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オーストラリア2400km自転車旅25日目🚴‍♂️

25日目​「メリー」

タケさんは日本のどこかの市役所で働いていたようだが、それを辞め、貯めたお金で旅を楽しんでいるとのこと。
何市?って言ったか忘れた。
今はオーストラリアにいるが、もっぱらインドがお好みだとか。

俺とタケさんは朝5時に起きて、6時にBPを出発した。
目的のファームはけっこう遠く、歩いて1時間のところだった。
あー眠たい。。。もっと寝ていたかった。。。
それでもタケさんの後について歩いている。

あーぁ、今日一日くらいゆっくり休んでも良かったかなぁ、自転車の疲れもあるし・・・。

二人とも眠いからロ数は少ない。ファームまでの道沿いにはポツポツと民家があった。
一軒一軒の敷地がデカい。
その家の中で、膝の上に猫を置き、コーヒーを飲みながら新聞読んだりしてんのかな。。。
その民家側を歩いていたタケさんは
「バウバウバウッ!!」突然犬に吠えられ、びっくりしてのけぞった。
「うわっ!何じゃっ!」タケさんはカチンときた様子だ。
「びっくりしたぁ、、、なんで吠えられなあかんねん!気ぃ悪いわー」
その犬に砂を蹴り上げた。
「(この人・・・短気だな)」

ファームに着くと、ベトナム人が一人いた。彼がここのボスのようだ。そのボスを除いて俺とタケさん以外に人は見当たらない。どうやら働くのは俺たち二人だけのよう。
もっとたくさん人がいるもんだと思っていたが、二人だけなら気楽でいい。
ボスの名前はテンというらしい。
「彼と一緒に働いていいですか?」と一応確認をとった。
「もちろん。」と歓迎された。意外とあっさり仕事が見つかった。
眼鏡も買ったし、預金残高が少なかったので、仕事が見つかって良かった。
与えられた作業はトマト畑の収穫済みの茎を添木からひっぺがしていく作業。
以前東海岸のボーウェンという街でトマトピッキングの仕事をしたことがある。まさかもう一度このトマト畑の青臭さを嗅ぐことになるとは思わなかった。
青臭いと言ってもただ青臭いわけではなく異様な青臭さ・・・農薬のせいだろうか。
今日はあまり気乗りしなかったが、とにかく働き始めた。
この茎がだいたい人の身長ほどあり、太さはすごいのでキュウリぐらい、立派だ。そして添木にからみついているもんだから簡単には剥がせない。もう収穫が終わったから剥がされていくわけだが、茎一本一本はまだまだ青々として、力を入れた腕っ節のように生き生きとしている。それらを倒していくのは少し気の毒だと思わないでもなかったが、もうこの茎たちは実をつけることがないらしい。。。

ベキベキ、バシッ、ベキベキ、バシッ。

俺とタケさんは午後2時にその日与えられた仕事を終わらせた。給料は日払いで60ドルだった。時給にして10ドル。
やはり日給180ドルなんてのはそうそうある話ではない。
それでも60ドルあれば安いツナ缶30個、安いイワシ缶60個買える。そう考えると十分。
帰りはボスが車でBPまで送ってくれたので、犬に吠えられることはなかった。

その日の晩御飯は俺とタケさんとナナコの3人で協力して作った。

「メリークリスマス!」と声をそろえて、みんなでビールを飲んだ。
ナナコの声が一番デカかった。。。
元気いいな、、、と思った。
「(ところで『メリー』ってなんだ?)」

腹が膨れたあと、自分の部屋に戻り、ベッドの上に横になった。
今日は12月25日。
自転車を始めて25日目。
約1500キロ走った。
残り900キロほど。。。
だいぶ来たような気もするし、
まだ3分の1以上残ってるのか。とも思えるし。
シュンは今どうしてるかな?

辞書で『merry』をひいた。
意味は『愉快な』『陽気な』だった。

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