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文学関係

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#文学

セックスするにはミジュクモノではいられない:『ライ麦でつかまえて』について

 ちょっと暇な時間ができたから、サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』を読んだ。ほとんどパラパラめくるだけのことを読むと言うならね。いい歳した大人がこんなの読んでたら恥ずかしいじゃん。月一くらいで通っている病院の待合席で読んでいたら、僕と同い年の看護婦のおねぇちゃんにいつも何読んでるんですかって聞かれて、前来た時はノヴァーリスの『青い花』だったからまだカッコがついたけど、サリンジャーの『ライ麦畑』

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死して生きる者たち : パスカル・キニャール『落馬する人々』について

死して生きる者たち : パスカル・キニャール『落馬する人々』について

 パスカル・キニャールの『落馬する人々』を読んだ。キニャールは『ローマのテラス』でアカデミー・フランセーズ賞をとった現代フランスを代表する作家の一人で、彼が現在も書き続けている<最後の王国>というシリーズの中に『落馬する人々』は収められている。
 日本においても白水社がパスカル・キニャール・コレクションを刊行しており、<最後の王国>シリーズの邦訳も進んでいる。私はこれまで『ローマのテラス』やバロッ

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サロメはいかにして宿命の女になったのか

サロメはいかにして宿命の女になったのか

ファム・ファタールという言葉をご存知だろうか。単純に訳して仕舞えば、宿命の女、ということになる。「君こそ、僕の運命の人だ!」というような意味はもちろんある。しかし大抵、宿命の女(ファム・ファタール)といえば、「男を破滅させる魔性の女」という意味で使われる。例として挙げられるのは、メリメの『カルメン』のカルメンなど。日本で言ったら『痴人の愛』のナオミあたりだろうか?
 その中でも代表的な人物といえ

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