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「大人になる」とは我慢することではない。

「大人になる」って言葉は、「社会規範を身につけて、環境に適合していく」みたいなニュアンスで使われますが、実に抗いにくい言葉だなと思っています。これはキャリアコーチングで色んな方の人生をお伺いする中で感じました。

家でも学校でも、「こうしなさい」「こうしちゃダメ」という躾や教育を受け、スムーズに他人と関わりながら社会に適合していく術を学んでいきます。しかし成人を迎えて以降、「もっと大人になれよ」という言葉は、何らかの我慢をして、周りに合わせようと圧力をかける場面でよく使われる気がします。

たしかに「もっと大人になれよ」と言われると「そうかな...」と一瞬感じてしまいますし、反論をすれば、自分が幼稚でダダをこねている子供のようにすら感じます。しかし、正論っぽい言葉を鵜呑みにして、自分の行動とか発想を躊躇すれば、どんどん自分の世界は狭く窮屈なものになっていきます。

本当に成熟した大人って、簡単に自分を他人に預けて周囲に迎合するような人間なんでしょうか。

学生の頃から武井壮さんの考え方が好きなんですが、この動画で語る「大人の育て方」にはとても共感しました。

私は「大人」とは、自分や社会が縛っている根拠のない常識やルールを疑い、物事の本質を追求し、自分の意志で生きる人間だと思っています。

そもそも自分の生き方、自分の主張に自信があれば、他人の目を過剰に気にすることはないはずです。それは自分の考え方に固執するということでもなければ、他人に強要することでもなく、「そういう考え方もある」と受け入れること。それは受容・許容の精神であり、「他人は他人、自分は自分」という違いを認め、その違いを尊重できるということでもあります。

そして「好きなものは好き、嫌いなものは嫌い」などの感情を素直に受け止め、それを冷静に認識して、自分にとってより合理的な行動に変換していくことでもあります。

そのためには自分の力で変えられることと変えられないことを識別する冷静さを、変えられることを変えようとする勇気を、変えられないことは受け入れて対応する度量を持つことです。

自分なら何を変えられ、何を変えられないのか。変えられないことがあるなら、それを前提に、どう受け止めれば自分は満足し、納得できるのか。自分の優先順位にしたがって、自分を苦しめている環境や自分の考え方を一つ一つ紐解き、自分の人生のハンドルを自分で握っている実感を持つこと。

これが「大人になる」ってことではないでしょうか。


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