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【読書記録】シン・ニホン②

前回は情報化社会フェーズ1(0→1)で一人負けした日本が、フェーズ2(1→n)では勝てる可能性があるという話をしました。

このフェーズ1、フェーズ2という順番で変化してきたのは最近の情報化だけではなく、19世紀に起こった産業革命でもこの流れがありました。日本はここでもフェーズ1(電気、蒸気機関)に乗り遅れましたが、フェーズ2(テレビ、自動車)では明治維新をきっかけに目まぐるしいスピードで発展を遂げました。
では、日本はフェーズ2が得意だから何もしないでただ待っていればマーケットを勝ち取れるのかというとそうではありません。安宅さんは日本がフェーズ2でやるべきことについて、P・F・ドラッカーのマネジメントの概念を引用して説明しています。

P・F・ドラッカーのマネジメントの概念
1. あるべき姿を見極め、設定する。
2. いい仕事をする。
3. いい人を採って、いい人を育てて、維持する。
4.  以上の実現のためにリソースを適切に配分し運用する。

1はAIとデータを活用した高度な社会、2はそれに向かって企業や個人がいい仕事をすることで、重要なのは3、4の根本的な見直しだと安宅さんは主張しています。

では、この時代におけるいい人とはどのような人のことを指すのか。初等教育からの導入や社会人の転職、副業のためのスキルとして注目されているプログラミングスキルを持った人なのか?
そうではない、と安宅さんは言います。

以下の図を見てください。

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これはデータサイエンティスト協会スキルセット定義委員会が定めたデータ×AIの力を解き放つためのスキルセットです。このうち、プログラミングはデータエンジニアリング、すなわちデータを意味ある形に変えるための前提的要素にすぎないのです。プログラミングスキルはもちろん必要ではあるけど、それだけではどうにもなりません。この図の3つのスキル全てが必要です。ビジネス力がないと解決すべき問題が定義・整理できないし、エンジニア力がないと機械に任せることができないため量的な展開が難しく十分なパフォーマンスを発揮できない、サイエンス力がないとそもそも知的なアプローチが取れません。

さらに安宅さんはこれら三つの要素を身につけたとしても、ただ人に使われるだけの人間になってしまうと主張しています。データ×AIの素養を生かして欲しいものをデザインするためには夢を描く力、妄想力、そして自分なりに見立てる力も必要になります。

また、機械にはモチベーションや感情がないため、これをやりたいと思って方向を定めたり、人や組織を奮い立たせ、率いることができません。結局データ×AIの力が解き放たれた世界でも、人間的な魅力やコミュニケーション能力、熱量、教養といったものが求められます。安宅さんはこれを機械の強さを解き放ちつつ人間の強さを生かす時代に突入していると説明しています。

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今回はここまでにします!

それでは、また⭐️

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