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透明無題日常劇場

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これは日記。すなわち、透明無題の日常を綴る一個の人間の、魂の軌跡、生命の神秘、宇宙的エロスの三文芝居。
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#詩

透明日記「いと丸き屁のような詩」 2024/06/22

透明日記「いと丸き屁のような詩」 2024/06/22

「エビ」
エビのかたち、意味わからん
ちょっとキモい電車みたい
乗りたい

あっ、後ろに動くんか
なんか思ったの違う
ますます 乗りたい

乗りたい乗りたい乗りたい

「光あれ」
光る生き物もいるというのに
なぜおれのからだは光らないのだ

言葉で好きと言うよりも
からだが光った方がおもしろいじゃないか

「豪遊日記」
お昼過ぎ、すごそうな人と会った

おでげすは光の速度で走れるでげすよ
こちらで

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透明日記「軽いからだの欠片」〜小説か詩〜 2024/06/18

透明日記「軽いからだの欠片」〜小説か詩〜 2024/06/18

朝起きると、からだが軽くって仕方ない。布団からトイレまで、猿になって跳ねた。ひょー、うひゃーという気持ちが顔中にあふれ、股を開いて金色の虹を出す。虹には虹の重さがある。からだはどんどん軽くなる。

トイレのドアノブを回すと、からだの方が回った。左足で壁を押さえ、ドアノブを回す。からだが軽い。ドアの隙間から気流が入る。目をつむってトイレから出る。玄関が広く感じ、爽やかな風が脳みそを洗う。

目を開け

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透明日記「詩を書く」 2024/04/22

透明日記「詩を書く」 2024/04/22

詩を書く。

「信号待ち」
自転車が信号を待つ
じじいがタバコに火をつける
子どもは母と手をつなぐ

車が通り過ぎ
車が通り過ぎ
車が通り過ぎる

ぼやけた雲が街をおおう
交差点は色を失い
灰色の風景がわたしをこまかく切り裂く

一滴の血さえ噴き上げず
肉片のわたしはアスファルトに染み
路上の小さな突起となった

「女のうどん」
初対面のさびしい女が
かしこそうな教科書を肘で揉み
細切りにしてうど

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透明日記「夜中に本、昼間に詩」 2024/04/10

透明日記「夜中に本、昼間に詩」 2024/04/10

春風に
ねじれた天パ
アムロ・レイ

きのうは眠れなかった。身体は燃えて思念は巡り、暗闇の床から笑いが漏れた。心はぽっかり晴れわたり、ふくらんだ空気が胸のうちに響いてうるさく、目が冴える。目は冴えるものの、暗い部屋で特にしたいこともない。

部屋にぼんやりと灯りを点ける。就寝を諦めて目覚めたときの部屋はとても静かで、自分の存在が部屋に合わない異分子のように感じられる。部屋が自分を追い出したがってい

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透明日記「冬の夜中に真夏の昼を」 2023/12/23

透明日記「冬の夜中に真夏の昼を」 2023/12/23

「冬の夜中に真夏の昼を」

骨まで的屋になった男がひとり
ありし日の面影は影さえ留めず
テキーラ呑んで路上に溶ける
冬の夜空に燃えるのは アモーレ アモーレ

的屋の男の少年時代
少年の家のテーブルに乗って
唯一無二の友人が 回った回った
大の字になってテーブルで 回った回った
夏休みの中心が 回った回った

いつかの過去の夏休み
回転し続ける友人
路上に溶ける的屋の現在

的屋は友人にキスをした

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透明日記「賑やかな詩」「灰皿」 2023/12/21

透明日記「賑やかな詩」「灰皿」 2023/12/21

「賑やかな詩」
すみやかに賑やかになれ
すみやかに賑やかになれ
隅田さんにこれ届けてほしい
隅田さんにこれ届けてほしい

渡辺さんにもゆうといてほしい
綿菓子食うようなガキ、連れてくるな。と
渡辺さんにもゆうといてほしい
綿菓子食うようなガキ、連れてくるな。と

村田くん、これどうなった?
すす すみません すすんでいません
村田くん、これどうなった?
すすみません 右折もムリです すみません す

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透明日記「絢爛の瞬き(またたき)」 2023/10/02

透明日記「絢爛の瞬き(またたき)」 2023/10/02

詩を書いた。

「絢爛の瞬き」

色ガラス
擦り切れる季節
風景は舞う

イノチ錯落と散り果てるは
絢爛の瞬き

日射し照る手摺より眩しき仮初の
雀のまばたきに酔ろう
絢爛の瞬き

惰性に塗れ、煙
化する心疾く流れ空転の
歯車に惑う褪色の瞳もて
絢爛の瞬き

移ろう人の人混みに
漂い透ける鈍色の
夜の穴倉虚ろなる風の声夢む
絢爛の瞬き

透明日記「宗教を思う」 2023/08/27

透明日記「宗教を思う」 2023/08/27

プログラミングの勉強の合間にふと、宗教について考えた。

昔、「神は死んだ」と聞いた。しかし、現実の社会を見るにつけ、神に何らんかの力が働いたのだろうが、死んではいないとも感じる。たぶん、神は砕かれたのだ。砕かれ散った神の肉片は新たな神々が生まれる下地となり、人間を支配している。

拝金主義が神となり、効率主義が神となり、ヒューマニズムが、ナショナリズムが、長生きが、無農薬野菜が、神となる。あらゆ

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透明日記「雷の町」 2023/08/26

透明日記「雷の町」 2023/08/26

朝から耳が痒くて綿棒でほじると、奥の方で膿が出てた。前日にほじりすぎるとたまに出る。これが出ると痒くてほじり甲斐はあるが、程々にする。程々にしなければ、バイ菌が脳に行って人を殺すという。数年前に海外で死んだ人があった。それでも私はほじり続ける。リスクがあるとて、止めれるわけではない。

ただ、昔に一回だけ起きていられないほど、耳がジンジンしたことがあった。耳だけでなく、頭半分ジンジンした。目も開け

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透明無題日常劇場 2023/08/03

透明無題日常劇場 2023/08/03

 はて、何を書いたら心は癒えるのだろうか。

 別れの電話から三週間経った。彼女に振られたのであった。電話の向こうからの、「もっと私に興味持ってよ」と、「無職の人間を通しては二人の未来が見えない」とが、私の身体を穴だらけにした。
 一年間の無職のあいだ、坂口安吾安吾全集を読み、哲学史や日本史をなぞり、切り絵をし、お昼に「ぼのぼの」を観、アクリル絵の具で絵を描いたりして呆けていた。就職と収入の目処は

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