生まれの呪縛:家庭環境がもたらす勝者と敗者の決定論
知識に意味はなくなりました。
教育は価値を失いました。
そういわれて久しいのはご存じですよね?
かつては知識を得るには本や人から得るくらいしかありませんでした。それがネットが普及し、だれもが同じ知識に平等にアクセスできるようになりました。
結果、頭の中にどれだけの知識を蓄えているか、ということの価値が急落しました。
教育も同じです。
かつては限られた人たちだけが高等教育を受けられました。それがハードルが下がり、多くの人が初等教育以上の教育を受けられるようになりました。
そして、なによりどこでも誰もが教育を受けられる環境がタダ同然となった。
教育者と呼ばれる職業がAIにとってかわられ、それどころかそちらのほうが有益とされました。
知識も教育も平等となった。
しかし、あなたも知っているでしょう?
現実問題として、”生まれ”が優劣に影響することを。
そう。金持ちの子は金持ちになり、貧乏人の子は貧乏人になる。
これは統計上明確な相関がみられます。
以前は親が教育にかける金銭額がそのまま子の成功に影響するのでは? と言われていましたし、その通りだった。
けれども前述したとおり、いまでは大枚をはたかなくとも成功者と同じ教育を貧乏人でも受けさせられることができる。
ではなぜか?
単純です。
環境、です。
家庭や周囲の環境。
そして、そこから注がれる影響。
それが金持ちの子が金持ちになる理由であり、因子なんですよ。
バカな、と思いたいでしょう?
けれども、どうですか?
裕福とは言えない家庭に生まれた貴方は、こうして大人になった今でも貧乏なままだ。
必死に頑張って、好成績を納めた。あなたの頭脳は決して金持ちの子に劣ってはいない。
けれども、あなたの心の底に根付いているのは劣等感。
そして金持ちの子は、親や環境から期待され、支えられてきた。
人を信じることができる心。
自分に対する自信。
これから先の未来を恐れない信条。
そういったものを金持ちの子は自然と身に着け、行動している。
それに対してあなたは、人を出し抜くことしか考えられないから信じられず、自分に対してさえ不安で、失敗を恐れている。
そんな性根が、あなたを腐らせる。
たとえ豊かな土壌でも、一筋の光もない日陰でキレイな花が咲かないのと同じ道理ですよ。
ああ。
すみません。あなたを絶望させたいワケではないのです。
むしろ逆。
もがくあなたに事実を知ってほしかったのです。この真実を知らなければあなたはもっとがむしゃらにならなければ、がんばらなければと、見当違いの努力をし続けてしまったのでしょう。
大丈夫。
あなたは成功できます。
生まれを乗り越える方法を教えましょう。
過去を塗りつぶせばいい。
あなたに足りないのは、金持ちの餓鬼が受けた光の要素――親からの肯定や周囲からの信頼、それを受けて形成された性格。
記憶を改ざんするんですよ。
あなたの親が本当に金持ちであったかどうかは関係ない。あなたは親が金持ちであったと思い込み、全幅の肯定を受けて、すべて成功してきたという記憶を埋め込みます。
そうすれば、あなたは生まれ変われる。
いまの現実が何一つ変わらなくとも、あなたは生まれ変わり、成功者の道を進むことができます。
そんなことができるのかって?
ええ。できます。
最新の装置を使えばあなたの記憶を丸ごと書き換えることができる。
成功を、お約束します。
ただし、お値段は張りますよ――××××××××××××××××××円です。
え? お高いのは当然ですよ。
それだけのことをするのですから。
そのままだと貧乏人のままなんですから。
成功できるなら安上がりじゃないですか?
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