女性はなぜネイルをするのか

セラピーの手法に、「化粧療法」というものがある。

上に貼った資生堂のサイトには、化粧療法のメリットが、心、脳、身体、口腔、生活・ADLの幅広い観点から紹介されている。

実際に、化粧療法の介入によって健康度自己評価や、抑うつ性尺度の改善が認められていたり、

寒さから外出頻度が減少しがちな冬場の外出頻度が維持される効果が報告されたりしている。

おそらく、そうした効果を生むのは「化粧」に限ったことではない。
このnoteのタイトルにもあるネイルのほか、被服行動、頭髪ケア等、“自分をメンテナンスする” 美容行動の多くが、きっとそうした効用をもつのではないだろうか。

なかでもたとえば「女性はなぜネイルをするのか」について考えてみると、パッと思いつく限りでも以下のようなメリットがあげられる。

・手は視界に入りやすく、ネイルを見るたび気分が上がる
・自分の身体の一部である爪がきれいで華やかだと、自尊感情が上がる
・自分の爪をケアすることは、広く捉えると「セルフケア」であり、自分を大切にする行為である
・自分の好きなデザインをセレクトすることで、自分の個性を表現することができる
・ネイルを媒介にして、人との会話が活性する
・ネイルを褒められることは、自分が褒められることとニアリーイコールであり、喜びとなる

一般に、ネイルは女性に特有な文化であるが、特に最近では、美意識の高い男性のなかにはネイルをしている人もチラホラ見かけるようになった。

「ジェンダーレス男子」という言葉が流行し、美容に気を遣う男性はどんどん増えている。その理由を考えてみると、やはり美容には前述のような多くのメリットがあるからかもしれない。そう考えると、女性だけでなく男性も美容に対して気を遣うことはごく自然なことのように思えるし、むしろなぜこれまでネイルや化粧は女性に特有の文化として継承されてきたのかと、疑問にすら感じられる。

また、逆にいえば、急に自分の見た目や身だしなみに関心がなくなったり、気を使わなくなったりすることは、心の不調の現れだと捉えることもできる。

服とか化粧品とか、「あれも欲しいこれも欲しい」と物欲まみれになってしまうことは大変でもあるが、それは美容に対して関心を持てているという、自分の心が健康であることの証明にもなり得るのだ。

そして冒頭で紹介した資生堂の研究成果にもあるように、行動療法(行動によって認知を変えること)の観点から考えると、美容行動を積極的にとっていくことで、抑うつ状態となった心の健康度を改善することもできるかもしれない。

人がごく自然に行っている美容行動には、実は人間にとって非常に大きなメリットがきっと潜在している。

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