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【読書アウトプット】ピープルアナリティクスの教科書

 今回は「ピープルアナリティクスの教科書」という本を読んだので、アウトプットしていこうと思います。

1.ピープルアナリティクスとはなにか

 そもそもこの記事をよんでいる皆さんは「ピープルアナリティクス」についてご存じなんでしょうか?
 ピープルアナリティクスとは人事が保有する定量データをもとにタレントマネジメントなど様々な施策を実践することを指します。

 このピープルアナリティクスを行うメリットは大きく3つあります。
 ①勘や経験によるマネジメントからの脱却
 ②個人にあったマネジメントの実行(従業員への価値提供)
 ③人事業務の効率化

 人口減少により人手不足が深刻化する日本ではこれから必要になってくる考え方です。

2.ピープルアナリティクスで扱う4つのデータ

 人事のデータを取り扱うピープルアナリティクスですが、取り扱うデータにも4つの種類があります。
 ①オペレーショナルデータ
 └採用、配置、育成、評価、報酬といった人材マネジメントのオペレーションを実行するのに必要なデータ。
 ②センチメントデータ
 └従業員のモチベーションや組織風土の課題を抽出させるために必要なデータ。
 ③パーソナリティデータ
 └従業員の性格特性や能力特性といった一人一人のデータ。
 ④アクティビティデータ
 └従業員の業務の中における活動量を示すデータ。
 
 また、これら4つのデータを”どのようにして集めるのか”ということもピープルアナリティクスでは重要です。例えば①のオペレーショナルデータや③のパーソナリティデータは人事システム(ERPなど)で収集することが可能だと考えられますが、ERPなどは固定のデータしか収集できないことが多いため、データ数を増やすことには不向きな場合もあります。
 また②のセンチメントデータは定期的に変化しますし、正しい情報であるかどうかもわかりません。(問題がないと見せるためにわざと良い回答をしている場合もあります)
 
 ピープルアナリティクスでは①何を目的に②何のデータを③どのようにして集めるのかが重要になります。

3.ピープルアナリティクスを行うべきか

 ここからは少し自分の考えを整理していこうと思います。
 近年は「HRTech」がめちゃくちゃ流行しています。コロナウイルスの影響で人事領域においてもDX化が進み、SaaSを中心としてサービスが非常に多くなってきました。

引用元:https://hrtech-guide.jp/wp-content/uploads/2021/11/chaosmap_0331.pdf


 また、従業員の働き方の多様化が進みテレワークなどを導入する企業が増えることでパルスサーベイを導入する企業も多くなってきましたね。PwCコンサルティングが2018年から行っているピープルアナリティクスに関する調査で多様な人事データをもとを分析し、経営などに生かしている企業が増えてきていることがわかります。
 そのため、今後も「データをもとにした人事施策」の必要性を感じる人事部の方も多くなっていくと思われます
 ※この図を見る限り、B群→A群への移動が年々進んでいることがわかりますね。HRTechの流行によって得られるデータが多様化してきたのだと思われます

引用元:https://www.pwc.com/jp/ja/knowledge/thoughtleadership/people-analytics-survey.html

 とはいえ、ピープルアナリティクスはすべての企業がすぐにでも取り掛かるべき内容なのか?と聞かれると個人的にはNoというのが回答です。人事戦略の立案などに”データ”というものは有効に機能すると思われますが、それどころではない企業も多いと思われます。

引用元:https://circu.co.jp/pro-sharing/mag/article/1249/

 こちらはウルリッチの提唱した人事の3つの機能です。これまでのオペレーション人事等を中心として人事機能からの脱却がメインとなる話ですが、企業によっては「目の前の業務で手いっぱい」というようなオペレーションが有効に機能していない企業もまだまだあると思われます。(給与系とかいまだに紙の業務が多いって聞いたりしますし…。)
 オペレーション人事の企業が人事業務の効率化を図りたいならば人事データを可視化するのではなく業務プロセスの改善など別の施策が有効であると考えられます。

 また、個人的な感覚ではありますがデータを分析することは難易度が高いことだと思っています。そもそも明確に問題が浮かび上がるようなはっきりとした結果が得られることは稀ですし、分析をするうちに目的を忘れたり別の目的に移ってしまったりすることが多いです。実行するにはある程度の余裕が必要になってくるでしょう。

4.流行にとらわれない

 人手不足が深刻になっていくこれからの日本にとって人事データをもとに最適なマネジメントを図っていくことは必要になるでしょう。とはいえ、今の自分たちが本当に取り組むべき課題は何かということが必要だと思います。

 ただ、ピープルアナリティクスは絶対に不要というわけではないです。ただしく組織の状態を把握することは必要ですし、勘と経験のみに頼ったマネジメントからは脱却するべきだと思います。今の自分たちに必要だと感じたのならば大きな武器となりうるはずです。

 興味がでてきた方はぜひ手に取ってみてください。

 


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