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人間不信だった彼と、どこか似た者同士だった私たち

占い師として日々待機していた私の元に、瑛人くんは毎週、決まって同じ曜日に通ってくるようになりました。

とはいえ実際に占いをしていたのは最初の2~3回のみで、その後はなぜか占星術の個人レッスンのような内容に変わっていきました。

※このお話は前回からの続きです。
「HACHIとダヤンと富士山」集まってきた謎解きのキーワード

※最初から読みたい方はこちら!
シンクロニシティに導かれた「人生の転機」①【お茶会編】


マンツーマンのオンライン講座を開始した理由


頭の回転が良く、とにかく常に考えている瑛人くんの口からは、一般的な占いの現場ではほとんどお目にかからないような小難しい質問がポンポン飛び出しました。

私は私で、毎回スマホのメモ帳にびっしりと聞きたいことをメモしてやってくる瑛人くんに、お金の工面はどうしているのかと若干心配にもなっていました。

占いに来ているというより話しに来ているという感じだったし、気になることがありすぎるのか、毎回時間を延長していくため一回の料金が万単位になることもしばしばでした。


もちろん、こちらにしてみれば頻繁に通ってきてくれる上得意ではありましたが、病気で会社も辞めてしまって現在はほぼ引きこもりだという彼に、これ以上代金を払わせるのは忍びない気もしました。

なので、もし占星術に関心があるのなら、定額制の占い講座の個人レッスンという形にしてはどうかと切り出してみたのです。
(※現在は行っていません)


巷ではリモートワークなども定着しつつあり、それに倣ってわざわざ通わなくてもオンラインで受講出来るようにと提案したところ、インターネットが大好きな瑛人くんは大喜びでそれに飛びついたのでした。

※写真はイメージです


今にして思えば、あの頃の瑛人くんは誰かと繋がりたかったのかもしれません。病気のせいで社会生活を断念せざるを得なかったことを、ずっと嘆いていました。


彼の病気というのは、精神の病気です。
そのため、周囲の偏見と無理解の中で引きこもりを余儀なくされましたが、彼本人は決して内向的でも無気力でもありませんでした。

そしてここから始まった私たちの関わりは、二人にとって後々大きな意味を持つことになるのです。

どこか似た者同士だった私たち


瑛人くんと私の間には意外な共通点が多く、少しずつ話してくれるようになった身の上話を聞くたびに、私たちはどこか似たもの同士なんだなと感じずにはいられませんでした。


また、インターネットやパソコンを使う作業が好きで、ワードプレスを用いたブログ運営をしていたり
(瑛人くんは好きだからというより、生計を立てるためにブログ運営をしていましたが)

思考パターンが似ていて話を延々続けても飽きなかったりと、年齢差や性別を超えた奇妙な連帯感が、二人の間には芽生え始めました。




実はこの頃から、私は妙に鮮明な、意味深な夢を見るようになりました。

子供の頃から予知夢のようなものを見ることが多かった私ですが、この時期の夢は、そういう類のものなのか何なのかはよく分かっていません。


ある日の夢では、私たちは「バクマン。」という、実際に大ヒットした漫画の中の主人公になっていました。
それは二人の少年がコンビを組んで漫画家を目指していくというストーリーで、夢の中で私たちは一緒に組んで小説を執筆して世に出そうとしていました。

一緒に仕事をするために出会った気がする、と伝えはしたものの……


私は自分が見たそんな夢の内容を、今まで感じていた魂の親和性やKちゃんとの間に起こったシンクロのことも含めて、瑛人くんに話してみることにしました。

「私たちは強い宿縁を持っていて、一緒に仕事をするために出会ったような気がする。
瑛人くんは前に『年を取ったら小説家もいいな』なんて言っていたし、二人で(スピリチュアルな内容の)コラボ小説を書くなんていうのはどう?」



対する瑛人くんの返事は、実に素っ気ないものでした。

「僕は元々猜疑心が強いので、そう言われてもにわかには信じられないですね。前世とかそういうのは半信半疑です。
だいたい小説なんて僕は書いたことないし、夕貴さんが書きたいんだったら自分で書いた方が早いんじゃないですか」


そう言われてしまっては致し方ありません。
別に私も書きたい訳ではなくて、ただ夢が気になったから伝えたまでのことです。

結局コラボ小説の話はこの時は流れて終わってしまったのですが――
実はこの件は、私たちにとって後々とても大きな意味を持つことになるのです。

いじめ、パワハラの末に精神病様症状に苦しみ自死を意識していった彼


社会的にこうあるべきという規範意識が強かった彼は、精神病の診断が下った時点で自分は人生の落後者だと思い込んでいました。
そして真剣に自殺を考えるようになったそうです。

最初に事に及ぼうとしたのは大学生の時でした。同級生からのいじりやマウント行為が激しくなり、サークル活動中に理不尽ないじめを受けるようになったのです。


その頃から道行く人々が自分をせせら笑ったり、自分の歩調に合わせて駅構内のシャッターが次々と下りていったりする妄想が出始めたようです。

もっとも、本人は妄想とは納得していませんでしたが、それでも大学のカウンセラーからはすぐに精神科を受診するように勧められたといいます。

◆◇◆


休学して二年留年し、何とか卒業はしたものの、その後も就職した会社で激しいパワハラを受け、
(もっと言うと犯罪まがいのセクハラ行為まであったようですが)
二度の転職を繰り返した末に外出自体ができなくなり、社会生活を断念したそうです。



在職中も引きこもり状態の時も、瑛人くんは何度も自殺を試みたそうです。それでも死ねずに万策尽き、やむなく田舎の親御さんの元に帰ってきたのだと……。

ご両親は離婚しており、最初はお父さんのアパートに転がり込んだが折り合わず、お母さん所有の空き家で一人暮らしを始めて今に至る、とのことでした。


たとえ病気の素因はもともと持っていたとしても、いじめやパワハラなどにより心身が傷付けられ、それが発症の引き金になった可能性は否定できません。

瑛人くんが追及していた占星術のテーマは、そのほとんどがパラダイムシフト――人間関係がピラミッド型からフラット型へ変化するという、「水瓶座の時代、風の時代」の到来に関するものでした。


瑛人くんが生前、占星術を根拠にしながら書いていたブログ記事のスクリーンショット。
わざわざ新しく立ち上げたブログでしたが、この一記事のみの公開となってしまいました。


どこかで彼は、権力を持つ者が君臨するような社会構造が壊れ、平和主義的で差別やマウンティングのない世界が訪れるのを夢見ていたのではないでしょうか。

「僕はいつかは死ぬつもりです」と、まるで他所よその国へ行くかのようにサラッと口にする瑛人くんが、
本当に旅立ってしまうなどとはまだ、この時は予想もしていませんでした。



今もまだ現在進行形のシンクロニシティ・ストーリーズ、今回はちょっぴり重いお話となりました(^^;

このストーリー上どうしても外せないくだりなので、平にご容赦くださいm(_ _)m

次回はこちら!
デモンストレーションに現れた花魁と排水溝に落ちた子猫


という訳で、次回もぜひまたお立ち寄りください!(*´▽`*)

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▼ シンクロニシティ・ストーリーズまとめ。現在もまだ謎解きの途中です。


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