見出し画像

映画『残酷で異常』

2014年のカナダのホラー映画。

軽い気持ちで変なホラー映画を観ようと思って雑な邦題のこの作品をチョイス。
完全に期待を裏切られて驚きを隠せない。勿論、良い方に。

妻を殺したとして不当に非難された男が謎の施設で妻の死を永遠に追体験することを宣告される事からストーリーが始まる。

記憶を紡ぐように断片的なパラレルワールドを延々とリピートして行き来し、何故妻を殺してしまったのか、その背景をじわじわ描き出している。
表側からでは分かり得ない家族の葛藤を目の当たりにする。
低彩度の映像で大袈裟な演出もなく、淡々と描写して進んで行くストーリーは完全に私好み。
一歩引いた視線での演出が逆に世界観に引き込まれてしまう。

人はそれぞれ違う視点で、それぞれ違う気持ちを抱き、相手に悟られぬように行動を進めていく。
誰が正しい、誰が間違っている、そんな単純に答えが出るほど人間と言うのは甘くない。
認知の差こそあれど、人はそれぞれの正義で生きている。
過ちを認め、受け入れ、それをループしても解決にも至らないし、誰も救われない。
その先の光のために認め、受け入れる作業があるように思う。

大層な事を書いてしまったけれども、久しぶりに面白い映画がに出会えて大満足。
ヨーロッパ映画とか『バタフライエフェクト』的なパラレルワールドに興味がある人にはお勧めの映画。

この記事が参加している募集

#映画感想文

67,494件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?