見出し画像

「アクション仮面」に隠された秘密--『クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王』感想 2021/8/5の日記

 最近、クレヨンしんちゃんの映画を観ることにハマりつつある。せっかくなら1作目から追いかけていこうと、1993年に公開された『クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王』を観ることに。

~あらすじ~
 物語はヒーロー番組『アクション仮面』の撮影中に突然爆発が起こることから始まる。混乱の最中、アクション仮面は力の源である「アクションストーン」をハイグレ魔王に強奪される。
 その一方、夏休みに入ったしんのすけは不思議な駄菓子屋を見つけ、チョコビを購入。おまけとして付いていたNo.99のカードを手に入れ、それをチケットとして「時空移動マシン」に乗り、アクション仮面が実在するパラレルワールドに到来する。
 そのパラレルワールドでは、ハイグレ魔王がハイグレ光線により多くの人がハイレグ姿にされており、支配が進んでいた。そんな中、しんのすけを中心に野原一家は元の世界に帰るべく、そしてこの世界を救うべく、動き始めるのだ。

アクション仮面の秘密が分かる!

 本作の一番の魅力は、しんちゃんを語る上で外せない「アクション仮面」の秘密が分かる点だ。「アクション仮面」は仮面を被ったただの俳優ではなく、非常にSFチックな背景がある。あらすじにも記載した「パラレルワールド」がヒントだ。まあ、勘が鋭い人はもうだいたい分かるだろう…(笑)まさに時空を超えた世界観が本作の魅力である。

 そして、子ども向けにしては難しい世界観設定に、子どもの夢を守る優しさを感じる。子供にとってヒーローや魔法少女は実在するモノであってほしい。本作は「アクション仮面」は実在しないと決して告げない。「パラレルワールド」を駆使した複雑な設定によってその存在を認めており、僕はそこに優しさを感じた。

拡大解釈は歳を重ねた証

 悪役の「おバカさ」は本作においても大きな魅力だ。それにより、100%の悪はこの世に存在しないんだなと大人である僕も安心できる。

 ただ、「悪の不在」を伝えるために「おバカさ」を描いているわけではなく、ただ笑って欲しいから描いている。だから一切説教じみた所を感じないのだろう。その先を考えるのは、観る側の拡大解釈であると確信を持って言える。

 拡大解釈ができるのは、歳を重ねた証だ。昔はただ面白かった描写が、今では「悪の不在」なんて格好つけた言葉で着飾ろうとする。それは幸せなことなのか不幸せなことなのか、分からない。けれど、しんちゃんの映画はきっと、歳を重ねれば重ねるほど見えるものが変わってくるんだと思う。

 本作は、23歳の今初めて観た作品であるが、複数の作品は幼い頃から何回も触れた作品だ。その作品に再会したとき、僕はどんなことを思うのだろうか。今から楽しみだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?