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向日葵のきみへ

わたしはひとりで眠ることが下手になってしまった。 出会ったのはマッチングアプリで、数日ぶりに開いたところに彼からの連絡を目にしたからである。話をしているうちに、一緒にゲームをしようかということになった。彼がコントローラーを新調しに行くというので、私が一緒に行きたい!と言ったのが初めましての由縁だった。 オレンジ色の派手なアウターに、わたしとは真逆の性格の人だと、格好だけで思った。特に本人確認をするわけでもなく、向かいから歩いてきた彼は、私の歩く方向に向きを変えて歩き出した

    • 2022.9.26

      もう一生会いたくない とある日を境にそう思うようになった。 それで良かったのだろうか。 もう死ぬまで、きっと死んでからも、会えなくて良いのだろうか。死にかけた夏の日、起き上がって一番に思ったのは、「今死んだら彼には伝わるんだろうか」だった。そう思ったくせに、わたしは連絡を絶った。 生涯好きであろう と何時か書いたけれど、やっぱりそうなのだと思う。こんなにたくさん時間が経ったのに、わたしはまだ覚えている。 布団に潜り目を瞑ると、目の前に彼がいる。 わたしは貴方に可愛い

      • 2021.01.20

        貴方が居なくては生きていかれない。 「誰かの為に生きたい」「誰かが生きる為に生きていたい」今まで一度だって思いはしなかった。他人の為に何故自身を犠牲にして生きなくてはいけないのだと、恋人が居よう時でも、ずっと思ってきた。タトゥーがあることも喫煙者であることも、他人に否定される筋合いはない。 「大事で堪らないからずっと一緒にいて、生きていけない」という私に、貴方は「俺が居なくても世界は回るぞ」と少しふざけて言った。私は泣きながら「貴方が居ないと回らないの!」と彼を抱き締めた

        • 藍白

          嘗て私が捨てた記憶、消えていた過去が、この頃やたらと頭に浮かんでは離れない。砂のようにさらさらと、風に飛ばされたかの如く消えたはずの過去。耳の真珠を見ても、煙草を吸う時目に入るガラスの指環を見ても、巻き戻し再生でもしたのかと思うほど、鮮明に浮かぶ。苦しい。匂いも声も、勿論 顔も、もうとっくに忘れた。そうであるのに、貴方から貰った、今はもう無い指環を、言葉を、行動を、全て未だに覚えている。頭を撫でてくれた手を、優しさを、覚えている。柔らかくて暖かかった。それでも死んで欲しかった

        向日葵のきみへ

          彼がくれたお下がりの服から、彼の匂いが消えていた。私の中から彼が消えた頃。 勿論思い出しはする。それでも、なんていうか、愛おしさとか懐かしさとか、今まで抱いていた温かさはもうミリも無かった。貴方を失った事でなくて、貴方が居なくなって空いた時間が虚しい。まあ貴方が居ても、近頃の時間は空いていたけれど。 いつまでも、餌を与えずとも、私が居ると思っていたのだろうか。私がすぐ居なくなろうとすることを、貴方は知っていたはずでしょう。それでも。 私が言い出さなければ、貴方はずっとこ

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           私の今日までの人生で一番大切なひとは、友達にも恋人にも、兄妹にもなれるオールラウンダーなひとである。何度だって言う。恋人にもなれると言ったが、恋ではない。煩ってなどいない。強がりで言っているのではない。優しく包み込んでくれる、特別だと言ってくれるそれが、恋人への愛に似ているなと、身勝手に思っているだけである。愛おしくて愛おしくて、何度言葉にしようと溢れて留めることが出来ない。日々、私に新しい優しさをくれる、私の大事なものを一緒に大事にして温めてくれる、そういうひと。兎にも角

          大切なひととのこと

           髪を撫でる愛おしい心地に、腕のタトゥーをさする滑らかな心地。子どもをあやす様に優しく撫でてくれるのも、子犬をわしゃわしゃと愛でるように撫でてくれるのも、大好きで心地がいい。いやらしさを感じない触れ方は、愛されてるなあと思える。  そういえばあなたは、「髪傷んでるね(笑)」やら「タトゥーまた増やしたの?(嫌味)」やら、蔑むようなことは一度も口にした事がないね。(信じられないかも知れないんだけど、まじで今まで「髪傷んでるね(笑)」ってほぼ絶対的に言われてきたの、次言われたらぶ

          大切なひととのこと

          恋と愛の討論会

          一 恋と愛の違い  恋は落ちるもの。勝手に、一方的に、無意識的に、心を隠して。自分の欲求の為のもの。  愛は育むもの。一緒に、相互的に、意識的に、時にぶつかり合って。相手の為を思えるもの。  よく、恋と愛の違いは見返りの有無だという。恋は見返りを求めるもの、愛は見返りを求めないもの。本当にそうか?逆じゃないか?  例えば、片思いの相手にやんわり好意を伝えたい時「あなたの○○なとこ好きだな〜」なんて言ってみたりするけれど、それに対して「俺も君の○○なとこが好き」(私視点で

          恋と愛の討論会

          (未定)

          劣等感を、孤独を、珍しく感じてしまった。突然どん底に落ちた気分になってしまったのだ。映画にあるような、何かに吸い込まれて途端に落ちていく、あの感じ。以前ストーリーで答えた「愛がなければnoteが書けない」 のことを考えていた。どれだけ愛に飢えているのだろう。愛を貰いたい、それと同じくらいに、愛を伝えたい。あわよくば、貴方に。 言ってしまえば、此処の人間に毎日愛は貰っているし、伝えてもいる。それが私を立たせているのも事実だ。しかし私がいま求めているのは、画面越しに親指で伝える

          (未定)