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彩り豊かな、西荻窪へ
まばゆい陽射し溢れる七月中旬、ゆるりと西荻窪を散策しました。
・yuè
西荻窪駅からなだらかな道を歩いた先にある、”旬のお野菜とスパイスとハーブのお店” yuèへ。
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古びた木のドアを開けると、あたたかな温もりを感じられるカウンター席が続いていて、その上には瓶に詰められたスパイスがずらりと並んでいる。
くつろげる空間にするため、会話は控えめに、入店は二名までと決められた店内は、静けさが漂っていて喧騒を忘れられる。心地よい空間に溶け込むように、調理の小気味いい音と穏やかな音楽がきこえた。
一度食べてみたいと思っていた、”お野菜プレート”を迷わず注文した。手前にふたつ置かれた、ちいさくて丸いコロッケが特徴的でかわいらしい。
この日はゴーヤと荏胡麻の葉の炒め物、ローストビーツとプラムのマリネ、加賀茄子のトマト煮込みと、種類豊富な夏野菜が甘味、苦味、塩味とさまざまなスパイスで味付けされていて、一皿だけで奥深さを存分に愉しめた。
ひとつひとつの食材を噛み砕くたびに、ふわりと口の中に広がる野菜そのものの風味。夏の情景がふと頭の中に浮かぶようだった。料理でこれほど強く季節を感じたのは初めてかもしれない。
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・驢馬とオレンジ
昼食の後は小さな通りに面したカフェ、驢馬とオレンジへ。
入口に置かれた看板のやさしい字体と、あたたかい色の灯りが迎えてくれる。
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からからとガラス戸を開けた先に広がる店内はノスタルジックな雰囲気溢れる内装で、眠ってしまいそうほど落ち着いている。ひとり本を持ってふらりと向かいたくなる場所だと思った。
店主の方がネルドリップでじっくりと時間をかけて淹れてくださる珈琲は、酸味がすくなくなめらかな口当たり。
こんがりと焼き目のついた自家製のブラックチーズケーキは甘さ控えめで、左側には黒胡椒がはらりと散り、右側にはオレンジピールが添えられている。そして何より、あかるい色調のテーブルや、店内に吊られた橙色の照明に色合いがぴったりと合っていて、見た目の美しさに心惹かれた…
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・OKASHIYA Karhu
かわいらしいクマのイラストが印象的な、OKASHIYA Karhuへ。
“Karhu”とはフィンランド語で「クマ」を意味する。縁起物の象徴であるクマと、ゆかりがある土地のフィンランドを掛け合わせ、「フィンランドのお菓子とカフェをたのしむ日常のように、長く愛されるお店になるように」という想いを込めて、”Karhu”と名付けたのだそう。
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“レモンケーキとお酒にも合うお菓子のお店”がテーマの店内には、焼き菓子が美しく並べられている。黄色い包み紙のふっくらとしたレモンケーキが山のように詰まれていていとおしい…
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いちばん人気の塩チョコガレット、エダムチーズと塩のクッキーが包まれた巾着袋と、レモンケーキをふたつ買った。日々の愉しみがまたひとつ増えてうれしい。
・コマグラカフェ
最後は少し足を延ばし、吉祥寺にあるコマグラカフェへ。
小さな建物の三階にひっそりと佇む様は、まさに知る人ぞ知る隠れ家そのもので、注意深く歩いていなければ見落としてしまう。
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扉を開けた先は、ここに通いたいと直感的に感じ取ってしまうほど穏やかな雰囲気に満ちている。声をひそめて会話を愉しみたくなるような空間で、ひとりで立ち寄る場所としても最適。
ドライフラワーやかわいらしいカップとソーサー、家の形をした小さな小物など、店内には彩りを添えるように雑貨が飾られていて、親しみのある誰かの家を訪れたときと似た安心感を覚える。
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注文したのはいちごのクリームソーダと、いちじくと三河みりんのガトーショコラ。
透き通った淡いソーダと、底に沈んだいちごソースの色合いが綺麗。小さな花で飾られたアイスクリームのつめたさが、猛暑の中で水分を奪われた体の芯に染み渡っていく。”生き返る”という表現がぴったりなこの瞬間は、夏だからこそ感じられる至高。
花びらが散りばめられたガトーショコラは、ずっしりと重ための生地の中にみりんで煮た干しいちじくが練り込まれている。外側にぐるりとかけられた、ほろ苦いカラメルとの相性もいい。
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圧倒されるほど鮮やかなチェーン店や薬局の看板が密集した駅前、バスロータリー、周辺には八百屋や精肉店が軒を並べる通りがいくつかあり、”暮らし”に注目している街という印象を受ける西荻窪。
その一方でお洒落なカフェやアンティークショップ、小さな雑貨屋が多く点在していて、それぞれが独自の世界観を持つ。今回訪れたお店を思い浮かべてもひとつとして同じものはなく、唯一無二の魅力がきらめいていた。
まだまだ訪れてみたいお店が沢山あるので、暑さが和らいだ頃に再訪したい。
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