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五十嵐さんありがとう。~出会いそれは奇跡の物語り~

・はじめに

こんにちは、三浦太鼓店/六代目彌市です(^^♪

近年この和太鼓業界に『楽器』として、人気沸騰中の『桶太鼓』

その人気ぶりは、あの電子メーカーであるRolandさんが
『電子和太鼓(TAIKO-1)』として桶太鼓の電子版!が登場してしまうほどなりました。

近年『楽器』として人気沸騰中の『桶太鼓』♬


そんな桶太鼓。

我々、三浦太鼓店では自社工房にて大小合わせて、
年間100台から150台ほどのこだわりの「桶づくり」しており、

桶太鼓と言えば!
三浦太鼓さんですね、、、

そうお客様から言っていただけるようにもなりました。

自社工房にて桶胴づくりの様子


今日は、そんな我々『桶太鼓づくり』にまつわる真実の物語り。

そもそもなぜ?
 
私たちが、
「桶太鼓」に可能性を感じ、

そして、
そこまで「桶太鼓」にこだわるようになったのか?
 

 
そこには、『伝説の桶職人』と言われる
たった一人の『桶職人』との出会いと奇跡の物語りがありました。
 
もしも、この人に出会っていなければ、、、
 
きっと、我々が今こうして
『桶太鼓』を手掛けることはなかったでしょう。

『秋田伝統工芸士 五十嵐修さん』

亡くなられて、
あれから8年の月日が経つのですね。

初めて秋田へ五十嵐さんを訪ねた日のこと、、、
今でも鮮明に焼き付いてます。

2015年夏。
あれは、残暑厳しい8月末のことでした。


私が本当に「届けたい物語り」がここにあるのです。

第四章に渡る真実の物語り。

少し長いですが、豊かな太鼓の響きのように
きっと、読んでいただいた方の「心に響く」そんな物語りです。

これからはじまる真実の物語り。

・第一章 「悩み」と「葛藤」の日々。


三浦太鼓店では、
初代の頃から、「桶太鼓」の注文があった時は、

胴にあたる、「桶胴」の部分は
「桶職人」さんの手を借りて製作しておりました。

実は、三浦太鼓店のみならず
今でも多くの太鼓屋さんがそうされているのです。

「桶」を作る技術というのは

太鼓を作る技術とはまた全然違う
「道具」や「材料」、「知恵」や「技術」が必要なので、

私達も代々、昔から
「桶職人」さんの力を借りていました。

もともと「桶」というのは
太鼓に限ったことではなく、

風呂桶、すし桶、仕込み桶、、、
など、

我々日本人の「生活」になくてはならない
「容器」だったので、

ひと昔前までは、
各町に一軒は必ず桶屋さんがあったんです。

けれども近年、
安価で量産されるプラスチックやステンレスが
世の中に出回るようになり、

その影響もあって、
人々の生活から「桶」を使う文化が衰退し
全国の桶屋さんがどんどん廃業に追い込まれ、、、

私達もとても困っていたのです。


どこか、桶を作ってくれるところは
ないだろうか???

同業の太鼓屋さんや
知り合いをつてに情報を訪ねて

ようやくとある1件の桶屋さんを
紹介していただきました。


それはそれは、
とにかく素晴らしい「桶」でした。

何が素晴らしいって、
見た目の美しさはもちろんのこと!

何より、太鼓にした時の「音」
ピカイチだったんです♬

でも、実はこの時

同業の太鼓屋さんを通して
仕入れさせてもらっていたので

一体、どこのどなたが
この素晴らしい桶を作ってくれているのか???

お名前も、情報も知らずに
ただ、唯一!

「秋田の桶屋」さんであることしか知らなかったんです。

どこのどなたが
こんな素晴らしい桶を作ってくれてるのか???

いつかお会いして直接お礼をしたい、、、、

ずっと、そう思ってました。


そんなある時のこと。

それまで順調に
桶を仕入れてくださっていた同業の太鼓屋さんが

2015年ごろから突然、
納期が遅れ始めたのです。


あれ?

こまったなーーー、、、、

当時、直接ご本人の情報を
知らない私たちは、

同業の太鼓屋さんに尋ねるしかありません。

最近、桶が全然できてきませんが、
大丈夫でしょうか???

聞くと、

どうやら腰を悪くされて
数日入院されてしまうとのこと、、、、

これは、本当に困ったなーー( ;∀;)

お客様から「桶太鼓はいつできるのですか?」と迫られるし、、、

どうしようか、、、

と本当に悩んでいました。

しかし、悩んでいても
事は一向に進まない、、、

とにかくやれる事を
一つずつやってみようと、

まず、
どこか他にも「桶屋」さんがあるかもしれない、、、

そう思って、

ネットや電話帳を使い
片っ端から新たな桶屋さんを探してみることにしました。

それでも、
全国どこをさがしても
なかなかみつからない、、、

不安と焦りでいっぱいでした。

そこで、私はとうとう
いても立ってもいられずに、

『そうだ!秋田へ行こう!』

そう決意します。
2015年春のことでした。

何はともあれ、動いてみると決意。

・『そうだ!秋田へ行こう!』


秋田へ行く目的は、
2つありました。

1つは、
とにかく今後の先行きが不安で現地に行けば、
何か良い情報が見つかるかもしれないこと。

そして、もう1つは
これまで、我々がお世話になってきた
桶屋さんを見つけてお礼が言いたい

※この時点では
どこのどなたか?お名前すら知らない。

この2つでした。

事前の情報収集は
ネットなどで色々調べて

秋田に5件の桶屋さんがある事を見つけていました。

もしかしたら、

その中に、
我々がいつもお世話になっている
「あの桶屋さん」があるかもしれない、、、、

そんなわずかな期待を胸に、

自ら調べた桶屋さんリスト抱え
いよいよ秋田への旅がはじまろうとしていました。


そんな矢先に、事件が起きます。

桶太鼓の製作が
遅れに遅れてしまっていたお客様から

どうしてもこの期日までに
太鼓を間に合わせて欲しいとのお電話、、、、

これは
いよいよ困った、、、

事情を、
仕入れてくださっていた太鼓屋さんに伝えると、

それでは、
1日でも早く三浦さんの所に届くよう、

我々を介さず
直接、「桶屋」さんから
三浦太鼓さんへできた桶を送ってもらうようにします!

そう言ってくれたんです。

何ともありがたい
対応に感謝したんですが、

そこから「運命」が動き始めます。

そう、
直接送ってくださった秋田の桶屋さん

そこには、
送り元となる
送り主の「ご住所」「名前」が、

----------------------/
秋田県能代市
「五十嵐桶樽製作所」

----------------------/

と、記入されていたのです。

え!!

もしかして!?

これの方が!

長年、我々に
すばらしい桶を届けてくださってた方なのか!?

まだ決して、直接ご本人に
お会いした訳じゃありませんでしたが、

このときの
感動は今でも忘れません、、、


ようやく、ご本人に
これでお会いできる。

会ってお礼が言える。


私はすぐに、
書かれていた住所の先
五十嵐さんに「お手紙」を書きました。


五十嵐さんが作ってくださった桶が
どれだけ素晴らしいかということ、、、

そのおかげで今の
三浦太鼓店あること、、、

たくさんのお客様に喜んでいただえけてきたこと。

思いのたけを綴って、
そしてぜひ一度、

直接会って
お礼が言いたい。

これまでの感謝の気持ちを
とにかく伝えたくって言葉にならないほどの
想いをお手紙に綴りました。


その時、
私の書いた手紙に対していただいた
五十嵐さんからのお返事がこちらです。

五十嵐さんからのお便り


————————————
このたびは、私の作った太鼓の「胴」を
喜んでいただき、お手紙を読んで
とてもうれしかったです。

26日からは仕事で
県外に出張してしまうので
それまでに来ていただけましたら
たすかります。

暑さも次第に和らいでくるでしょうが
なにとぞご自愛なさいますよう
お祈り申し上げます。

2015年8月五十嵐修
———————————


これで、
ようやくご本人に会えるんだ。

かくして、2015年夏
運命の秋田への旅路が始まりました。

第一章終わり。
第二章へとつづく、、、


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