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戻れない

今回は何となく時事ネタです。いつもより短めかな?


目に見えないものを手に取るように

最初の自己紹介記事にも書いたことですが、自分は元々コンピューター技術者、次いで電気で動く制御盤を作る技術者でした。

どちらも実際に稼働させる前にどんな動き方をするか細心の注意を払って検討しておかなければなりません。ソフトウェアは本稼働の前のテスト環境上なら実害なしですが、制御盤の場合は実際に電気を流して動作させる際、火災や感電の危険があります。

どう動くか検討する際にはとにかく思い込みや先入観にとらわれてはいけません。というのも制御盤に流れている電気は一種類ではないことが多いからです。

電気に種類があるというのは普通の人はあまり認識していないと思いますが、普通の人でも交流(AC)と直流(DC)と電気の流れ方の違いで種類があることを聞いた人もいるのではないでしょうか。

制御盤の製作に携わる人間ならば、交流直流の違いだけでなく、単相交流、三相交流の100V、200V、直流も5V,12V,24Vといくつもの種類があることを認識しておかなければありません。(特殊なタイプでは可変AC0~24Vとか可変10mA~24mAとかのセンサー専用電源/電流などもあります)

+と-を間違えてはいけないだけではなく、それぞれのための配線が混ざりあってはいけないのは当然、使える部品もそれぞれ異なることを把握していなければなりません。

単純にこれはAC100V用、こちらはDC24Vとキレイに分かれていればいいのですが、一つの部品の中にAC100V用の端子とDC24V用の端子の両方があり、それぞれの配線を間違いなく取り付けなければなりません。実際の製作に入る前の図面製作の段階から含めて、目に見えない電気がどんな振る舞いをするのか、手に取るように把握しておく必要があるわけです。

工業製品である制御盤は「動かしてみないと分からない」なんてものは許されないので、細かい部分まで細心の注意を払う必要があるわけですが、昨今の情勢はそういった細部まで注意を払った作りこみを許してくれないようなところがあります。

速度と量

現代はスピード主義で、最初にやったもの勝ちなのだがら、とにかく子細は気にせず後先考えずに走り出し、スピードと数の暴力で制圧してしまえばよいという意見。以下はプロの写真家である西田航氏のお話です。

実績のあるプロの写真家のお話なので自分はこれに反論する材料は持っていません。というかプロとしての実績を積む観点で見て行けいけば、心掛けるべき見方なのだろうなと思うのですが、最近発生したとある事件を見るにこの考え方そのものを何も考えずに鵜呑みにして後先考えずに突っ走ってしまうと、うっかりするとそれこそ感電死してしまいかねないと思ったのです。

皆さんもニュースでお聞きになっていると思いますが、上記のイベントで販売されたマフィンでの食中毒騒動の件です。
自分は報道されている部分以上の情報は持ち合わせていませんし、炎上している部分をことさらにあげつらってやろうという意図もないのですが、以下の2点

・添加物無添加
・砂糖減量

これをやった結果、何が起きるか子細に検討しただろうか。という点だけ気になっています。

一般的な食品は賞味期限を保つために保存料が必要です。これは現在の社会で流通させるためには必要不可欠で、歴史的にみれば大量の砂糖が保存料として使われてきました。お菓子の賞味期限が比較的長いのはそういう事なんですね。

ただ、糖分の取りすぎによる悪影響は昔から認識されてもいたわけで、砂糖の使用を減らすために各種の添加物を保存料として使うようになります。個人的な思い出として、昔あった(今でもあるか?)白桃とか、パイナップルの缶詰って砂糖たっぷりのシロップに漬け込んであったのを思い出しました。今思えばあれは長期保存可能にするためだったのね。

世間的には砂糖や添加物が多く使われている食品は体に悪くて、カロリーゼロとか無添加とか書いてあるとヘルシーといったイメージがありますが、砂糖も添加物も保存料としての効果は無視できないものがあるのだ。というのを今回調べてみて初めて知りました。添加物だから体に悪いなんてことは一概に言えず、砂糖や添加物を入れないことで腐らせてしまったらな何にもならない訳で、今後はゼロカロリーとか無添加なんて言葉に踊らされないようにしないといけない。と。

無思慮が墓穴を掘ることも

いや、それで終わっちゃったらここに書いてる意味がないで、最初の西田氏の話に戻ると、現代写真家としては熟慮している暇があったらとにかく動け!という言葉も何も考えずに取り入れてもいいのか。プロの方のアドバイスなのだからたかが木っ端素人は有難く押し頂くべきなのだろうけど、もう一人のプロの写真家(というかキュレーターでしょうか?)渡部さとる氏はそれとは逆と受け取れるお話をされているのです。

渡部さとる氏のチャンネルは自分にとっては自分で勝手に師匠だと思っているチャンネルで、今回の動画以外でも様々な示唆をいただいていて感謝のしようもありません。ここでも度々取り上げている芸術史などについてもこのチャンネルでのお話がもとになっている部分があります。

今回の動画も全編通して非常に有意義なものになっているのですが、今回は特に12:17からの「褒められたら戻れなくなる」というくだりです。

特定の写真を「褒められる」。なぜ褒められたのか?理解できていればいいのですが、なぜ褒められたのか分からないという事が往々にしてあります。

自分の体験に置き換えていけば、このNoteでもおかげさまで投稿記事に多くの「スキ」をいただき、画像も思いのほか多くの方に使っていただき、感謝に堪えないのですが、なぜこの記事にこんなに「スキ」がついたんだろうとかなぜこの画像を使ってくれたんだろうというものも少なからずあるわけです。

でも理由が分からなくても「スキ」がついた。画像が使われたとなるとそれが受けているのなら、需要があるのなら正しい方向に進んでいるんだろうと思って、次の写真も似たような写真を撮ってしまうようになります。

それは、一見似ているように見えて、最初の写真・・・より良い写真と、褒めてもらえる写真では全く違ったものになっているわけです。

投稿記事も同様で「スキ」がついたのなら次も似た記事を投下するようになるだけでなく、より洗練したものを・・・といえば聞こえはいいわけですが、よりたくさんの「スキ」をもらうためにどうしても先鋭化、極端化させていってしまう訳で、行きつく先は炎上案件という事になりかねないなと思う訳です。

それでもアマチュアである自分なんかは、極論いつでも立ち止まって考えることも出来るからいいのですが、プロの写真家の皆さんは直接食い扶持にかかってくるだけに、もしかしたら命取りになりかねない間違いがないか考える暇もなく走り続けなければならないのかも知れず、ある意味非常に怖い職業なのだなと思います。

本稿時点で一番使っていただいた写真。こんな感じの写真。まだまだ需要アリマスカ?


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