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ぽすとさん 5話〜(epilogue) 山桜の咲く頃
あ、
さいた
さいたよ、
おとうさん
ほんとうだ
きょうは
あったかかったからね
やくそくのひ
そろそろきめないと
みんなとそうだんして、ね
たそがれは あおく
あおく
やまのりょうせんに すこしだけ
あかねいろを
のこして
さくらのしろも
きつねのかたちも
こしをおろした ゆうやみに
いつのまにやら
にじんできえた
ふとみあげると つきのかお
ただ こくこくと
かがやきをます
ぽすとさん 4話〜梅雨の頃から冬ごもりまで
12. 水無月
ときは かけてゆきました
たのしいじかんは
はやいものですから
ふかいふかい きりのなかに
ぺんきのはげた ぽすとがひとり
ほんのすこしかたむいて
たっていました
あしもとの
とがったくさのさきっぽには
ちいさなしずくが
まるで
すずをさげたようにくっついて
かぜがふくたび ふるふるゆれました
ぽすとは くさのうえのありんこを
ぼんやりとみつめました
まあるいし
ぽすとさん 3話 〜春うららかな頃
10. 卯月
こんもりとした おかのうえ
とがったくさの はらっぱに
ぽすとが ぽつんとたっていました
あったかなひざしと そよそよかぜ
そらには ひばりが たかくあがって
ぽすとの いっとうすきなきせつが
ふたたび やってきていました
でもなぜか
ぽすとは ずっとしかめっつら
どうしてかって?
それは かれこれ 7にちも
きつねくんが
かおをみせてくれないからで…
きつねくんとい
ぽすとさん 2話〜夏の日から雪解けの朝まで
4 . 文月
それは
なつのゆうぐれどき
こんもりたかい おかのうえに
きつねとぽすとの すがたがありました
ざんねんだったね、
はやしのはずれの きいろいぽすとも
まちかどにある おおきなぽすとも
ちっとも きみみたいじゃなかった
こころがないのかな
きつねが ためいきつきますと
ぽすとは さみしくいいました
そうだ こころがないんだよ
あたらしいぽすとだもの
すると とおくのは