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オーストラリア2400Km自転車旅42日目🚴‍♂️

42日目 ​「最後の野宿」

この日は一日中向かい風が弱まることなく、たいした距離を稼ぐことが出来なかった。

それでいい。。。

もし追い風だったとしてもゆっくり漕ぐつもりだった。
そう思いながら走った。

まわりの景色に愛着がわかない。

今日の終点が、この旅の最後の寝床になる。。。

キャタビーRHを今日のゴールと決めた。

空はどんどん暗くなっていった。

キャタビーRHに着くと、そこにはモーテルがあったので、さっそく予約しようと試みた。
ところが、もういっぱいだと断られる。。。

それで良かったかも知れない。
最後の晩は、野宿であるべきかも知れない。

どこか眠るのに風もなく、人目につかない安全なところはないかとあたりを歩き回った。
モーテルの隣には、ショップがあって、
さらにそのショップの裏側に丁度腹の高さくらいのコンクリートで囲まれた小さなスペースがあった。

「おぉーここならなんとか!」

そこにゴンゾーとその他の荷物を全部入れ込んだ。そこで寝ることの許しを得ておこうと、再びショップに入った。

もう店は閉める直前だったようで、明かりは暗く客も1人もおらず、太ったおばちゃんが1人慌ただしく床にモップをかけていた。
そのおばちゃんに事情を話したところ、
かまわないわよ、と許してくれた。

その小さな空間にマットをしいて眠ろうとしてみたが、、、
思いの他風が吹き込んできて、寒さを我慢することができなかった。
コンクリート壁の四隅には、落ち葉と泥とが混ざってグチャグチャになったものがたまっていて、
気持ちわりぃー・・・と思ったが、
風が当たるよりはと仕方なくその上にマットを敷きなおし、毛布にくるまり縮こまった。

それでもどうにも寒さに耐えられず、
眠ることをあきらめた。
寒さに耐える夜は、全く時間が進まない。

RH内をうろうろ歩き回った。
そしたら、近くでゴソゴソと物音がしたので、恐くなってすぐに寝床に戻った。

またしばらく縮こまっていたものの
寒いし時間がたたないし、、、
いてもたってもおれず、また徘徊した。

あぁー、まだ2時か・・・
30分ほど朝までの時間を稼いだ後、とぼとぼとまた寝床に戻った。
震えながらゴンゾーに寄り添った。

眠れないのは、寒さのせいか、緊張のせいか。。。

パースまであと『160キロ』
1日で走れる距離。。。

「ゴンゾー、今晩を乗り切れば。。。これで最後・・・

聞いてるか!?俺のはなし・・・

なーゴンゾー、お前に名前を付ける前から、

この旅はいろんなことあったな・・・」

電灯のわずかな明かりを拾って、日記帳をひらいた。。。

一か月前のことが、一年前に感じる。

初めは空間の広さに恐怖した。。。

初日に膝を壊し、辞めたくなった。。。

闇夜が怖すぎた。。。

バーンヒルの海と出会った。。。

ハーブの魚を腐らせた。。。

太っちょライダーに会った。。。

テントを捨て、夜走ってみることにした。。。

ディープヒートをもらった。。。

つらすぎて発狂したことも。。。

痛み止めをもらった。。。

時空を独占し、夜空を駆けた、最高だった。。。

シュンとバーンヒルで夢のような時間を過ごした。。。

未来の自分に手紙を書いた。。。

宇宙と一つになれた。。。

ゲームの世界のような村があった。。。

盗難にあった。。。

眼鏡を手に入れることができた。。。

気絶しかけた時、助けてくれた人がいた。。。

号泣した。。。

レベッカたちに会った。。。

ゴンゾー命名。。。

ディンゴに会った。。。

ロードトレインにひかれかけた。。。

ナナコと会った。。。

農場で働くことにした。。。

ヒヨコに会った。。。

トアに会えた。。。

夜が寒くなってきた。。。

荒野の景色を見て悲しくなった。。。

カビパンを食べた。。。

シュークリームおばさん。。。

不思議な夜。。。

振り返ると、、、めちゃくちゃ助けられてる。

「ありがとう」

この旅は、俺の『宝物』だ。

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