パンフレットから見える、プレゼン方法の違い。
シドニーから足を延ばしてどこかに行こうと思ったとき、どこに行きますか?
定番のブルーマウンテンズ?
くじらを見つけにポートステファンズ?
真っ白な砂浜で有名なジャービスベイ?
住み始めて5年のわがや、旅行はいつも車で行ける範囲で行っているので、そろそろ新しくいきたいところがなくなってきました。
オーストラリアは日本と比べると、地方ごとの名産品や名勝地は多くありません。
例えば200km圏内で考えたとき、新潟の長岡からだと、
鱒寿司&ホタルイカ王国に行けるし、
高崎だるまも買えるし、
鶴ヶ城も見れるし、
米沢牛も食べられるし、
何よりどこにいっても”温泉”あるよね。
といった範囲なのですが、
シドニーから200kmというと
ハンターバレーのワイナリーか
オレンジのワイナリーか
マラムベイトマンのワイナリーか
とりあえず目的地となりえる場所がワイナリーくらいしかないのです。
いやいや言い過ぎですね。もちろん何を目的にするかによって旅先も変わるのですが、その道中に
「見たことないコンビニ」
「地域限定ポテトチップス」
「いい感じの温泉宿」などはなく、
あるのは
「高速沿いのマック」
「パイ」
「シャワーのみのモーテル」などです。
しかし!
どのエリアも観光客の誘致には力を入れています。
それを証明するのがこちら!
かなり力の入ったパンフレットの数々!
しっかり厚みもあって
紙もザラッとした雰囲気のいい質感です。
開いてみると…
見開きで大きなイメージ写真。
シズル感のある料理の写真と、観光客の笑顔。これでもかと魅了してきます。若い女性の写真ばかりでないのもいいですね。
カップルの写真が多いのは、男性の「女性を喜ばせたい!」という気持ちに訴えかけてるように思えます。
文章が多めで、写真と文章の場所がしっかり分かれているのもデザイン性が優れていると思います。(日本は超ハイコンテクスト文化なのであまり言葉が必要ないという側面がありますが。)
高・低文脈文化 (high and low context culture )
実際に言葉として表現された内容よりも言葉にされていないのに相手に理解される(理解したと思われる)内容のほうが豊かな伝達方式であり、その最極端な言語として日本語を挙げている。一方、低文脈文化のコミュニケーションでは、言葉に表現された内容のみが情報としての意味を持ち、言葉にしていない内容は伝わらないとされる。最極端な言語としてはドイツ語を挙げている。(wikipedia)
肝心の内容ですが、地域ごとの特徴はほとんどないので大体どれも風景・ワイン・料理・スイーツ・コーヒーの特集と、あとはショッピングとギャラリー情報を少し、最後にホテルの広告といったところなのですが、
どのパンフレットも自信をもって、あの手この手でそのエリアの売りを120%、余すことなく伝えてきます。
そして必ずあるのが「Meet the locals」
芸能人を起用するのではなく、そこに住んでいる人にその人の専門分野やエリアのおすすめなどについてインタビューしたもので、住人がそれぞれの歴史や考え方を持っているというのがよくわかります。人好きなオーストラリア人らしいなと思いました。
またこれらのパンフレットはその土地に行かないと手に入らないわけではなく、各地のインフォメーションセンターに 他のエリアのパンフレットが置いてあり、次の旅行先の参考になるわけです。
オーストラリアが観光に力を入れている国だというのがわかりますね。
しかしある日、衝撃のパンフレットに出会いました。
それがこちら。
全くwelcomeな雰囲気のしないこのパンフレット。
ビークロフト半島にある灯台に向かう途中で手に入れたのですが、トップの写真でいきなり大砲が発射されています。
赤枠の中に
「不発弾に気をつけろ!」
「命をリスクにさらすな!」
と、今まで見てきたパンフレットとは一線を画す、パンチの効いた文言が書かれています。
不発弾、略して「UXO」なんて、初めて聞いたよ…。
どうやらここはオーストラリア海軍の演習場だったらしく。
UXOの危険がある赤いエリアのすぐ横を通って灯台に向かいます。
そしてたどり着いた灯台。
崖の写真のところ、どんな説明か読んでみると
この灯台のあるエリアを訪れるときは、ウォーキングトラックから外れず、常に崖から安全な距離をとることは不可欠である。風が強いときは特に、最大限に注意を用いるように!
と、思いっきり注意文でした。
「critical」「extreme」などの形容詞から、本気度がうかがえます。
管轄によって、ここまで情報の内容と伝え方が異なるものかと、おもしろい発見でした。
観光資源おばけなのに控えめな日本のパンフレット、
名産はないが個人推しでがんがん魅せてくるオーストラリアのパンフレット
その違いを少しは感じていただけたでしょうか。もしオーストラリアに来ることがあったら、ぜひ現地のパンフレットを手に取って、目線を変えて旅行を楽しんでみてください。
では!
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