見出し画像

Amtrak アメリカ鉄道旅 11 レイクショア・リミテッド

レイクショア・リミテッドは、シカゴとニューヨーク/ボストンを結ぶ路線で、ミシガン湖の湖畔を走りサウスベンド、クリーブランド、バッファローを通ります。エリー運河やネイティブ・アメリカンの使った古い街道沿いを走る景色の美しい路線となっています。シカゴを出発した列車はアルバニー駅で分岐し、ニューヨーク方面とボストン方面に別れて向かいます。これによりシカゴ- ボストン間シカゴ - ニューヨーク間を乗り換えなしで利用可能です。シカゴ行きの場合は、ニューヨークからの列車とボストンからの列車がアルバニーで連結作業を行います。
列車はオハイオ州内は夜の走行となります。東行きがシカゴを出発するのは夕方、ニューヨーク、ボストンからの西行きは午後それぞれの駅を出発します。

アメリカの北東部の3大都市を結びます

運行間隔:毎日運行
運行主要都市:シカゴ - オルバニー - ニューヨーク/ボストン
時間:20時間 (シカゴーニューヨーク)
   21時間30分(シカゴ-ボストン)
距離:1,543km (シカゴーニューヨーク)
   1,6738km(シカゴ-ボストン)

この路線は、エンパイア・サービスとニューヨーク - バッファロー間の路線を共有しています。エンパイア・サービスを東西に拡張したような路線となっています。そしてシカゴ  - クリーブランド間はキャピタル・リミテッドと線路を共有しています。
レイクショア・リミテッドとは「湖畔特急」という意味です。名前の通り五大湖のうち3つの湖の湖畔を走ります。バッファローからシカゴまでの区間は上下線ともに夜の運行となること、線路は湖と微妙に距離があるので湖が延々と見えるわけではありません。エンパイア・サービスと違い、レイクショア・リミテッドには個室寝台車がついているので、ゆっくりと旅を楽しむことができます。

以下、エンパイア・サービスの情報です。

レイクショア・リミテッドには、2つの路線があります。シカゴ発ニューヨーク行きの車両番号は、48です。シカゴ発ボストン行きは車両番号448となります。この2編成はシカゴからアルバニーまでは連結して走り、アルバニー駅で分割され48は南下してニューヨークへ、448は東に向かいボストンが終着となります。
ニューヨークからシカゴへ向かう列車番号は49。ボストンからシカゴへ向かう列車は449です。ニューヨークを15:40に出発した49は、アルバニー駅に1810に到着します。ボストンを12:50に出発した449は18:10にアルバニー駅に到着します。49と449はここで結合され、1編成となりシカゴへ向かいます。

レイクショア・リミテッドの時刻表

ハイライト

シカゴを夜の9時30分に出発します。シカゴの街はすでに夜です。ここからクリーブランドを過ぎるあたりまでは夜となります。五大湖のミシガン湖、エリー湖の脇を通るのですが、夜なので景色は見えません。
クリーブランドを過ぎるとバッファローまではエリー湖畔を走ります。所々で進行方向左側に大きなエリー湖を見ることができます。バッファローからはエンパイア・サービスと線路を共有し、オンタリオ湖畔をアルバニーまで走ります。オンタリオ湖は、進行方向左にありますが、あまり湖を見ることはできません。
アルバニーではニューヨーク行きとボストン行きに分かれます。そしてそれぞれ終点に向かいます。ニューヨークには夜の7時頃、ボストンには8時30分頃の到着となります。

ハドソン川に沿って北に走るレイクショア・リミテッド

シカゴ行きは、ボストンを昼の12時50分位出発、アルバニーを目指します。ニューヨーク発は午後3時40分。ハドソン川に沿ってアルバニーを目指します。ボストンとニューヨークからやってきた2編成はアルバニーに夕方6時頃到着、連結作業を行います。連結が終わったら夜7時にシカゴへ向けて出発です。シカゴには翌朝10時頃到着します。

座席について

ビューライナー車両での運行です。座席は以下の種類があります。1泊なので全線コーチシートでも耐えられるでしょう。おすすめは個室です。気軽に鉄道旅行を楽しめます。
・コーチ席 Coach Class Seat
・ビューラーナー・ルーメット Viewliner Roomette
・ビューライナー・ベッドルーム Viewliner Bedroom
・ビューライナー ベッドルームスイートViewliner Bedroom Suite
・ビューライナー・アクセシブル・ベッドルーム Viewliner Accessible Bedroom

食事について

個室利用の方には以下のような食事が用意されています。
ニューヨーク発・東行き (列車番号48): Dinner, Breakfast
ボストン発・東行き (列車番号448): Dinner, Breakfast
ニューヨーク着・西行き (列車番号49): Breakfast, Lunch
ボストン着・西行き (列車番号449): Breakfast, Lunch, Dinner

ダイニングカー
個室利用者には食事が付きます。夕食は、予約制でスタッフが各部屋に夕食の希望時間を聞きにきますので、時間を指定して、その時間にダイニングカーに行ってください。テーブルは相席です。他の乗客と一緒になるので緊張しますが、みなさんどんどん話しかけてくるので楽しい時間となるでしょう。どうしても知らない人とのお話が苦手な場合や、ひとり個室で食事をしたい方はスタッフに頼むと食事を部屋まで持ってきてくれます。

カフェカー
レイク・ショア・リミテッドにはダイニングカーとは別にカフェカーが連結されていて、誰でも食事や飲み物を買うことができます。

カフェカーのメニュー(例)

停車駅について

停車駅は以下に記します。駅名の後ろのアルファベットは駅の記号です。チケットを購入する際にも使われます。主要駅以外では人の乗り降りはそれほど多くなく寂しい感じです。

停車駅(太字は主要駅)
Chicago, IL – Union Station (CHI)
South Bend, IN (SOB)
・Elkhart, IN (EKH)
・Waterloo, IN (WTI)
・Bryan, OH (BYN)
Toledo, OH (TOL)
・Sandusky, OH (SKY)
Elyria, OH (ELY)
Cleveland, OH (CLE)
Erie, PA (ERI)
Buffalo, NY – Depew Station (BUF)
・Rochester, NY (ROC)
・Syracuse, NY (SYR)
Utica, NY (UCA)
・Schenectady, NY (SDY)
Albany-Rensselaer, NY (ALB)
  ・
Pittsfield, MA (PIT)
  ・Springfield, MA (SPG)
  ・Worcester, MA (WOR)
  ・Framingham, MA (FRA)
  ・Boston, MA – Back Bay Station (BBY)
  ・Boston, MA – South Station (BOS)

・Poughkeepsie, NY (POU)
・Croton-Harmon, NY (CRT)
・New York, NY – Penn Station (NYP)

乗車記 Take the Train !

今回は、エンパイア・サービスとなるべく線路を共有していないシカゴ - ボストン間を走る列車番号四百四十九に乗った時の旅を記します。

シカゴ Chicago, IL – Union Station (CHI)
夜のシカゴを出発です。荷物を預けたりするので夜の7時前には駅に着いたのですが、お客さんの数は少なかったです。荷物を預けた後は、駅を出て近くのレストランで夕食をしました。1泊なのでアムトラックの旅としては短いのですが、車内で食べる食事よりはレストランの食事をしておきたくなるものです。駅構内のファーストフードという選択肢もありますが、車内食と同等のクオリティです。私は避けてしまいました。
出発まではラウンジでのんびりします。シカゴのラウンジは大きく充実しています。シャワーもあります。個室寝台を予約するとこのラウンジが使えます。私は今回は個室の中でも一番小さいルーメットでの1人旅となります。
夜9時過ぎに乗車案内が始まりました。レイクショア・リミテッドは1階建車両です。ただ結構天井が高いので乗っていて快適です。
いよいよ出発です。

シカゴを出発する時間はすでに夜なので、私の部屋はベッドメイクがされていました。すぐに寝ることができる状態です。しばらくシカゴの夜景を見ながら眠りに落ちました。

ルーメットですが、私の部屋は古い車両でした。隣には新しい車両もあり、どの車両になるかはその時の運となります。事前に新しい車両を指定することはできません。ただ、どちらが良いかは人によって異なると思います。古い車両には洗面台とトイレがついています。新しい方にはこれらはありません。シートなどは新しい方が快適ですが、大きさは古い方が広く感じました。ルーメットだと私は水回りは使わないので、新しい方が好みですが、皆さんはどうでしょう。

クレーブランド Cleveland, OH (CLE)
朝、物音がするので起きるとオハイオ州クレーブランド駅に停車していました。朝の6時前です。レイクショア・リミテッドはアムトラックの中で定時運行率が高いそうで、ほぼオンタイムでの到着です。駅では結構多くの乗客が降りたり乗ったりしていました。

バッファローまでに朝食を摂ります。予約なしでダイニングカーに行き朝食です。クレーブランドを出発したばかりのダイニングカーはガラガラでした。今回はパンケーキをいただきました。美味しいかと聞かれると微妙ですが、アムトラックでのパンケーキは、この味が好きです。あとになってもあの時食べたパンケーキの味を思い出します。
食事を終え、部屋に戻って身支度をしているとバッファローに到着です。

バッファロー Buffalo, NY – Depew Station (BUF)
10分程停車した後、出発です。朝ということもあり駅は賑わっていました。ここで乗り降りするお客さんもいました。レイクショア・リミテッドはここからエンパイア・サービスと線路を共有してアルバニーを目指します。この区間は景色が雄大です。草原だったり丘陵地帯だったり湖が托卵ある場所だったりを走りぬけます。この線路は貨物輸送の幹線のようで、頻繁に長い編成の貨物列車とすれ違います。

早朝のニューヨーク州を走りぬけます。ロチェスター、シラキュース、ウチカといった大学で有名な駅を通ります。駅では学生が乗り降りしていました。

アルバニーまでは、ラウンジカーに移動し、景色を眺めながらコーヒーを飲みました。この辺りはフィンガーレイクという観光地があり、田舎なのですがニューヨーク・シティという大都会があるからか、なんとなく洗練された田舎という印象です。乗り降りするお客さんも他のアムトラックの長距離路線とはちょっと違う品のある感じがしました。

そろそろ昼食です。ダイニングカーに移動します。
アルバニーが近づいてきたせいか、車窓には今までの林から小さな町が目立つようになります。どの町もレンガ作りの家や工場が多く、ちょっとヨーロッパの田舎の風景にも見えてきました。

アルバニー Albany-Rensselaer, NY (ALB)
ニューヨークの州都・アルバニーに到着です。ここでニューヨーク行きの編成と分かれます。分岐作業のため30分の停車です。電源が切れるので、トイレが使えません。多くの乗客が列車から降りタバコを吸ったりストレッチをしたりしていました。
私の乗るボストン行きが先発となるようです。ニューヨーク行きは、ボストン行きが出てしばらくしての出発だそうです。

アルバニーを30分遅れで出発した449号は、ここから5時間かけてボストンに向かいます。途中、結構険しい山を超えていきました。そして途中から川と並行してボストンに向かいます。ボストンまではちょっと寂しい街をいくつか通ります。マサチューセッツ州といっても内陸部はあまり人が住んでいないようでした。

ボストン Boston, MA – South Station (BOS)
ボストン駅が近くなると、車窓は森林から街に変化していきます。そして、大都会ボストンに到着です。

注意点

・WiFiサービスはあります。
・ナイアガラの滝に行く場合は、Buffalo-Depew Station で乗り換えです。
・個室はシカゴーアルバニー間を利用する人に向けたサービスとなっています。ビジネスクラスはボストン-シカゴ間に設定されています。
・アルバニー駅でニューヨーク線からの列車とボストン線からの列車の結合分離があります。
・個室利用客には食事がついています。それ以外のシート利用客はカフェカーで食事をすることができます。
・エリー運河を見る場合は、東行き(5月-8月)は早起きをするといいでしょう。

最後に

レイクショア・リミテッド。アメリカ北東部の3大都市を繋ぎます。この路線は人気が高く、いつ乗っても満席のことが多いです。この列車になる場合は早めの予約をお勧めします。そして比較的、定時運行が行われることでも知られています。大陸横断路線と比べて大幅な遅延も少なく安心して乗車できるでしょう。レイクショアという名前ですが、それほど湖畔が見えないのは残念ですが、アメリカという国が建国された当時の中心地を列車に乗ってめぐるのも楽しいのではないでしょうか。

各回テーマ:
01 アムトラックの旅
02 アムトラックの路線
03 アムトラックのチケット購入・座席の種類
04 アムトラックの駅
05 エンパイア・ビルダー号
06 カリフォルニア・ゼファー号
07 サウスウエスト・チーフ号
08 コースト・スターライト号
09 アセラ・エクスプレス号
10 エンパイア・サービス号
11 レイク・ショア・リミテッド号
12 メープル・リーフ号
13 シルバー・サービス号(シルバー・メテオ号 / シルバー・スター号)
14 テキサス・イーグル号
15 サンセット・リミテッド号
16 クレセント号
17 シティ・オブ・ニューオリンズ号
18 フロリディアン号(キャピタル・リミテッド号)
19 カージナル号
20 パルメット号


レイクショア・リミテッドのポスター


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?