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【サクライ雑記】オマージュとパロディ、そしてサンプリング

こんにちは、サクライです。

映画や音楽、絵画や彫刻、建築やファッションに、文章、デザイン、アートなどなど。

人類が有史以来、創作を続けてきたことにより、最早世の中には純粋な意味でオリジナルと呼べるものは、なかなか無いのかもしれません。

東京オリンピックのエンブレムにおけるデザイン盗用疑惑の騒動以降、国内でも創作界隈においては一時期過敏とも言えるほどパクリの可能性があるものに対して、とても厳しい目が向けられていました。

(約6年前の話題ですが、当時この問題に対して圧倒的に素人にも分かりやすく、かつフラットな目線で纏めている記事がありますのでご参考に)

オマージュ(リスペクト)やパロディという言葉はたびたびこの手の話題に対して、正当性を示すために使われてきています。
他にもパスティーシュやインスパイアなんて言葉も業界を問わず良く使われるようになりましたね。

そもそもオマージュとは原作に対しての敬意からその要素を感じさせるモノを創作することで、パロディは原作に対しての愛からその要素に笑いや皮肉を乗せたモノを創作すること。

言葉を正しく用いることは大前提に置きつつも、パクリとそれらの根本的な違いを敢えて語るならば、由来もしくは関係する事項がありながらも、その作品における評価や手柄を丸々自分のものと主張するか否かとサクライは考えています。

創作に限らず日常の言動においても、ネタ元があるモノに関して注意を払うことが、信用の面からも必要なことだと感じて貰えたら幸いです。

さてさて、ここから今回のnoteの本題です。

クラブミュージックの作曲の手法として、既存の曲や音源のフレーズを再構築して新しい曲を作ることをサンプリングと呼ぶのですが、パクリともオマージュやパロディとも異なる創作手法を指す言葉として、もっと認知が広まれば良いなぁと思っています。

いまいち違いが良く分からないという方もいるかと思うので、サクライの独断と偏見によりオマージュとパロディ、そしてサンプリングを代表的な曲の組み合わせを例にご紹介します。

▶︎オマージュ
(A$AP Mob - RAF & Raf Simons - Look AW 95/96)

ヒップホップ界きってのファッショニスタA$AP Rockyを擁するA$AP Mobが2017年にリリースした「Cozy Tapes Vol.2」に収録されているRAFのミュージックビデオは、その名の通りRaf SimonsのデビューコレクションAW 95/96のルックビデオにオマージュを捧げた作品です。

Raf Simonsを纏ったA$AP Rocky、Playboi Carti、Quavoの三者が生み出すトリッピーな雰囲気により、ただのファッション好きによるカバーやコピーのビジュアルとは一線を画す映像に仕上がっています。

Tyler, The CreatorとIggy  Popと共にGUCCIのビジュアルキャンペーンに起用されるなど、A$AP Rockyに限らずアーティストとファッションの親和性は年々上がっており、今後もルックオマージュのミュージックビデオは定番となるのではと予想しています。

▶︎パロディ
("Weird Al" Yankovic - Fat & Michael Jackson - Bad)

パロディにはやはり笑いは欠かせないということで、少しおふざけなムービーをご紹介。
パロディソングの帝王"Weird Al" Yankovicによる力作は、キングオブポップMichael Jackson公認という完成度です。

世界的アーティストの名曲を音楽も映像も、可能な限り似せつつ笑いを取りに行くという、ある意味能力が無ければ到達できない領域に足を踏み入れた作品ではないでしょうか。

マイケルパロディといえば、日本でも忘れてはならないのがとんねるずのコント。
和製ニュージャックスウィングと呼んでも過言ではない野猿を結成する前ですが、既にブラックミュージックへの素養の高さを感じさせます。

▶︎サンプリング
(Kendrick Lamar - LOYALTY. & Bruno Mars - 24K Magic)

グラミー賞のみならずピューリッツァー賞の音楽部門をヒップホップ界で初めて受賞した、稀代のリリシストであるKendrick Lamar。
らしさ全開のダークファンタジーな世界観の楽曲の元ネタは、まさかのBruno Marsによるシャイニーなサウンドのファンクポップソングでした。

近年の楽曲の中でも、サンプリングを説明する上でこの上なくお誂え向きな本作。
高速で逆再生した原曲24K Magicをサンプリングして、チョップ(切り分け)とフリップ(組み替え)により再構築することで、新たな命が吹き込まれていることを感じることができるのではないでしょうか。

プロデューサーのTerrace Martinが、Rapsodyに提供された同じく24K Magicを元ネタにしたKhrysisによるトラックを耳にしてアイデアが沸いたことが、LOYALTY.の製作のキッカケ。
サンプリングという創作の連鎖により、歴史に残る名作が生まれたのです。

▶︎co:doのサンプリング(再構築)

現在co:doが半纏やモンクバッグを製作している中で使う「再構築」という言葉。
まさにサンプリング精神から由来するデザイン手法として用いています。

おうちで過ごすことが多くなるこのゴールデンウィーク、それぞれの生産背景をnoteにてしっかりとまとめていますので、お時間ありましたら是非ご覧ください。

現在製作中、お坊さんの袈裟をデザインソースに纏うカバンとして再構築したモンクバッグ。
素材とシルエット、着心地を見直し、よそ行きアウターとしても着用できるよう再構築した半纏。

co:doは一つひとつのディテールやその素材にしっかりと向き合いながら、自分たちのアイデアを乗せて新たなアイテムとなるよう創作しています。

オマージュとパロディ、そしてサンプリング。
このnoteがそれぞれの微妙なニュアンスの違いに対する理解の一助になれば幸いです。

全てのモノづくりに携わる人に敬意と愛を。
ではでは。

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