実験4. 真鍮を手で揉み込んで表情をつくってみる
今回は、ピカピカの真鍮を自分だけの道具に育てる方法について。
表面にクリアラッカーなどの変色防止処理がしてあるものは大丈夫なのですが、金属素材そのままの状態のものは、手でさわるとその部分にだけ指紋跡が浮き出てきて、汚れのように目立ってしまいます。
早い人だと1日待たずに、写真のような指紋跡が浮き出てきます。
(こういう金属をすぐに錆びさせる人のことを「錆び手」と呼んだりします)
僕は、荒々しく経年変色したものもアリだと思うタイプなのですが、指紋跡はちょっと、、という感じです。特にお皿などの食べものに関わるものだと余計にうーんと思ってしまいます。
そこで、まず新品の真鍮商品を手に入れたら試していることがあります。
それは、さわること。
この方法に必要なのは、手汗だけ。
とにかく全体をまんべんなく、ベタベタとさわり倒します。
このとき、点でさわらないことがポイント!
指先でふれて、すぐにすーっと伸ばしていくイメージです。
指紋跡は目立つだけではなく、一旦残ってしまうとなかなかごまかすことができません。
全体に伸ばしたら、なじませるように揉んでいきます。
正確には手汗に含まれる塩分が金属を変色させつつ、油分がコーティングしていく、ということのようです。
もし手汗が足りないなというときは、おでこや鼻のまわりをさわった手でやってみてください。
僕は、もし気に入らない変化になったとしてもスコッチで軽く磨いてやり直せばいいや、と割り切って、ガンガンさわっていきます。
気がすむまで揉んだら、あとは放っておくだけでOKです。
それでは、どんな風に変化するか見てみます。
① こちらがピカピカの状態。表面をランダムヘアライン仕上げにしてあるので、ピカピカというより、少しマットな状態です。
② そしてこちらが揉んでから3日目。
僕の場合、翌日には少しずつ全体が深い色に変わってきて、3日ほどで写真のようにマットでモワモワっとした模様が出て、以降はさほど大きな変化はありませんでした。
③ こちらは裏面。揉むときになぞって残した指のラインが、白っぽく変色しました。
この状態までくれば、今後さわったときに指紋跡が残りにくく、また残ったとしても紛れてくれます。
ちなみに、真鍮だけでなく、銅も同じ方法でOKです。
銅の場合は、手でさわっている最中から少し赤っぽく変化していくので、反応を見ながら進めると面白いです。
写真は左が磨いた新品の状態、右が揉みこんで1ヶ月ほどの状態です。
以上です。
今回の方法は、人によって反応の大きさや、速さが異なります。
自分だけの道具に育てる方法の1つとして、ぜひ1度試してみてください。
86400"(はちろくよん)は、建築・都市計画をバックグラウンドに、家具や日用品を開発、販売しています。東京都荒川区を拠点に町工場の職人と協働しながら、一人ひとりの生活のかけらを形にする「生活の道具」をデザインしています。
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