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やり切れなくて、やり切れる。

最近心の不調を抱えた人に出会う機会が少し増えた。
身の回りやnoteを読んでいるときなど。

そんなとき、心の病気や不調って何なんだろうと疑問に思った。

昔はそういうものとは全くの無縁だった。
だからそういうものと実際に出会ったら怖いという思いが先行して見ないように、関わらないようにすぐにシャットアウトしていたと思う。

しかし、ここ数年で自分自身も片足浸かるくらいの経験をしたり、そういう経験をしていてもすごく素敵な人がたくさんいることを知るようになって、そんな疑問が湧いてきたのだ。


どんな人が心の病気になりやすいのかな?

自分と向き合っている人
人生と向き合える人
思いやりのある人、気遣いのできる人、だからこそ気を遣いすぎちゃったり考えすぎたりしちゃう人
優しい人、人の嫌がることをしない人、人の悪口を言いたくない人
誠実な人、真面目な人


そうやって自分と向き合って、よりよく生きるためにたくさん考えている誠実で優しい人が辛い思いをしやすいってなんだかやり切れないなと思った。

そんなときいつか星野源さんが悲しみと嬉しいや楽しいという気持ちはセットみたいな話していたなと思って、スマホのメモを見返していたらこんなものを見つけた。

嬉しいこと・楽しいことと悲しいことはセット
星野源ANN 2019/11/19 25分付近

『強く生きるためには、幸せに生きるためには無防備になるしかない。』

『悲しいことを感じなくなるためには、悲しいことを感じるしかない。』

人間はある特定の感情だけをブロックすることはできない。
悲しさだけを器用にブロックすることはできない。
悲しさだけをブロックしようとすると、楽しさや嬉しさを感じることまでもブロックしてしまう。

悲しさをたくさん感じてしまう人は、楽しさもたくさん感じられる人。
悲しさを感じる分、楽しさをたくさん感じるようにするしかない。 


これを見て、この時の放送を聞き直してみた。
すると、ブレネー・ブラウン(Brené Brown)という人について話していたことがわかった。

ブレネー・ブラウンは、ヒューストン大学ソーシャルワーク大学院の研究者である。 勇気・心の弱さ・恥・共感などについて研究を行っている。執筆した書籍はニューヨーク・タイムズのベストセラーリストに幾度も登場している。世界的な講演大会TEDにも幾度も講演し、2010年の「傷つく心の力」では再生数がトップファイブに入っている。(Wikipedia より)


そこで早速TEDで「傷つく心の力(Power of Vulnerability )」を視聴してみた。

以下、自分なりにまとめたものである。


ブレネー・ブラウン “傷つく心の力(power of vulnerability )”
(日本語訳が彼女が本来意図するものとズレている可能性があるのでキーワードに関しては英語を添えておく。)

・関係性(connection)が生きる理由
繋がりが生きる目的や意味を与えてくれる
・connectionにはshame and fearがつきもの
・恥を経験しない人はつながりや共感を持ちえるはずがない
・恥はわざわざ感じたくないが、避けていたら余計大きくなるもの
・恥とは自分が十分じゃないという感覚で誰しもが持っているもの
・恥や怖さを感じる原因は心のもろさ(Vulnerability )
・自分は愛されている、繋がりがあると感じられる人と愛や関係性に苦しむ人の違いとして、
前者は自分が愛されるに値すると信じている。
そして、自分は不完全であっていいと思える勇気(courage)を持っている。
・ありのまま、無防備(whole-hearted)でいることが大切
・自分自身に思いやりを持てない人は、他者を思いやることはできない
・あるべき姿や完璧な自分を諦めること、
自分がどう見られるかコントロールしようとすることをやめることは
関係性を築くために絶対に必要
・心の脆さを受け入れる
どう足掻いても恥や怖さは消えないから
・自分の心を脆くするものこそ自分を美しくしてくれるものだと信じている
(恥や怖さが含まれた繋がることこそ、人生の豊かさ。)
・心の脆さが恥や怖さ、自己価値観についての苦しみの根源であると同時に喜びや創造、帰属や愛情などの根源でもある
・人間は選択的に感情を麻痺させることができない


見終わってから色々なことを思った。

最近前に比べたら本来の自分をさらけ出せてる気がする。
というよりかは、取り繕うことが面倒くさくなった。
その理由としては、
あるべき姿や完璧な自分を目指すこと、どう見られるかをコントロールしようとすることに疲れた。
これだけやっても全くもってできている実感がないし、これは無意味なことなんだろうなと自然に諦められてきた。

悩むのも面倒くさくなってきた。
悩んだところで問題を勝手に複雑にして余計泥濘にはまるだけ。
やらなきゃいけないこともしんどいなと感じたときは無理せず少しは放棄できるようになってきた。
「逃げる恥だが役に立つ」という言葉が脳裏をよぎる。
肩の力が少し抜けてきた。

そして、これからは自分がどうなりたいか、どう見られたいかよりもとにかく人と繋がりたい。巻き込まれてみたい。人が喜ぶことをしたい。叶え組的な役割をしてみたい。

そんなことをなんとなく感じ、思っていた最中だったため、ここでの繋がりや恥、無防備の話にすごく共感した。
それにブレネー・ブラウンさんが何年にも渡って全力で研究した結果というので説得力がある。


そして、星野源さんがラジオで話していたことを思い出して、この話を源さんのフィルターを通すとこういうまとめ方、話し方になるんだというのにすごく感心した。

言葉選び、言い換え、伝え方。
やっぱりすごいなあ。


そして、こんなことも思い出した。
少し前にNHKスペシャルでやっていた三島由紀夫特集での最後に紹介されていた三島由紀夫の青年論。

青年論 三島由紀夫

青年というものはどんな時代だってバカですよ。
これは自分のことを考えて断言できることだが、全然バカなものなのだよ。
ただバカではあるけれども、曖昧な状態で考えた思考というものはあとになって必ず役に立つ。
そういう青年は自分の考えを整理する段階に入ればだんだんユニークな人間になる。
ぼくはね、青年を信用しないということは自分を信用しないということだと思う。
どんな社会でも青年は必ずオトナになるんですからね。


曖昧な状態で苦しみながらもたくさん考え、悩み、自分と向き合った経験はこれからの自分の武器になる。
それは誰にも奪うことができない、決して真似することができないユニークさになる。

そう信じたら少しはやり切れるようになってきた。



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