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私のアスリハ -足関節捻挫 - part2

part1では主に荷重制限があったり、足関節を積極的に動かすのが難しいフェーズでのアプローチを中心に書きましたが、今回は炎症も軽減され少しずつ患部である足関節の運動を行っていく時期にフォーカスした内容にしたいと思います。

フェーズのテーマとしては可動域の獲得、固有感覚刺激の入力、患部周囲筋の活性化などが中心になるかと思います。

まず可動域の獲得に関してですが、背屈制限が発生するケースが多くそれが残存するままスポーツ復帰することで再発や別部位の傷害1に繋がってしまうことも少なくないでしょう

背屈制限で私が確認するポイントは                  ①長母趾屈筋
②Kager's fat pad          
③伸筋支帯 
④立方骨の変位 
⑤腓骨(外果)の変位 
⑥脛腓間の骨間膜 

①~③は背屈時の距骨後方移動を妨げる要素で、④⑤は距腿関節の位置関係を崩すもの、⑥は背屈時の脛腓間の離開を妨げるものです。他にも背屈制限を起こす要因はあるかと思いますがスポーツ外傷によるものはまずこの6つを確認し、該当する場合はそこにアプローチ→モビリティエクササイズの順序をとります。

用いるモビリティエクササイズをいくつか紹介します

これはボールを踵骨で押し込むようにすることで背屈を促すものですが、距腿関節の背屈を足趾伸展で代償するケースも多くみられ、「足の指を使わないように」という口頭指示でも上手くいかないケースでよく用います

こちらは徒手介入や別のエクササイズで背屈可動域が改善したのちに用いるものですが、背屈の最終域で筋収縮を行いその角度での位置覚など固有受容器を刺激する狙いがあります。

次に患部周囲筋の活性に関しては収縮しづらくなっている筋を徒手的にチェックしてのちにその筋に対して働きかけるというベーシックな流れにはなりますが、負荷をかけていく以前に「制御下」にないポジションを探すようにしています。


動画のようなワークでは動作の一連において均等なスピードで扱えないところや角度が出てきます(スキップしたり、大きくラインからはみ出る)。その位置では神経筋として制御下にないことを示し、筋力が回復したり痛みなく実施できる動作が増えていっても関節がその位置になった際に再負傷のリスクが高いと言えると思います。

そのため予め広い可動範囲全域においてできるだけ制御できない位置がないかをチェックしたのちに負荷を加えていくようにしています。

状況や取り組む時期にもよりますが、足関節では筋活動を促すエクササイズもできるだけCKCで行うようにしています。

動画の1:13くらいからは底背屈角度も変化させています。これも同様に底背屈の角度が変化すると内反・外反の制動に変化がでます。発生頻度の高いATFL損傷などはより底屈位で発生しやすいとも言われますが2、特に制動できない角度があるとそれも再負傷や他部位の傷害要因となるため、全範囲においてしっかりバンドに抵抗することをテーマに実施してもらいます。

特に内反捻挫後やCAIを有する選手は腓骨筋群の機能低下が見られ、それに関するリサーチも多く存在します(筋力低下3-5、筋反応遅延6-8)

また長腓骨筋の活動は横アーチの保持や安定に寄与する(9,10)ため、足部アライメントの変位への関連も含め長腓骨筋がしっかり働くかをチェックすることや活動を促すアプローチは必要だと感じます


あんkぇ1

1.Backman, Ludvig J., and Patrik Danielson. "Low range of ankle dorsiflexion predisposes for patellar tendinopathy in junior elite basketball players: a 1-year prospective study." The American journal of sports medicine 39.12 (2011): 2626-2633.

2.Purevsuren, Tserenchimed, et al. "Influence of ankle joint plantarflexion and dorsiflexion on lateral ankle sprain: A computational study." Proceedings of the Institution of Mechanical Engineers, Part H: Journal of Engineering in Medicine 232.5 (2018): 458-467.

3.Tropp, H. "Pronator muscle weakness in functional instability of the ankle joint." International journal of sports medicine 7.05 (1986): 291-294.

4.Wilkerson, Gary B., Jase J. Pinerola, and Robert W. Caturano. "Invertor vs. evertor peak torque and power deficiencies associated with lateral ankle ligament injury." Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy 26.2 (1997): 78-86.

5.Willems, Tine, et al. "Proprioception and muscle strength in subjects with a history of ankle sprains and chronic instability." Journal of athletic training 37.4 (2002): 487.

6.Mitchell, Andrew, et al. "Biomechanics of ankle instability. Part 1: Reaction time to simulated ankle sprain." Medicine and science in sports and exercise 40.8 (2008): 1515-1521.

7.Konradsen, L., and J. Bohsen Ravn. "Prolonged peroneal reaction time in ankle instability." International journal of sports medicine 12.03 (1991): 290-292.

8.Löfvenberg, Richard, et al. "Prolonged reaction time in patients with chronic lateral instability of the ankle." The American journal of sports medicine 23.4 (1995): 414-417.

9.Czerniecki, Joseph M. "Foot and ankle biomechanics in walking and running. A review." American journal of physical medicine & rehabilitation 67.6 (1988): 246-252.

10.Johnson, Cherie H., and Jeffrey C. Christensen. "Biomechanics of the first ray part I. The effects of peroneus longus function: A three-dimensional kinematic study on a cadaver model." The Journal of foot and ankle surgery 38.5 (1999): 313-321.


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A&P -アスレティックトレーナーと理学療法士の現場臨床備忘録-
アスレティックトレーナーと理学療法士の二人です。 ●日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー / NASM-PES / JATI-ATI / フリーランス ●認定理学療法士 / NASM-PES / 大学病院勤務 現場と臨床で感じることをつらつらと。