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ドメイン知識に基づいた評価の必要

この種のニュースに対する反応として見られるのは、 そのようなミスは起こるべきで無かった。医師の責任は重い ミス自体は起こり得る事だ。医師は反省して、再び医療の現場で命を救って欲しい こういう意見ですね。しかるに、これらいずれの意見を言うにも慎重になるべきです。必要なのは、 当該専門分野において当該事例がどのくらいの蓋然性で起こり得るものだったか という情報です。 あるミスについて、それが起こるか起こらないかのみで話をするのが適切で無いのは解ると思います。絶対にミス

    • XLOOKUPとINDEXMATCHと構造化参照

      前提上記2つの記事を踏まえた内容です。 INDEXMATCHとXLOOKUPオプションの材料 前の記事では、INDEX関数とMATCH関数を組み合わせた検索抽出方法を紹介しました。そこでは、INDEX関数の材料が、 データを取り出す範囲 範囲での縦番号 範囲での横番号 であるのを利用して、2番目と3番目の材料にMATCH関数を入れる事で柔軟な検索と抽出が可能であるのを示したのでした。 ここで改めて、INDEX関数の材料を見てみましょう。 列番号とは、横番号を

      • FILTER関数とスピルの仕組み

        よくすすめられる関数Excelの最近の関数で、便利なものやおすすめのものはあるか、という話で、FILTER関数が紹介される事があります。今回は、その関数について説明します。 注意事項FILTER関数ならびに、一緒に説明するスピル機能は、2020年頃に追加されたものですので、使用バージョンに注意ください。 シートのフィルター機能説明に使うのは、回転寿司を食べた記録です。 この種の表で、表を絞り込みたい場合があります。たとえば、一皿150円の寿司を食べた記録を絞り込んで表

        • 現象の枝

          大谷選手まわりの話。 報道等で色々の情報が発信され、受け手が様々に解釈してまたそれが広く発信されます。 いままでに報道された情報で、おそらくこれは確実であろうとみなされるものがいくつかありますね。水原氏が違法賭博に手を染めたとか、それに使われた金が大谷選手の口座から送金されたとか。 しかし、それ以外については、あまりはっきりしていません。そして、そのはっきりしない要因が何であるかによって枝分かれし、社会的な取り扱いが異なってきます。つまり、考えられる枝分かれの内で実際どの

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          “ニセ科学、法的に取り締まろうぜ” なる意見について

          ニセ科学とは、 科学のようで科学で無い 言説を指します。意味内容の検討に深く広い議論がありますがひとまず措いて、その概念そのものには、人を騙すとか、社会的経済的健康的害をもたらす、などの要件は入っていません。したがって、その概念を援用して ニセ科学を法的に取り締まろう と取れるような一般的表現をおこなうのは適切ではありません。 分野を問わず色々の実害を及ぼす言説を流布する事に法的な観点からのペナルティを課すのは検討されて良いし、詐欺その他の行為に対して既に実装されてい

          “ニセ科学、法的に取り締まろうぜ” なる意見について

          構造化参照による、リスト入力規則の動的変更

          ※初学者向きではありません Excelでテーブル化をおこなうと、テーブル領域はデータベース的構造となり、自動的に各部分が名前付き範囲として定義されます。 各表をテーブル化して、 tabeta_table neta_table という名前をつけました。いま、tabeta_tableのネタ列について、入力規則を使ってリスト入力する事を考えます。 基本的なやりかたは、リボンのデータからデータの入力規則を選んで、リストで各項目をカンマ区切りで設定するものです。 上の図が

          構造化参照による、リスト入力規則の動的変更

          スピルスピルと言うけれど

          確かに便利です。けれども。 バージョンにより対応していない テーブル内で使えない この2つの理由により、積極的に使用する事が憚られます。前者はしばらく経てば問題にならなくなります。しかるに後者については、スピルの利便性とテーブルの合理性とを天秤にかける訳ですが、圧倒的にテーブルの合理性でしょう。構造化参照はそれほど重要であると、私は思います。 大袈裟で無く、Excelで表を作成する場合は、よほどの例外的な時で無ければ、テーブル化(ListObjectオブジェクト化)す

          スピルスピルと言うけれど

          XLOOKUP関数のしくみ

          これまでの話データを見つけ出す2つの方法 前回と前々回では、ある範囲から見つけたいデータを探し出す2通りの方法を紹介しました。 この2つのやりかたの概要は次の通りです。※寿司の価格、ここではサーモン皿について調べたいとします VLOOKUP関数 ネタの集まりとそれに対応する価格を含んだ範囲について 左端の縦並びからサーモンを探し 見つかったら、その真横にある何番目かのものを取り出す INDEX関数とMATCHの組み合わせ ネタの集まりとそれに対応する価格を含

          XLOOKUP関数のしくみ

          INDEX関数とMATCH関数の組み合わせによるデータ取得のしくみ

          はじめに前回の記事では、データを縦に探して行って、見つかったら真横にあるデータを返すVLOOKUP関数のしくみを説明しました。 そこで説明したように、VLOOKUP関数には、探す範囲の縦並びが左端に無ければならない、などの弱点があります。そういう事情から、VLOOKUP関数を説明する流れで、もっと便利なやりかたとして、 INDEX関数 MATCH関数 この関数を組み合わせたものに言及される場合があります。本記事では、そのしくみについて説明をおこないます。 注意事項今

          INDEX関数とMATCH関数の組み合わせによるデータ取得のしくみ

          リスクの認識と行動

          他のものにもリスクがあるではないか、と単純に考える話ではありません。問題は、 それを摂るのと摂らないのとでどのくらいリスクが変わるか そのリスクを認識しているか これです。他のものにも病気を発生させるリスク(確率)があるのはその通りですが、いま考えている物、ここでは酒を、それを摂らない(曝露しない)場合と摂る(曝露される)場合とでどのくらいの大きさで変化するか、を検討して、他の物と比較する必要があります。そして、それを把握した上で、そのくらいのリスク上昇なら受け入れる/

          リスクの認識と行動

          VLOOKUP関数のしくみ

          はじめに VLOOKUP関数の習得は、Excelの習熟をはかる一つの目安として語られる事があるように思いますが、それはおそらく、そのしくみがそこそこ複雑なのと、実務で多用される可能性があるから、なのでしょう。 何番煎じか判りませんが、この記事では、VLOOKUP関数のしくみについて解説します。単に関数の構造を見るだけで無く、そもそもどういう事をしようとしているか、から説明しますので、ちょっと長たらしいですが、ご了承ください。 注意事項 この記事では、Google Sh

          VLOOKUP関数のしくみ

          ListObjectオブジェクトの罠

          何だと思いますか? それは……。 DataBodyRangeをDeleteしたら、DataBodyRangeがNothingになる ここです。これをよく解っていないと、テーブルのデータをクリアしたり、クリアされた所に新しくデータを入れる、というシナリオの時に引っかかりますね。消したものはもう消せないし、無い所に入れ込む事も出来ませんからね

          ListObjectオブジェクトの罠

          LOOKUPとINDEXMATCHと

          先日にちょっと話題になっていたトピック。 このアカウントの素性や、情弱なんて言葉を使って煽っているのは措いといて。 実際、VLOOKUP関数を使うか、XLOOKUP関数を使うか、あるいはINDEX関数とMATCH関数を併せて使うかは、要件によるとしか言いようがありません。 改めて説明するまでも無く、VLOOKUPとXLOOKUPとでは、圧倒的に後者が便利です。VLOOKUPだと融通が効かない部分がXLOOKUPで解消されていて、より簡潔に書けるので、使えれば使ったほうが良

          LOOKUPとINDEXMATCHと

          無の恐怖と、宗教への凭れかかり

          私は完全な無信仰ですが、実際、死は怖いですね。死への恐怖は詰まる所、無への恐怖ですが。現象的には自我が消え去る事への深い深い絶望感ですね。身体症状にも出る。いわゆるタナトフォビアってやつです。 以前、宗教について私は、死の恐怖から逃れるための概念装置である、と書きました。宗教にも色々のバリエーションがあるでしょうけれど、自我のような何かを持続させる所へ期待を持たせるという共通の構造を持っているのだと思います。同時に、その持続を断ち切る条件を提示する事によって、思想や行動へ強

          無の恐怖と、宗教への凭れかかり

          それはマナーと言うよりも

          座席がどうとか礼儀正しさとかはともかく。 これは、マナー云々の話と言うよりは、返信が無ければ、自分が断った事が先方に伝達されたかが不明瞭なままになる、との意味でコミュニケーションが途切れてしまうのが問題なのだと思います。つまり、完結していない。これがインシデント対応のオペレーションなら、クローズしないまま継続されます。ありますよね。この間の案件、やり取りが途中で終わっているみたいだけどどうなっているの? 的なのって。 そういう観点からは、別に返信で無くとも、リアクションでも

          それはマナーと言うよりも

          検診の考えと用語の整理

          以前に別所で書いたものを再録します。いわゆる検診の考えかたや専門用語についての説明です。それらは、日常的によく使われる語であるにもかかわらず、世間一般に正確には知られてはいませんので、整理しておく意義があります。おそらく、そもそも検診なる語の意味を把握していない人も多いでしょう。専門分野が絡む所で建設的な議論をおこなうには、まずその分野に関する用語の意味をきちんと共有しておく必要があります。 検診は症状の無い人におこなう 大前提です。検診とは、自覚症状の無い人におこなうも

          検診の考えと用語の整理