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せつなくて、かなしくて。

 数千人が暮らしていた仕事と生活の場から、ときの流れによって今のすがたになった軍艦島。当時の写真をながめていると、子供たちの歓声や魚屋さんのかけ声までが聞こえてくるような気がします。

軍艦島の写真は観光サイトからお借りしました

 次の写真は北海道三笠市郊外にある「奔別(ぽんべつ)炭鉱」の立坑櫓とホッパー跡地。高さ51メートルの立坑櫓は東洋一と言われたそうです。

立坑櫓
ホッパー

 ホッパーとは不純物を除いた石炭を一時貯蔵し積み出すための施設。そのための鉄道も敷かれていました。施設の完成は1960年でしたが、1971年には炭鉱が閉山してしまい。
 閉山後の急激な過疎化で奔別の市街地人口も5千人から百人程度まで減り、自分がこの地区に行くと必ず寄っていたそば屋さんも店をたたんでしまいました。そのあと奇跡的に後継者が見つかり営業を再開したそうですが。

閉店していたそば屋さん

 軍艦島や奔別に限らず廃墟やその町並みは一種のアートであり、どこか懐かしさや切なさ、不思議な安心感を与えてくれる存在です。人間は過去を美化する生き物で、どこかに昔は良かったなとか、戻りたい、その時代に帰りたいという願望があるように思います。戻れないからこそ、その全盛期を思い切ない気持ちになってしまう。


 時間の経過により造られたものが、だんだんと自然にかえってゆく。その姿は儚く、せつなく、悲しくて、美しいものです。どんなものも無常であるというのが世の定め。盛者必衰。栄枯盛衰。諸行無常。そんなことを思いながら、ノスタルジィの世界にひたっています。



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