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採用がうまい企業ほど「業務委託」を戦略的に活用している

先日何気なくしたツイートに思いのほか、反響があったので久しぶりにnoteを書いてみました。

私自身も、昨年8月から個人事業主として業務委託でAutifyの採用に関わるようになり、今年4月に正社員にコンバートしました。

もちろん色々と背景はありますが、業務委託として関わる中で見えた実態と今後のキャリアを考えた上での決断でした。具体的には…

・現状の課題や期待されていること
・課題に対してすぐ貢献できることと、キャッチアップすべきこと
・経営陣の組織や社員に対する考え方
・外から見る事業・組織と、中から見る事業・組織のギャップ
・事業の将来性
・グローバルな組織・英語を使う環境か

などがクリアになったからです。私の場合、20代で4社目になるので、こういった点がクリアな上で決断できたことは本当に良かったと思っています。

また私の場合は、会社員→独立・個人事業主→会社員+副業、といったキャリアでしたが、一般的な転職の場合でも、会社員→副業で一定期間の業務委託→業務委託先に正社員として転職、という流れは最近、本当に増えたように思います。

その背景には、副業やリモートワークなど働き方の自由度が増したことと合わせて、依然として続く採用難やミスマッチリスクが関係しているかなと。

スタートアップであれば、短期間で成長が見込める事業を複数、同時並行で進めているケースも少なくありません。そのため、1人が抱える仕事量が増えてしまったり、挑戦したい分野のスキルを社員が持ち合わせいなかったりと、新たな人材を必要とする場面が出てきやすい。ただ知名度もないスタートアップがすぐに優秀な人材を採用できるわけでもなければ、そもそもの前提が崩れることも多々あります。

しょうがない部分ですが、スタートアップになればなるほど未来に投資してもらうしかないので、面接や面談でも「未来」とか「希望」の話が多くなると思います。しかしそれは「現時点の未来」であって、明日にはその前提が崩れているかもしれません。なので、正直「実態」を掴むのは困難です。

百聞は一見にしかず

ここ数年で採用市場も大きく変わり、各社オウンドメディアやWantedlyなどでの発信を強化するのが当たり前になりました。加えてNewsPicksさんやForbesさんのように、求人+記事というパッケージが増えていますし、採用広報を”採用担当の一業務”としてではなく、専任を採用するケースも増えました。去年くらいからはMeetyなどでカジュアル面談が一気に広まり、「気になることがあれば会社ではなく社員に直接話を聞く」流れにもなってきました。

つまり「単に求人を見て応募してもらう」から「ストーリーを感じてもらい、より共感してもらった状態で応募してもらう」へのシフトチェンジです。ただ百聞は一見にしかず。それでも入社前に「実態」を掴むのはかなり難しいです。

そんな背景からか、採用の上手な企業ほど「業務委託」を意図的に使い、優秀な人材を囲い込むようになっているように思います。例えば、LayerXさんや10Xさんは意図的に一定期間のトライアル入社を設けたりしています。

正社員として採用する前に、一定期間「業務委託」として週1〜3とかで、実際に会社の中に入って働いてみる。お互いに面接では見極められなかった部分を、実際に働きながら確認する。こういった流れは採用難易度が高いエンジニアを確保するために、というのが一般的でしたが、最近ではビジネスサイドでも同じようなケースが増えました。

「まずは業務委託でどうですか?」というライトなオファー

採用する側としても、正社員での採用が難しい優秀な人材に対して、一か八かで決断を迫り、オファーを出すのではなく「まずは業務委託でどうですか?」とライトにオファーを出しつつ、定期的な設定を確保することには大きなメリットがあります。

まず採用においてタイミングは命です。現職で活躍されている方であれば尚更。そのタイミングで賭けをするのではなく、中長期的に接点を持ち続けられるのは大きいです。

それに週1〜2日とか月30時間のようなライトなオファーでも、優秀な人ほどきちんと自分事としてパフォーマンスを出してくれますし、徐々に当初依頼された業務以外の課題にも気付いてくれたりします。これだけでもスタートアップにとってはかなり助かる話です。

そこから少しずつ稼働シェアとかを相談しつつ、いつの間にか週5で働いてフルコミットになっていた!というシナリオを意図的に作っている企業もあります。一見「いきなりCxOに就任した」と思われるケースでも、実は裏で業務委託として1年間入っていたということも多くあります。

候補者側としても業務委託でのライトなオファーであれば、複数社並行して検討できますし、会社の実情を見たり業務の一部を実際に経験することには大きなメリットがあります。もしミスマッチを感じれば、ごめんなさいで済むからです。でも正社員として転職してしまっていたらそうはなりません。

アメリカのようにドラスティックにはいけないと思いますし、転職が当たり前になってきたとはいえ、短期離職や転職回数が無駄に増えることは避けたいはず。それに起業とかにも不安を感じる日本だからこそ、業務委託でライトに進めつつ、優秀な人材をシェアし合うのが向いてるのかなと個人的には思います。大手はリスクなく新しい風を入れられるし、スタートアップは優秀な人材のナレッジを得ることができます。

もちろん前提として、セキュリティ面や業務の細分化、現場の理解などは絶対的に必要になります。ただ柔軟性=採用力の時代であることは間違いないですし、長期的なコミュニケーション設計ができるかがポイントだなと思います。


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