心をえぐられた映画 「怒り」
自分は1年に100本程度映画を観ます。
中には面白い作品やそうでないもの、観なければよかったと感じるものまで幅広くあります。
その中でも自分にとって忘れることのできない映画が1本あります。
それが2016年に公開された李相日監督の「怒り」
この映画を観たのは自分が大学4年生の時、近くのイオンシネマで鑑賞したのを覚えています。
特に前々からこの映画を楽しみにしていたわけではなかったけれども、渡辺謙や宮崎あおい、個人的に好きな森山未來などの有名俳優が名を連ねているという理由だけで観にいきました。
エンドロールが流れ、上映が終わった後もしばらく座席から立てずにいました。
映画を観てこんな感情になったのは初めてでした。
面白いやつまらないでは表せない作品。もちろん面白い作品であることは間違いないが、ここまで自分の心の中に深く潜り込んでくるような作品は今まで観た事がなかった。
「怒り」 あらすじ
ある夏の暑い日に八王子で夫婦殺人事件が起こった。
窓は閉め切られ、蒸し風呂状態の現場には、『怒』の血文字が残されていた。
犯人は顔を整形し、全国に逃亡を続ける。その行方はいまだ知れず。
事件から一年後。千葉と東京と沖縄に、素性の知れない3人の男が現れた。
殺人犯を追う警察は、新たな手配写真を公開した。
その顔は、出会った男に似ていた。
いつしか交際を始めた愛子と田代。
二人の幸せを願う洋平であったが、
前歴不詳の田代の過去を信用できず苦悩する。
同居を始め、互いの関係が深くなっていく優馬と直人。
しかし直人の日中の不審な行動に優馬は疑いを抱く。
ある事件をきっかけに心を閉ざした泉と
彼女を救えなかったことに苦悶する同級生の辰哉。
親身に支える田中であったが、無人島で暮らす彼の素性を誰も知らない。
愛した人は、殺人犯だったのか?
それでも、あなたを信じたい。
そう願う私に信じたくない結末が突きつけられる―――。
まずこの「怒り」という作品はミステリー映画ではないということを伝えておきます。それを期待して観るとやや興ざめかもしれません。
他にもこの映画のレビューを書いている方はたくさんいるかと思うので、特に注目してほしいポイントを2つ挙げようかと思います。
①役者の演技力
初めに記述したようにこの映画には数多くの有名な俳優陣が出演しています。その中でも特筆すべきは妻夫木聡の演技です。
ゲイの役柄を完璧にこなし、実際に綾野剛と同棲生活を送るほどの本気の役作りを行なっていた彼は、翌年の日本アカデミー賞で最優秀助演男優賞を受賞しました。
映画の撮影中もしばらく綾野剛との同棲生活は続いていましたが、ある日を境に綾野剛は実際に姿を消したそうです。
それまでほぼ毎日、2人で外で同じものを食べて、一緒にホテルに帰ってきてたんですけど、その日、一緒に帰ってきてエレベーターで『あ、コンビに行くけど何かいる?』って声をかけて『いや、大丈夫』、『わかった。じゃあ行ってくるね』『気を付けてね』というやり取りがあって、そのまま外に出て、いなくなりました」。
このエピソードだけでご飯3杯はいける。
その他にも広瀬すずや宮崎あおいなどの女性陣もやっぱり素晴らしい演技でした。特に広瀬すずはアイドル枠だと思っていた自分のイメージをいい意味でぶち壊してくれました。
②音楽
劇中のすべての音楽を坂本龍一が担当しています。「戦場のメリークリスマス」などの有名映画の音楽も手がけている有名作曲家ですね。
劇中で自分が好きな場面は、犯人が明らかになるシーン。このシーンのBGM「M18 - 真実 truth」は鳥肌ものです。まるで音楽もセリフの一部のように聞こえてきます。
あとはラストシーンに流れる「M20 - 信 trust」。 実はこの曲は中盤で流れる曲「M13 - 猜疑心 suspicion」と少し音程が違うだけで、ほぼほぼ同じメロディーで構成されています。信じることと疑うことは紙一重という意味合いがあるらしいです。
個人的にこの映画を越える映画は未だ観たことがないし、あってほしくないとも思える映画です。
7010
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