最近の記事

差別心モニタリング

自分は差別していない 自分に差別意識は無い と考えたら、認識的にはそこでお終いだろうと思います。 いつ自分が他者を差別するか解らない いまの自分の言動が差別の可能性がある これらを常に考え続けるべきです。 綱渡りをしたり、平均台を歩いたりするような認識の状態で、それはとても気が休まるものでは無く疲れるし、自分の内心をネガティブにモニターするのは心地良いものでも無いですが、不快だから差別心と向き合わなくて良いとはなりませんからね。

    • うっかりの記録――OR関数とAND関数

      はじめにこの記事は、下記の記事内容を踏まえています。 条件判定の総合FILTER関数の挙動の解説 上記の記事における話の流れは、次のようです。 FILTER関数は、ある範囲を行方向または列方向でフィルターする関数である FILTER関数の第2引数は、条件と説明される事が多いが、その実態は、行または列の可視状態を定義する配列引数である 第2引数には直接OR関数やAND関数は入れられないので、配列を返すような比較演算数式を入れる 複数条件になれば、上記比較演算数式の

      • COUNTIF関数を使った条件判定とフィルター

        はじめにこの記事は初学者向けではありません。基本的な数式・関数の仕組みや、引数と戻り値、行・列などの用語を把握しており、テーブルと構造化参照を理解しているのが前提です。 追記:2024年7月19日補足説明の記事を書きました。 比較演算による条件判定おさらい 以前の記事です↓ ここでは、FILTER関数の第2引数が、行または列の可視/不可視を決める、真偽値か数値からなる配列である、というしくみを説明しました。その中で、引数の内容を明確にするために、参照先のテーブルに作

        • FILTER関数の突っ込んだ話

          はじめにご注意 この記事は初学者向けではありません。基本的な数式・関数の仕組みや、引数と戻り値、行・列などの用語を把握しており、テーブルと構造化参照を理解しているのが前提です。 流れ 以前、Excelのワークシート関数であるFILTER関数について詳細に説明しました。 ここでは、FILTER関数がどのような機能を持つか、それぞれの引数がどのような役割を持つか、などを細かく書きました。 特に、第2引数が、真偽値か数値を要素とした配列である事を強調しました。多くの解説で

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          《過剰診断という文字》

          説明の際に過剰診断の語、文字列そのものを使わない事に何らかの意図があるとして、意図の内容によってはそれは批判される場合もあるでしょう。しかるにそこからただちに、過剰診断という文字を使うべきだ、とはなりません。 着目しているのは検診、特にがん検診であり、そのプロセスにおいて、招待(invite)される対象がいかに、検診の便益と害の種類および、それらが発生する程度を正確に知る事が出来るかが、説明の手順には要されるわけですが、その要件に関して、 過剰診断なる文字列そのものを説明に

          《過剰診断という文字》

          そもそも難しい検診のはなし

          上記記事は、乳がん検診を受ける場合のメリット・デメリットについて解説しているもので、かなり丁寧に書かれています。 この記事を読みながら、読者の反応として受けが悪いかも知れないな、と思っていました。実際、Yahoo!のコメント欄を見ると、納得いっていないようなものが散見されます。案の定こう捉えられるだろうな、というのがいくつもありました。 当該記事のようなものがあまり受けが良くない、場合によっては批難さえされるのは、致しかたが無いところがあります。これまで散々、検診を受けま

          そもそも難しい検診のはなし

          PRESIDENT Onlineにおける、胃がん検診に関する記事について

          この記事の内容を真に受けてはいけません。以下、解説します。 がん検診において早期発見(early detection)とは、無症状時に疾病を発見する事です。検診の失敗は、検診と検診のあいだで症状が出て発見される、のような場合です。 先述のように、早期発見とは無症状の時に見つけるのを意味します。対策型検診も任意型の検診も死亡リスクを下げるのが効果ですが(どちらも結果の確率の事です)、それが指標として用いられるのは、たとえ発見が増えても、延命という結果を左右する点(クリティカ

          PRESIDENT Onlineにおける、胃がん検診に関する記事について

          統計学の良い資料

          神戸大学大学院経営学研究科の分寺杏介氏による、統計学関連の講義資料です。 今まで、いくつも統計学関連のテキストや講義資料を見てきましたが、豊富な図解と丁寧な説明を駆使してこれほど明瞭に仕上げているものは、ほとんど見た事が無いです。良い資料群だと思いますので、ここで紹介しておきます。

          統計学の良い資料

          誤解されるEBM

          オカーシャによる科学哲学の本を読んで気になった所。因果推論について解説している部分です(強調は引用者による)。 EBMをよく勉強した人が見れば、そんなわけあるかと感ぜられる文でありましょう。この文は、EBMの支持者であってもそういう人がいる、のような表現ではありません。それが代表的あるいは多数の意見である、と読めるものです。一部が唱えているだけであれば、敢えて運動の支持者などと強調する必要は無いからです。 EBM方面において、臨床的証拠の確実さや推奨の程度について評価する

          誤解されるEBM

          標的集団パラメータと帰無仮説と帰無分布

          統計的推測でとてもややこしい所、それは、帰無仮説は標的集団パラメータについての設定であるのに対し、帰無分布は標本分布を指す、という事です。 まず、着目する大元の集団、つまり標的集団から要素を無作為に得られると考えると、その要素は特定の確率分布に従っている、つまり確率変数であるとみなせます。これが大前提です。 次に、帰無仮説とは、着目する標的集団パラメータがパラメータ空間に属する特定の値である、というような仮説です。パラメータ空間とは、パラメータが取り得る値の集合です。

          標的集団パラメータと帰無仮説と帰無分布

          ドメイン知識に基づいた評価の必要

          この種のニュースに対する反応として見られるのは、 そのようなミスは起こるべきで無かった。医師の責任は重い ミス自体は起こり得る事だ。医師は反省して、再び医療の現場で命を救って欲しい こういう意見ですね。しかるに、これらいずれの意見を言うにも慎重になるべきです。必要なのは、 当該専門分野において当該事例がどのくらいの蓋然性で起こり得るものだったか という情報です。 あるミスについて、それが起こるか起こらないかのみで話をするのが適切で無いのは解ると思います。絶対にミス

          ドメイン知識に基づいた評価の必要

          XLOOKUPとINDEXMATCHと構造化参照

          前提上記2つの記事を踏まえた内容です。 INDEXMATCHとXLOOKUPオプションの材料 前の記事では、INDEX関数とMATCH関数を組み合わせた検索抽出方法を紹介しました。そこでは、INDEX関数の材料が、 データを取り出す範囲 範囲での縦番号 範囲での横番号 であるのを利用して、2番目と3番目の材料にMATCH関数を入れる事で柔軟な検索と抽出が可能であるのを示したのでした。 ここで改めて、INDEX関数の材料を見てみましょう。 列番号とは、横番号を

          XLOOKUPとINDEXMATCHと構造化参照

          FILTER関数とスピルのしくみ

          よくすすめられる関数Excelの最近の関数で、便利なものやおすすめのものはあるか、という話で、FILTER関数が紹介される事があります。今回は、その関数について説明します。 注意事項FILTER関数ならびに、一緒に説明するスピル機能は、2020年頃に追加されたものですので、使用バージョンに注意ください。 シートのフィルター機能説明に使うのは、回転寿司を食べた記録です。 この種の表で、表を絞り込みたい場合があります。たとえば、一皿150円の寿司を食べた記録を絞り込んで表

          FILTER関数とスピルのしくみ

          現象の枝

          大谷選手まわりの話。 報道等で色々の情報が発信され、受け手が様々に解釈してまたそれが広く発信されます。 いままでに報道された情報で、おそらくこれは確実であろうとみなされるものがいくつかありますね。水原氏が違法賭博に手を染めたとか、それに使われた金が大谷選手の口座から送金されたとか。 しかし、それ以外については、あまりはっきりしていません。そして、そのはっきりしない要因が何であるかによって枝分かれし、社会的な取り扱いが異なってきます。つまり、考えられる枝分かれの内で実際どの

          現象の枝

          “ニセ科学、法的に取り締まろうぜ” なる意見について

          ニセ科学とは、 科学のようで科学で無い 言説を指します。意味内容の検討に深く広い議論がありますがひとまず措いて、その概念そのものには、人を騙すとか、社会的経済的健康的害をもたらす、などの要件は入っていません。したがって、その概念を援用して ニセ科学を法的に取り締まろう と取れるような一般的表現をおこなうのは適切ではありません。 分野を問わず色々の実害を及ぼす言説を流布する事に法的な観点からのペナルティを課すのは検討されて良いし、詐欺その他の行為に対して既に実装されてい

          “ニセ科学、法的に取り締まろうぜ” なる意見について

          構造化参照による、リスト入力規則の動的変更

          ※初学者向きではありません Excelでテーブル化をおこなうと、テーブル領域はデータベース的構造となり、自動的に各部分が名前付き範囲として定義されます。 各表をテーブル化して、 tabeta_table neta_table という名前をつけました。いま、tabeta_tableのネタ列について、入力規則を使ってリスト入力する事を考えます。 基本的なやりかたは、リボンのデータからデータの入力規則を選んで、リストで各項目をカンマ区切りで設定するものです。 上の図が

          構造化参照による、リスト入力規則の動的変更