Amtrak アメリカ鉄道旅 02 アムトラックの路線
今回はアムトラックの路線についてです。
アムトラックの路線
アムトラックは図のようにアメリカ全土を走っています。アメリカではシカゴが交通の起点となっています。日本でいう日本橋です。ここから全米の都市に放射状に主要路線が張り巡らされています。これらの路線とは別に各大都市間を走る路線も存在します。
代表的な路線
ここでは、日本人観光客がよく利用する路線について記します。他の路線についても追って解説していこうと思います。
・Empire Builder(エンパイア・ビルダー)
毎日運行
運行都市:シカゴ-スポケーン-ポートランド/シアトル
距離:3,550km(シカゴ-シアトル)、3,632km(シカゴ-ポートランド)
シカゴから西海岸に向かう長距離路線には3路線あります。これはそのうち一番北を走る路線です。地図で見るとカナダとの国境線のすぐ下を走っているのがわかると思います。シカゴからワシントン州スポケーンまで向かい、ここで分岐し、アメリカ西海岸の北に位置する美しい街シアトルとポートランドに向かいます。アメリカとカナダの国境近くを走るので、美しい森林地帯をみることができます。目玉はロッキー山脈越えです。
利用方法は、シカゴから西に進み、シアトルかポートランドを目指す。シアトルから乗車し東に進みシカゴを目指す。ポートランドから東に進みシカゴを目指すという4パターンが想定されます。もちろん途中下車する人もいるでしょう。アメリカの北部を訪れる観光客に人気の路線です。
この路線は、シリーズの5回目で詳しく解説します。
・California Zephyr(カリフォルニア・ゼファー)
毎日運行
運行都市:シカゴ-デンバー-ソルトレイク・シティ-エメリービル(サンフランシスコ)
距離:3,924km
シカゴから西海岸に向かう長距離路線のうちの1路線。エンパイア・ビルダーとサウスウエスト・チーフの真ん中を通る線でサンフランシスコに向かいます。地図を見ると、アメリカ大陸の丁度真ん中を走っているのが分かります。この路線の特徴は、アメリカらしい大平原を突っ走り、ソルトレイクを抜けロッキー山脈を超えて美しいカリフォルニアの草原を走り抜けるというダイナミックな景色です。地平線が見える真っ平らな穀倉地帯を走る列車はとても気持ちがよく、デンバーやサクラメントなどの主要都市を抜けていきます。
このシリーズの6回目で詳しく解説します。
・Southwest Chief(サウスウエスト・チーフ)
毎日運行
運行都市:シカゴ-カンザス・シティ-アルバカーキ-フラッグスタッフ-ロサンゼルス
距離:3,645km
シカゴから西海岸に向かう長距離路線のうち一番南を走る路線です。ルート66とほぼ並行して走ります。終着駅はロサンゼルスです。シカゴを出発してしばらくは麦畑の広がる穀倉地帯が続きますが、次第に景色は砂漠に変わり、ロッキー山脈を超えてロサンゼルスに入ります。この景色はまさにルート66の世界です。乾燥した土地を爆走する列車には我々が思い描くアメリカ大陸のイメージが重なります。
この列車については、シリーズの7回目で詳しく解説します。
・Coast Dtarlight(コースト・スターライト)
毎日運行
運行都市:シアトル-ロサンゼルス
アメリカの西海岸を南北に走るアムトラックです。日本人の利用が多い路線です。北はワシントン州シアトルからサンフランシスコを通り大都市ロサンゼルスまで太平洋沿いを走るので、海が見えて景色は素晴らしく、鉄道旅の初心者でも楽しい路線となっています。西海岸の大都市を結ぶので利用しやすく日本人にとっても利用しやすい路線です。
シアトルから北、カナダにも太平洋沿いを走る列車があります。Amtrak Cascades(アムトラック・カスケーズ)というもので、ユージン、シアトルからバンクーバーまでを走ります。
ロサンゼルスから南は、Pacific Surfliner(パシフィック・サーフライナー)という路線があります。サンルイス・オビスポ-サンタ・バーバラ-ロサンゼルス-サンディエゴを結びます。これらの3路線を使うと北はカナダのバンクーバーから南はメキシコの手前のサンディエゴまで北アメリカの太平洋岸を南北に移動できることになります。
この太平洋岸路線は、シリーズの8回目で詳しく解説します。
・Acela Express (アセラ・エクスプレス)
毎日運行
運行都市:ボストン-ニューヨーク-ワシントンD.C.
距離:734km
アメリカの東海岸の大都市を南北につなぐ路線です。この路線は日本の新幹線のようにビジネス客が多く利用している高速路線となります。定時運行性が高く、アムトラックの路線の中で数少ない利益を生み出している幹線です。他のアムトラックのようにのんびりと都市間を移動するというよりは、日帰りでビジネスミーティングを目的とした移動に使われています。今のところアメリカ唯一の高速鉄道なので、日本人観光客も例えばニューヨークをベースに日帰りでボストンやワシントンD.C.観光が可能となっています。
この特急列車は、シリーズの9回目で詳しく解説します。
・Empire Servide(エンパイア・サービス)
毎日運行
運行都市:ニューヨーク-ナイアガラ・フォールズ
距離:740km
ニューヨーク観光の際にナイアガラの滝まで足を伸ばしたい人が利用する列車です。ほとんどの方は飛行機で行くと思いますが、ニューヨーク州を走るこの路線は景色も素晴らしく、ニューヨーク州の大きさを感じることができます。ナイアガラ観光の際は、片道だけでも乗って欲しい路線です。
ニューヨーク-ナイアガラ・フォールズ-トロントを結ぶ国際列車、Maple Leaf(メイプル・リーフ、12回で詳しく紹介)も同じ路線を走り、さらにトロントまで走ります。
この路線は、このシリーズの10回目で詳しく解説します。
ニューヨークーロサンゼルス間の直通列車はない?
アムトラックは大都市間を結んでいますが、全ての都市をダイレクトに結んでいるわけではありません。ニューヨークからロサンゼルスに行く場合は、シカゴ経由になります。ニューヨークからシカゴまでは2路線あり、シカゴからロサンゼルスまでは、直通1路線、西海岸の都市経由で2路線あります。よってニューヨークからロサンゼルスには最低1回乗り換えが必要ですが、さまざまな路線を使って移動することができます。
どう乗り継げばいいのかは、アムトラックのサイトでスケジュールを簡単に組むことができますので、ご安心ください。
どのくらいの時間がかかる?
シリーズ5回目からの各路線の紹介で詳しく時間は記しますが、カリフォルニア・ゼファー号で50時間(2泊3日)かけて走ります。それほどアメリカは広大です。そしてアメリカには時差がありますので、このあたりも考慮しておかないといけません。
急がない旅の良さはアメリカのスケールを感じられること。そして知らない街に立ち寄ったり、沿線の景色を見ることができるということがあります。
治安などは?
アムトラック車内では車掌さんが頻繁に行き来しているので事件に遭遇することはほぼありません。個室は内側から鍵もかかるので安心です。コーチと呼ばれる座席やルーメットから離れて食堂車に行く時などは荷物の管理だけ気をつけてください。
食事は?
途中下車しない限りは、列車内での食事となります。クラスにもよりますが、列車内にある食堂車かカフェで食事が可能です。個室利用の場合はダイニングカーでの食事がついています。残念ながら、あまり美味しいメニューには出会えません。列車に乗る前に駅で食事を購入したり、長く停車する駅で降りて、駅で食事を買うなどして食の変化を楽しみたいところです。
次回は、チケットの購入の仕方について詳しく解説します。
各回テーマ(予定):
01 アムトラックの旅
02 アムトラックの路線
03 アムトラックのチケット購入・座席の種類
04 アムトラックの駅
05 エンパイア・ビルダー号
06 カリフォルニア・ゼファー号
07 サウスウエスト・チーフ号
08 コースト・スターライト号
09 アセラ・エクスプレス号
10 エンパイア・サービス号
11 レイク・ショア・リミテッド号
12 メープル・リーフ号
13 シルバー・サービス号(シルバー・メテオ号 / シルバー・スター号)
14 フロリディアン号(キャピタル・リミテッド号)
15 シティ・オブ・ニューオリンズ号
16 サンセット・リミテッド号
17 テキサス・イーグル号
18 クレセント号
19 カージナル号
20 パルメット号
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