松井 宏岳 -アスレティックトレーナーの備忘録-

●日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー ● NASM-PES ● JATI-…

松井 宏岳 -アスレティックトレーナーの備忘録-

●日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー ● NASM-PES ● JATI-ATI ● フリーランス 現場と臨床で感じることをつらつらと。 #トレーニング #コンディショニング #アスリハ #ケア 野球・サッカー・アメフト

最近の記事

下肢傷害と方向転換について part1

スポーツにおける方向転換時に下肢への負荷がとても高いことは言うまでもないことであり  同局面は傷害の発生率も高いことが分かっている そのなかでもACL損傷を含む膝関節捻挫は多くみられ複数の軟部組織を一度に損傷し、重症度によっては競技復帰に長期を有する場合もある 膝関節捻挫の予防・防止を念頭においた働きかけは多くのスポーツチームで取り組まれているが、「方向転換スキル向上へのアプローチ」以外となるアプローチでは方向転換時の膝関節への負荷を減らすことには貢献しがたいとする以下

    • 私のアスリハ -肩関節外傷- Part2

      Part1はこちら 前回は固有感覚刺激と回旋筋腱板へのアプローチに関して話しました 次にポイントとしているのは「肩甲帯」としての安定性です 急性の負傷でも慢性の痛みにしても要因となるのは肩甲上腕関節だけでなく、胸郭や体幹部との関係性の破綻によるものが大きいと思われます 上腕骨の位置に応じて肩甲骨が追従してポジショニングできることは重要であり各ポジションでしっかり筋が活動し全体として安定していることが肩甲上腕関節や特定箇所への過負荷を防ぐことに繋がると思われます とな

      • 私のアスリハ -足関節捻挫 - part2

        part1では主に荷重制限があったり、足関節を積極的に動かすのが難しいフェーズでのアプローチを中心に書きましたが、今回は炎症も軽減され少しずつ患部である足関節の運動を行っていく時期にフォーカスした内容にしたいと思います。 フェーズのテーマとしては可動域の獲得、固有感覚刺激の入力、患部周囲筋の活性化などが中心になるかと思います。 まず可動域の獲得に関してですが、背屈制限が発生するケースが多くそれが残存するままスポーツ復帰することで再発や別部位の傷害1に繋がってしまうことも少

        • 私のアスリハ - 足関節捻挫 - Part1

          足関節捻挫は競技問わず頻発するスポーツ外傷かと思います。 十分な回復が得られないまま復帰することが現在でも多く見受けられ、 ジュニア・シニア問わず再発、後遺症や他部位への影響に悩んでいるアスリートは多いのではないでしょうか 今回足関節捻挫を受傷した選手へのアスレティックリハビリテーションで私が重要視しているものを中心にシェアしていきます 初期段階においては状態によりますが、「免荷」や「荷重制限」が伴うケースがあります その期間に患部へ積極的に負荷を加えていくのは難し

          私のアスリハ -肩関節外傷- Part1

          肩関節外傷のアスリハで私が注意していることやコンセプトについてお話ししたいと思います。少しでも参考になれば幸いです。 スポーツにおける肩関節外傷にはいくつかあり ・腱板損傷 ・肩甲上腕関節前方脱臼 ・肩鎖関節捻挫 などが頻度が高い上位ではないでしょうか。 可動域に制限がある場合はそれの改善を優先しつつ、初期段階で取り組まれる多くはローテータカフの活動性改善と固有感覚刺激を入れることではないでしょうか。 前方脱臼受傷後、手術後や関節の動揺性が残存する場合は固有感覚の低下が

          内的注意と外的注意 -Part2-

          Part1はこちら 次に内的注意(Internal Focus、以下IF)の臨床的な活用について考えてみたいと思います。 多くのリサーチでは運動の転移やスポーツパフォーマンスへの影響から運動指導やコーチングに外的注意(External Focus、以下EF)を用いることを推奨するものが多いのですが、それはあくまでEFによる効果が必要なケースとなります。 Part1で紹介したように同じ課題におけるIFとEFを比較した場合、EFが運動の質やパフォーマンスをより向上させたとい

          内的注意と外的注意 -Part1-

          Part2はこちら 数年前から運動指導において注目されてきた 内的注意(Internal Focus、以下IF)と外的注意(External Focus、以下EF) その二つの臨床への応用を自分なりにまとめます。 まず一般的な定義ですが、Jason Vance (https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/?term=Vance+J&cauthor_id=15695233) やGabriele Wulf (https://pubmed.ncbi.n

          足部の「ケア」

          先日2月10日は「フットケアの日」とテレビでみました。 現代の生活様式は座位の時間が長く、裸足になる機会も少ない。 また季節的にも冷えを抑えるために分厚い生地の靴下で覆われており、なかなか刺激が入りづらいのが足。 ケアとなると一般的にはほぐしたり、揉んだりといったイメージですが、「刺激」という観点で足部のケアについて考えようと思います。 足部はもともと固有受容器が多く、身体に対する刺激の入り口としての役割が大きい。 実際足部への刺激が姿勢制御に影響するといったリサー

          ACL(前十字靭帯)と認知機能

          ACL再建からの競技復帰には膝関節伸展筋力やKTPなどの動揺性の計量、Hop testの健患差が用いられてきました そういった「ある程度の目安」がある中で再断裂のケースは後を絶ちません 上記の検査が意味を持たないわけではなく、スポーツ復帰に対して単純に必要十分ではない可能性があります そこを埋める一端であるかもしれない"認知機能"についての個人的な考察を↓ その人がもつ認知能力と運動時の力学的な関係は以前から注目されており、傷害との関連についての研究はいくつかみられ、

          中殿筋と膝関節

          Knee-in=股関節内旋・内転 それが危ないので股関節外旋・外転へ導く筋を働かせるワークを。 理にかなっているようで少し短絡的なアプローチを駆け出しのころは熟考せずに実施していた。 それに関して現在の考えを↓ そもそもその筋が働いていないと、その肢位をとってしまい、膝関節の靭帯に負荷をかけてしまうのか? 併せて現場での私見としては該当筋のアクティベーションをして片脚SQやジャンプの接地に大きな影響が少なく、次回セッション時には元通りというケースが多い(本人が意識し