivelives Ltd./©レジリエ研究所(株)日本語版

一つ一つの説明は割愛しますが、「レジリエンスの高さ」と「自己認識の度合い」は比例していると思います。自分の思考スタイル・感情表現の仕方・行動パターン・強みと弱みなどをちゃんと認識していると、思い込みや理想ではなく、事実に基づく本質を理解できるようになります。そして、正しい自己認識は、事態の把握や自分が何に何を感じているのかを正確に知ることができ、逆境時の適切な行動に繋がります。

また、楽観的に考えることができるかどうかも個人的には重要だなと思います。関連するnoteは以前に書いているんですが

楽観的であれば、難しいミッションや課題に対しても「自分は達成できる」と信じて挑戦することができますし、たとえ失敗したとしても、それを糧に成長できます。

自分を否定するんじゃくて、「自分は困難を克服できる」「自分は現状を変えられる」と考えることができる思考性・精神力をもった人はレジリエンスが高いなと思います。


・今すぐ実践できるレジリエンスの高め方

レジリエンスの高い人の特徴について簡単に触れてみましたが、レジリエンスは「才能」や「遺伝」ではなく、誰でも身につけることができるスキルです。ですので、最後に今すぐ実践できるレジリエンスの高め方についてまとめていきたいと思います。


①自分の「思考の癖」を理解する

まずレジリエンスは「思考の癖」とか「仕事上の習慣」といった側面が強いです。なので、効果的なのは「過去を振り返る」ことです。乗り越えてきた経験とか落ち込むような経験を振り返って、物事の事象やパターンを理解していく。そこから自分の思考の癖を理解する。

人には経験や性質に基づく思い込みとか思考パターンがあるので、それを自覚して癖を認知すれば、よくない部分もコントロールできるようになります。特にネガティブな思考の癖(減点思考・べき思考・悲観思考・無力思考・自責思考・他責思考・無責思考)は自覚しておきたいところ。自覚してコントロールできれば、自分の感情に振り回されて必要以上に疲れることも少なくなります。


②小さな成功を積み重ねる

難しいミッションや課題だったとしても、現実的に見通しの立つ最小単位で目標を区切って設定して、それを完了するごとに自分自身を褒め讃えるようにしましょう。ポジティブな捉え方ができるようになると、逆境に強い心を養うことができます。

また、これまでの成功体験を書き出すこともオススメです。乗り越えて来た体験を視覚的に分かるようにすると、乗り越えるヒントに繋がる可能性があります。

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③ロールモデルを見つける

自信のなさが強い場合には、成功をイメージしやすいようにロールモデルを見つけると良いかなと思います。自分以外の上手くやっている姿を近くで観察し、自分にもできるかもしれないと信じ込むこと。ロールモデルがいると、それだけで目標が鮮明になりますし、目標達成も現実味を帯びてきます。こうしたちょっとした希望が、ゆくゆく自信に繋がります。

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④家族や友人とのプライベートな時間を確保する

安心して仕事に取り組むための基盤は、大切な家族・友人との良好な関係性や趣味に没頭できる時間です。ビジネスマンとしての仕事生活は数十年に及ぶマラソンのような長期戦。仕事に常に100%全精力を注ぐのではなく、心の余裕を保つためにプライベートや生活基盤を安定させることも気を配った方がいいかなと。

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「健全な精神は健全な身体に宿る」と言いますが、いつも疲れている状態とか体調が優れない状態だと、やっぱり気持ちもポジティブになりにくいです。めちゃめちゃ基本的なことですが、食事・運動・睡眠を健康的に行えているかどうかは大切です。毎日の歩く距離を伸ばしたり、週に1回は運動したりするだけでもかなり違うかなと思います。

・・・

変化が激しく、不確実性が高いストレス社会自体を変えることはできませんが、「ストレスが降りかかったときにどのように自分の心をマネジメントしていくか」は自分自身の問題。どう捉えるかです。

変化を拒むのではなく、むしろ変化を楽しめるようになれると最高ですね!


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