くじら

いつもご機嫌でいたい。

くじら

いつもご機嫌でいたい。

最近の記事

答えをずっと探している。

自分の人生を自分でコントロールしているという感覚がずっとなかった。そんな感覚が存在していること自体,知らなかった。 テレビやインターネット上では宗教二世やヤングケアラーについての特集を目にすることが多くなった。その特集の最後,10代の少女がこういった。 「将来は人のためになる仕事に就きたいです」 美談のように締め括られたその特集を見終わった後,鼓動が早まり、うまく息が吸えなくなった。フラッシュバックだった。 数年前に通院していた心療内科を卒業して,穏やかに過ごしている

    • Behind a cigarette

      その日は出張で東京に赴いた。 仕事後の会食を終え、二次会への参加をひらりとかわした。特に予定はなかったけれどビジネスホテルへは向かわず、あてもなく渋谷を歩いた。田舎ではすでに終電が終わっている時間だが街は煌々と明るく、人で溢れかえっていた。 今日という日が惜しくて眠りたくないと言うことは、昔からよくある。 ※ 小さなライブハウスの前に、女の子が数人並んでいた。聞くとこれからライブがあるのだという。時間は24時。この時間から?と言う愚問を飲み込んだ。 「超かっこいいで

      • 私の住みたい町は「誰も取り残されない町」

        私の理想の未来#暮らしたい未来のまち 私は歳を取っても今と同じように生活したい。 人生100年時代である。100歳になっても美味しいものを食べに行きたいし、お洒落だってしたい。美しい山や海に出かけたい。沢山の趣味を持ちたい。活気あふれる商店街にフラリと出かけて、色んなお話しがしたい。そこには若者達や国内外からの観光客がいて、それぞれの知っていることを教えてもらったり、教えたりしたい。子供達のにぎやかな声に囲まれていたいし、生まれてくる新しい命を町中でお祝いしたい。苦手な事

        • 眠りを呼ぶ、私を取り戻す。

          昨夜あれほど煌々と輝いていた月が、今夜はその形をすっぽりと雲に隠している。今日は少し欠けた月が見たかった。 完璧なものは怖い。不完全である事を責められている気分になるから。 田舎の夜は闇が深い。しんと静まり返った闇の中で、虫たちの声だけが響いている。 夜に考え事をしてはいけないというのは、経験上かなり正しい。 感情が暴れている。こんな夜は思考や言葉が尖っていく。優しい文書を書きたいと思いながら、表に出すには憚られるような言葉が私の中にはいくつもある。そういう自分を、未だ

        答えをずっと探している。

          着飾る事は自分自身を愛おしいと思うための手段。

          人生初のネイルをしてきた。33歳にして、初ネイルである。 見て。これ。可愛いでしょう。 普段は少しだけお堅い仕事をしているからネイルはご法度なんだけれど、今は育児休業中。憧れのネイルを施してもらった。ほんの、つい先ほどである。 お気づきの通り私の爪はかなり短く小さい。爪の根元のダメージが強くて、強い爪が育ちにくい。形も歪だ。ネイリストさんがきれいに施してくれたおかげでとても美しいけれど、素の爪の表面はガタガタの二枚爪なのだ。 ※ 幼い頃から咬爪症だった。文字通り、爪

          着飾る事は自分自身を愛おしいと思うための手段。

          私を変えた、推しの話。

          中学生の時、マイケルジャクソンに夢中になった。 先に言っておくけれど、彼のスキャンダラスな話題や疑惑についての私の考えをここで言及したり議論するつもりはない。 まぁとにかく、私の推しと、それに纏わる話を聞いてくれ。 私の生まれた年(1987年)に行われた彼の来日公演、“BAD TOUR-Live in Yokohama”のVHSを両親の部屋の棚の奥から発掘したのが、中学生の夏休み。テレビ放送されたものを両親が録画していたものだった。ほこりをかぶったそれを興味本位でビデオ

          私を変えた、推しの話。

          ジェンガに追い詰められていたので掘り下げてみたら奥深いおもちゃだった。

          この二週間、明けても暮れてもジェンガをしています。「ジェンガしよう!」で起こされ、すぐジェンガ、保育園登園前にジェンガ、帰宅後、登園バックを投げ捨ててスライディング気味にジェンガ、夕飯後ジェンガ、就寝直前までジェンガ。休みの日もジェンガ。 ジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェンガジェン

          ジェンガに追い詰められていたので掘り下げてみたら奥深いおもちゃだった。

          その一品の向こう側。

          毎年枝豆をアホほど食べる。 枝豆の産地に家を構えているので、放っておくといつまでも食べる。あればあるだけ食べる。夏の冷凍庫にはフリーザパック入りの枝豆が所狭しと並ぶのだけれど、それもあっという間に無くなる。なんなら解凍してから食卓に出すまでの間に1/3くらい減っている。 スーパーには枝豆がわんさか入った大袋が、一つ98円で売られている。今日も買った。 下拵えはサヤの両端をハサミで切り取る所から。両端を切ることで火の通りと塩の馴染みが早くなる。次に枝豆の重量に対して塩1~

          その一品の向こう側。

          私なりの“働き方改革”に挑戦したい。

          思い返せば、ずっとイライラしていたと思う。 働きやすい職場、ママに優しい職場、子連れ出勤、時短勤務、テレワーク、週休三日制、副業推奨、フレックス勤務。慢性的な人員不足、残業削減だけは厳しく要請されるのに減らない業務量。 世の中では所謂“働き方改革”が叫ばれている。 だけど私の職場では何処吹く風といった具合。世間で言われているそれらを間近に感じたことは一度もない。ニュースで盛んに語られているのは、一体どこの世界線のことだろう。 世の中には自分らしく格好いい働き方をしている

          私なりの“働き方改革”に挑戦したい。

          私という輪郭を明確にしてくれる小説/吉本ばなな「キッチン」

          揚げ物をしている時の、次々に浮かんでは消えていく小さな泡と、カラカラという小気味いい規則的な音。微塵切りの爽快感。洗い終わった後に並べられている皿達の秩序。そういうものを五感を駆使して体内に摂取すると、気持ちが落ち着いてくる。ピカピカに磨きあげたコンロやシンクを見ると、私自身の存在を許されたような安心感を感じる。 私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う。 そういうわけなので、みかげが台所が一番好きな場所だと語るこの一文から始まる物語が私の心を一瞬で掴んだのは、必然だ

          私という輪郭を明確にしてくれる小説/吉本ばなな「キッチン」

          食べられないトマトを育てる夫、それから愛するという事

          トマトが食べられない夫は、それなのに夏になると庭の一角で、せっせとトマトを育てる。 トマトは私の大好物だからだ。 恥ずかしげもなく言うけど、これは惚気。 トマトは愛なのだ。 今年のトマトもよく成ったので、毎朝息子と夫が収穫する。 「ママのだいすきなトマト、どーぞ」 小さな両手の中に目いっぱいの真っ赤なトマト。長男の手から零れて床に転がったトマトを、次男がズリズリと追いかける。 グラグラと沸騰した鍋の中で跳ねているトマトを、頃合いを見て今度は氷水につける。皮の先端が捲

          食べられないトマトを育てる夫、それから愛するという事

          ロックンロール イズ ノットデッド

          新型コロナウイルスの影響で、大型フェスが次々と中止になっていく。先日もまた、中止のアナウンスを見聞きした。どこにも何にもぶつけようのない気持ちがぐるぐるしている。好きなもの、場所がじわじわと居場所を奪われていく瞬間をただ見ているのは、真綿で首を絞められるようだ。 ※ 聞きたくないものを聞かないように、イヤホンで耳を塞ぐ。耳から伝わり全身に駆け回る音楽は、鎧のようにいつだって私を外の世界から守ってくれた。平常心を保つためにいつもイヤホンをしていた。当時の私には、聞きたくない

          ロックンロール イズ ノットデッド

          あの日の父に、ごめんなさい

          父は休みの日になると、散歩がてら私を近くのコンビニに連れ出した。そこで父は決まってとびきり甘い缶コーヒーを買って、私にはお菓子を選ばせてくれた。父が吐き出すたばこの煙にコーヒーの甘い匂いが混じって、私もその飲み物が欲しいとねだった。「もう少し大人になってから」と制しながら、父は煙が私にかからないように距離を取った。そんな父を見ながら、パッケージにフルーツの絵が描いてある風船ガムを少しずつ食べた。その時間は早起きが得意な私の特権だった。幼少期の一番古くて、楽しい記憶。 ※

          あの日の父に、ごめんなさい

          ガパオライスとせっかちな友人

          ガパオライスを作った。 玉ねぎ、ピーマン、パプリカをみじん切りにして、ひき肉と炒める。長男と夫はナンプラーが苦手なので、鶏がらの素とオイスターソースで味付けする。でもナンプラーが入ってないとガパオライスっぽくならないから、ちょっとだけ入れる。 切り干し大根とジャガイモとウインナーをじっくり煮込んでスープにした。 刻んだり煮たり揚げたりしていると元気になる。 だから、こんがらがった頭の中を整理したい時は、いつもよりちょっとだけ手の込んだ料理をする事にしている。私が悩んだとき

          ガパオライスとせっかちな友人

          「許せない」という気持ちを知った息子へ。

          生きている色んな複雑な感情に出会う。それは年齢を重ね、経験を積むにつれて増えていくし、扱いの難易度が上がっていく。 4歳の長男は最近、「許せない」という感情を覚えたと思う。 保育園での帰り道、お友達との楽しいやり取りのエピソードに混じって、「〇〇ちゃんがいじわるしてきていやだった」「いっしょにあそぶのいやだな」というような事を話す事がある。子供同士のやり取りだ。園の先生からもトラブルの報告もない。頻度も多くないし、次の日には仲良く大笑いしているから、全く深刻な状況ではないの

          「許せない」という気持ちを知った息子へ。

          海と親友と釜揚げしらす

          生まれ育った街には海がなかった。結婚して越してきた街には海があって、子供が産まれてから、特にそれが身近になった。車で15分ほどの海に出かけて子供たちと遊びながら想い出す。かつて親友と3人で旅行に出かけた、湘南旅行で立ち寄った海の事。 ※ 職場で取得できる3日間の夏休みを使い切って出かける旅行は私達3人の毎年の恒例行事で、湘南に出向いたのは4回目の旅行だった。 風が違う、と思った。肌に纏わりつく柔らかい汐風は、冷たくて鋭い日本海のそれと全く違っていて、生暖かくて優しかった。

          海と親友と釜揚げしらす