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【梅干し初挑戦】 その記録と来年の私へ


5月の終わり、祖母の家を訪ねました。四季を通じて大きな畑でとれた野菜とその料理が信じられないくらい美味しい。その野菜で漬物もつくっていて、梅干しもあったなとふと気になって聞いてみた。


「ばあちゃん、梅干しって毎年つけているの?」
「ここ数年はやってないねぇ、でも昔のがまだあるよ」
「食べてみたい!」
「うちは昔ながらのだからしょっぱいよ」

そういって出してくれた梅干しは小粒で真っ赤。

口に入れたら想定より3倍くらいしょっぱかった。口の中の水分全部引き出されるような。
今これを読んでる人の口の中もキュってなってるかな。


「いつのものなの?」
「さてねぇ、あ、平成17年って書いてあるね」
「……平成って何年まであったんだっけ…」

今が2021年、16年前のものでした。美味しい。
まぁ300年前の梅干しもあると言うし。
しっかり保存食。

先人の知恵ってすごいなと思いつつ同時期に梅干しの体への健康効果の記事もどこかで読んで興味が湧いていた帰り道、寄った本屋で料理コーナーを覗いた。


ちょうど青梅が旬の時期だったのもあり梅干しコーナー書籍が設置されていました。その中にライフスタイルや料理への向き合い方含め好きな有元葉子さんの著書が。

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パラパラめくって知った事実

え、「ゆかり」って梅干しを作った副産物なの!?!?

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梅干しのあの赤色は赤紫蘇によって染まっていることは知っていましたが、それを乾燥させて細かくしたものがいわゆる「ゆかり」


一度で2度美味しい、おまけ/副産物ってなんか嬉しい。
よしやってみよう。本を購入。
今年梅干し作りに挑戦する決定打となったのは「ゆかり」でした笑


【梅を手に入れる】



梅仕事の行程はざっくりいうと、材料を揃え、塩漬けし、紫蘇で色付け(しない場合もある)、干す、完成。あの酸っぱさは酢を入れるのではなく梅本来のエキスで成り立っていると知ったのも今回の発見。

さて梅を買おう。近所のスーパーにも並んではいる。
でもどうせならと珍しい野菜も扱っている素敵な八百屋さんへ。

「梅干し用の梅って取り扱ってますか?」
「ああ、今日はないけどちょうどいい、今週末収穫しにいくよ!」
「え、収穫?(仕入れや買い付けではなく?)お願いします!」
「取り置きしようか、何キロがいい?」

梅ってつけたら小さくなるよな、そもそも容器もまだない
初心者は二キロからって本に書いてあったけど…

「私今回初めて挑戦するので量感がわからなくて…」
「それなら…ほら、あの瓶に入ってるので去年500グラムでつけたんだったかな」

そういって店主さんが指さしたのはWECKの瓶に入ったぽてぽての梅干し。


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公式より画像をお借りしました。写真は青梅ですが左のガラスに大きな梅干しが入っていまして。
https://www.weck.jp



かわいい瓶!思い描いていたサイズ感、あれ2個くらいでいいかな

「じゃあ1キロお願いします!」
「かしこまりました。じゃあまた来週ご用意しておきますね」

そうして手に入れた梅。しばらくは部屋で追熟。
熟れていくにつれ黄色になり部屋が芳醇な香りで満たされます。あの数日は帰宅するたびに香りに包まれて幸せだったな。

初日

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最終日

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塩は天然塩にしました。

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【梅の準備・下漬け】


完熟した梅。水で優しく洗い、丁寧に水気を取り、竹串でヘタをとります。壊れ物のようにそーっと扱う。

そこから痛みの大きいものをいくつかはじいて。
梅干しに使うものは結局680gくらいに。
680gに対して18%の塩も計る。

手持ちの瓶を消毒して塩、梅、塩、梅と交互に並べました。

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もうギチギチ。ぴったりすぎて680gに減ったことに感謝したくらい。瓶のサイズは750mlだったかな。
空気に触れないよう上にペーパーを被せ、おもしの替わりにココットを。

浸透圧で日々沈んでいく梅。溶けていく塩、上がってくる水分。この水分のことを「梅酢」と呼ぶのだそう。


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「梅酢がちゃんと上がるか」も仕上がりの目安。ある程度重さがないと梅酢が出ないそうなので時々重りを調整しながら。

温度が一定で暗く湿度も低く、様子が見れる場所を考えた結果、キッチンの下とかではなくクローゼットのチェストの上で毎日観察することに。
約10日、下漬け期間。

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ちなみに傷んで梅干し選考から外れた梅は傷んだ部分だけを切り取り、果肉だけにして氷砂糖に漬けてみました。

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翌日にはこの溶け具合。果肉の断面が見えているから水分が引き出されるのも早いのでしょうね。

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炭酸で割ったり日本酒で割ったり。

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数日楽しみました。来年はもっとやろう。



【赤紫蘇の準備】


下漬け期間の終わりと梅酢が上がるタイミングと赤紫蘇が出回るタイミングって大体一緒なのだとか。季節の手仕事って感じがいいな。

赤紫蘇を買ってきました。スーパーでひと袋分。かなり入っていましたがこの量がはたしてどれくらいのゆかりになるのか…梅自体は1キロと少量ですが、ゆかりはなんぼあってもいいだろうと売られていた分そのまま使います。

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まずは硬い軸をとり葉だけに。
膨大な量なので動画とかラジオとか聞き流しながら、田舎だったらご近所さんと一緒にお喋りしながらも楽しそう。
(これで3/4くらいのかさに)

粗塩で揉み込みアク抜き
どんどんしなしなになり握り拳くらいまでちいさく…私のゆかり計画が…
アク抜きをしっかりすることで鮮やかな赤色に発色するとのことで気合を入れて何度も水を変えました。(後でわかったのですがこの段階で色素も抜けすぎたらしく今回梅はそんなに赤色になりませんでした。何事も適度に、ですね。)
来年の課題だな。

【いよいよ梅干しの本漬け】



・下漬けが完了した梅
・アク抜きが完了した赤紫蘇

交互に重ねるとかはせず、紫蘇をほぐしながら表面を覆うように敷き詰めます。(本当はここで梅酢が綺麗な赤色に染まっていくのを見れたはずだった。あれ、おかしいな時間の経過が必要なのかしらと思いながら見守ってましたが僅かに赤色の色素が滲んだ程度)

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6月後半から7月半ばの梅雨。本漬けの期間と重なり、外の雨を眺めながら季節に合わせて生きるって面白いなと都心暮らしで自然と触れ合う機会も減った中感じたり。


【梅の土用干し】

7月後半から8月にかけて梅雨が明け、連日太陽が本気を出してくる時期。夏の土用の頃に天日に梅を干すことから「梅の土用干し」と言われています。土用と言えば「ウナギ」でしたが新しい知識。
暑さに弱い私は毎年梅雨明けが憂鬱だったのですが今年は「梅干しが干せる!!」とちょっと喜び。先の楽しみを散りばめておくのって大事。

本では竹ざるに並べるとの事でしたがそんなものは家になく…湾曲したザルボウルでは並べられない。ベランダに干すなら吊るさないと。どうしたものかと思案していたらスリーコインズでぴったりなものを発見。

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平たい、2段もある、吊るせる、コンパクトになる、何より300円!

https://www.palcloset.jp/3coins/


紫蘇を外し、梅酢の水分を軽く払って並べます。いやあかわいい。(結局赤色には染まらずオレンジでちょっと不安)下にベランダの野菜がいる。

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下に汁が垂れるので新聞紙等を敷くか、私は植物の水やりついでに水で流してました。

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朝取り出し並べ、夕方には取り込み漬け汁に戻すを繰り返して3日ほど。日に当てることで皮が柔らかくなる効果も。
乾燥させて水分を飛ばし、漬け汁を浸透させることで赤色が染み込む…はずだった。アク抜きに気合を入れすぎて色は染まらないし1日取り込み忘れてそのまま2日連続で干されたりもしましたがお天気には恵まれ。

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なんかいい感じ…!意図せず赤くないタイプのはちみつ梅干しみたいになったぞ。


梅干しの保存容器もあれこれ調べたのですが(スクショで失礼します)

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【理想のぽてぽて梅干し】



手持ちのガラス容器にちょうど収まりました。
約20個。理想のポテポテ具合。

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できれば来年まで少し残しておいて味比べをしたいなと思いつつ…年数が経つことで塩がなれてまろやかになるのだとか。来年はたくさん作れたらいいな。


そして今回のきっかけとなったゆかり。
天日干しの後、レンジでカラカラになるまで水分を飛ばしミニチョッパーで細かく。だいぶかさが減りましたが味はしっかりあのゆかりで満足。おにぎりにするんだ。

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【まとめ】

・6月15日購入梅1キロ→最終総量680g 
・副産物の梅シロップは梅:氷砂糖=1:1の重量
・天然塩…梅の総量の18%
・下漬け本漬けに使用した瓶750mlのジャム瓶
・下漬け開始日 6月19日
・重石はココットなどで代用
・空気に触れないためのかぶせ布は水に濡れても破れないキッチンペーパー
・赤紫蘇 ひと袋 アク抜きは適度に
・本漬け開始日 6月30日
・梅の土用干し開始日 7月17日
・スリコの洗濯ネット1枚分
・梅干し完成日 7月21日 約20個、正方形のガラス容器ピッタリ入るくらい
・ゆかりの上がりは150mlのかさ



【来年の私へ】


紫蘇のアク抜きはほどほどに
洗濯ネットはあと5倍の容量まで並べられそう
ゆかりはもっといっぱいあっていい
梅のヘタ掃除甘かったので丁寧にやるように
梅シロップ美味しかったから副産物じゃなくて梅干しと2本立てでやってもいいと思う
たくさん作るなら事前に八百屋さんへ発注




【季節の移ろい、梅仕事】

興味はあるけどなんだかおばあちゃんの手仕事って感じでちょっぴり敬遠してた梅干し作り。でも家にいる時間が増え、健康も気になる頃。その他いろんな偶然が重なっての初挑戦でした。作業自体に技術は不要です。とはいえわからないこともいっぱいで何度も本を開きました。
そうやって試行錯誤すること自体も楽しく。
何より自然に合わせて梅仕事の段取りが仕組み化されているのが面白くて。

梅の季節がやってきて店頭に並び、熟していく色と香りの変化。

ゆっくり塩が溶け、浸透圧で水分が上がっていくのをガラス瓶で見守り。

下漬けが終わる頃ちょうど赤紫蘇がお店に並び。

本漬けが終わる頃、関東では梅雨が明け。

土用干しにピッタリの連日の晴天。


梅仕事がなかったら日々忙しく「ああ毎日雨だな」「梅雨明けたんだ暑くて大変だ」ってなんとなく滑っていくだけの季節がありありと感じられました。

一人暮らしの小さな部屋でも大丈夫。容器も普段使っているもので。梅仕事ほとんどが「変化を待つ」時間で作業は料理のついでくらいの感覚。


そんな梅仕事のまとめでした。

また来年、新しい発見のきっかけになりますように。


いつもありがとうございます!サポートは本や経験になりまた新たなアウトプットとさせて頂きます。貴方から頂いた優しさは巡って更に大きくなって貴方に返ってきますように。