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一人っ子はワガママになるのか?

「一人っこだからワガママ」
言う人にも、言われる人にも出会ってきた。

言う人は、何も考えていないのだろう。
相手がこの言葉でどれほど傷つくのか。
言われる人は、その言葉で新たな悩みができてしまう。
きょうだいがいるほうが良いのだろうか、と。

傷ついている人は、そんな言葉を気にしないでいい。
子どものことを考えて子育てをしているのなら、自信をもっていい。
傷つけた人は、自分の狭い世界だけでしか物事を考えていない。
もっと周りを見て、今すぐその考えを改めた方がいい。

一人っ子だからワガママになる、わけでない。

ワガママの始まり

保育士を10年してきた私が分かるのは、子どもは皆ワガママだと言うこと。
ワガママではない子どもがいたら、心配した方がいい。

子どもの成長過程では、ちゃんとワガママをしないといけない。
よく知られている1歳後半から見られるイヤイヤ期も、ワガママの始まりである。
自分の欲求を出し、表現し、相手に伝える時期が始まる。
相手に自分の気持ちを伝える。
それは、人間にとって必要不可欠な行動。
大人になるために必要な練習。

イヤイヤ期を過ぎ、言葉巧みに意思表示ができるようになる。
この頃、自分の欲求の他に、相手の欲求があることに気づく時期。
でも、子どもは自分ではなかなか気づけない。
だから、同い年の子ども同士なら、取っ組み合いの喧嘩になる。
年上の子どもや大人であれば、互いの欲求について冷静に教えてくれるはず。
そして少しずつ、自分の気持ちと他人の気持ちを区別できるようになる。

自分の気持ちと他人の気持ちを区別できるようになってくると、
感情をコントロールする力を身につける練習をする。
友だちと楽しく遊びたいから、やりたいことを我慢したり
ゲームに負けた悔しさを、最小限に留めて切り替えたり
他人との関わり方を覚えていく。

そうやって少しずつ、少しずつワガママではなくなっていく
ように見えてくる。

ワガママの理由

他人との関わり方を覚えていく時期、子どもにとってはかなりのストレスである。
大人が会社でストレスを感じるのと同じように、言いたいこと、やりたいことを我慢しているからである。

おそらく、この時期の子どもは家庭ではワガママを表出しているはず。
他人には出せない欲求を、家族には出してストレス発散をしている。
この時期のワガママを見て、不安になる必要はない。
大人だって会社でのストレスを愚痴にして、酒を飲んで、甘い物を食べている。
子どもにも気持ちを聞いてあげて、好きなものを食べさせて、好きなことで遊ばせてあげたらいい。
そうすれば、外で頑張れるのだから。

その中でも、一番大事なのは「話を聞くこと」である。
「今日はどうだった?」と出来事を聞いてあげるだけでいい。
頷いて、共感してあげるだけでいい。
子どもの我慢した気持ちを外に出してあげることが、一番のストレス発散になる。

子どもの性格

周りを見て行動し、友だちに優しくできる一人っ子をたくさん見てきた。

なぜそうやって行動できるのか考えてみると、
自分の気持ちをたくさん言葉で表出してきたからだと気づいた。
言葉を受け取ってもらえた経験があるから、言葉を受け取ることを覚えた。

子どもは素直である。
やってもらって嬉しかったことは、誰かにやってあげる。
その経験が性格を作っていく。
(といっても、根本的な性格はほとんど遺伝らしい。この話はまた別で。)

おわりに

かくいう私の娘も一人っ子で、現在は絶賛ワガママ期。
服を着せてほしい、YouTubeを16回見たい、ママの分のお菓子も欲しいと
こちらの希望を無視した欲求のオンパレード。
休みの日には「やりたいことだけやりたい」と名言を残した。
でも、保育園では自分の気持ちも言うし、他人の言葉を聞いてあげられているらしい。
トラブルも全くない、と保育園の先生に教えてもらった。

私の娘は良い子に育っているようなので、「一人っ子はワガママ」なんて言う人に見せびらかしに行く。

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