映画『水を抱く女』
2020年のドイツ・フランス合作の恋愛映画。
水を司る精霊ウンディーネの神話をモチーフにして現代ドイツを舞台に描かれた恋愛ファンタジーである。
ベルリンの都市開発を研究する歴史家ウンディーネ。恋人のヨハネスが別の女性に心移りし、悲嘆にくれていたウンディーネの前に、愛情深い潜水作業員のクリストフが現れる。数奇な運命に導かれるように、惹かれ合うふたりだったが…。
水の精霊の神話についての知識なく、この映画を観たが、恋愛ドラマとして問題なく楽しめる。
ヨーロッパ映画にありがちな淡々とそして情熱的にストーリーが進んで行くところが、個人的にはとても感情移入しやすくて気に入った。
単刀直入に言えば、男運の悪い女の恋愛を描いた映画だ。
付き合っていた男性の心変わりで振られ、次に出会った男性とは良い関係を築いていたにも関わらず、男性が仕事中に事故に遭ってしまう。
その間に自分を振った男から復縁を強引に迫られていたのに、男は別れたはずの女と続いていたり…。
こんな怒涛の展開が繰り広げられたらウンディーネでなくても、混乱し、正気を失ってしまうでしょう。
ただそこに至るまでのウンディーネとクリストフの恋愛関係の描写が控えめなのに情熱的で、そのギャップが逆に現実的でとても共感できる。
後半にはややオカルト的な表現もあるが、それもまた自然で良い。
兎に角、切ない恋愛映画として楽しめると思う。
日常にあり得そうな雰囲気もまた良い。
じっくりとヨーロッパ映画を楽しみたい方には是非お勧めしたい。