ゆきまつ

はじめまして。 物語「ぽすとさん」は 20年前に書き始めたものです。 人生いろんな…

ゆきまつ

はじめまして。 物語「ぽすとさん」は 20年前に書き始めたものです。 人生いろんなことがあり、書いたり書かなかったりしながら、やっと今頃 書き終えることができました。 もし、 最後まで読んで頂けたら、すごくすごく嬉しいです。

最近の記事

【詩】 きゃべつ

収穫が 少しおくれた 春きゃべつ しんの部分に つぼみがあった 皿において 水をはり 白いかたまり 佇んだ きのうのきゃべつ 今朝は緑に 変化している そのうち にょきにょき 茎がのび ちいさい 菜の花の 花ばたけと化す なんやこれは と 父が言った つぼみは 次々 咲いては枯れる ついに最期を むかえたときに 四本のつぼみは 情けをかけられ 水をためた 鉢に浮かんで ふたたび咲いた むくり

    • ぽすとさん 5話〜(epilogue) 山桜の咲く頃

      あ、 さいた さいたよ、 おとうさん ほんとうだ きょうは あったかかったからね やくそくのひ そろそろきめないと みんなとそうだんして、ね たそがれは あおく あおく やまのりょうせんに すこしだけ あかねいろを のこして さくらのしろも きつねのかたちも こしをおろした ゆうやみに いつのまにやら にじんできえた ふとみあげると つきのかお ただ こくこくと かがやきをます きっと ながれぼしは みえないよ こんやは つきがあかるいし そっかあ、 ざ

      • ぽすとさん 4話〜梅雨の頃から冬ごもりまで

        12. 水無月 ときは かけてゆきました たのしいじかんは はやいものですから ふかいふかい きりのなかに ぺんきのはげた ぽすとがひとり ほんのすこしかたむいて たっていました あしもとの とがったくさのさきっぽには ちいさなしずくが まるで すずをさげたようにくっついて かぜがふくたび ふるふるゆれました ぽすとは くさのうえのありんこを ぼんやりとみつめました まあるいしずくにだきついて おみずをのんでいるのかな そんなふうに おもいながら ぽすと

        • ぽすとさん 3話 〜春うららかな頃

          10. 卯月 こんもりとした おかのうえ とがったくさの はらっぱに ぽすとが ぽつんとたっていました あったかなひざしと そよそよかぜ そらには ひばりが たかくあがって ぽすとの いっとうすきなきせつが ふたたび やってきていました でもなぜか ぽすとは ずっとしかめっつら どうしてかって? それは かれこれ 7にちも きつねくんが かおをみせてくれないからで… きつねくんというと、そう、 しんまいの ゆうびんやさんです なあんだ、 たったのいっしゅうか

        【詩】 きゃべつ

          ぽすとさん 2話〜夏の日から雪解けの朝まで

          4 . 文月 それは なつのゆうぐれどき こんもりたかい おかのうえに きつねとぽすとの すがたがありました ざんねんだったね、 はやしのはずれの きいろいぽすとも まちかどにある おおきなぽすとも ちっとも きみみたいじゃなかった こころがないのかな きつねが ためいきつきますと ぽすとは さみしくいいました そうだ こころがないんだよ あたらしいぽすとだもの すると とおくのはやしから ひぐらしのこえがしました たいようは すっかりにしへ かたむいて

          ぽすとさん 2話〜夏の日から雪解けの朝まで

          ぽすとさん 1話(prologue)〜春の日より梅雨の晴れ間

          1 卯月 こんもりとした おかの うえ とがった くさの はらっぱに ぽすとが ぽつんと たっていました まっさおな そらと みどりの おかに はさまれて ぽつんと たった あかい かたちは どての きつねの あなからも はやしの すずめの いえからも どんなに とおくの おうちからでも ほんとに よおく みえるのでした あったかな ひざしと そよそよかぜ ちょっとだけ おくちを あけて ぽすとは てがみを まっ

          ぽすとさん 1話(prologue)〜春の日より梅雨の晴れ間