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私のアスリハ -肩関節外傷- Part1

肩関節外傷のアスリハで私が注意していることやコンセプトについてお話ししたいと思います。少しでも参考になれば幸いです。

スポーツにおける肩関節外傷にはいくつかあり
・腱板損傷 ・肩甲上腕関節前方脱臼 ・肩鎖関節捻挫 などが頻度が高い上位ではないでしょうか。

可動域に制限がある場合はそれの改善を優先しつつ、初期段階で取り組まれる多くはローテータカフの活動性改善と固有感覚刺激を入れることではないでしょうか。

前方脱臼受傷後、手術後や関節の動揺性が残存する場合は固有感覚の低下が多くのケースでみられるといわれており(1-4)、再受傷や肩峰下インピンジメントなどの後発症状につながる恐れがあります。

初期段階からこれらに取り組んでおくことは大きな臨床的意義があるでしょう。

ローテータカフの活動性を初期に改善しておくことは、段階が進みよりダイナミックな肩関節の運動を行ったり、衝撃を干渉するようなタスクが加わってきた際に関節を安定させ表層筋群の活動を円滑にするためにも重要です

ただし、ローテータカフ訓練の代表格であるEmpty can / Full can Exsや上腕骨の内外旋を伴うものは実施中に骨頭中心がずれないこと(求心位)や上腕骨と肩甲骨の関係性を適切に保てることでその恩恵を受けることができると思われます


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実際にこれらのエクササイズは深層筋を活動させますが、それと同様に表層の筋群も活動させ(5)、選択的に深層筋を働かせたい初期段階に適切かどうかは微妙なところです。

まずは上腕骨と肩甲骨の整合性を制御できるような課題を中心に実施することや関節運動をより小さくすることで深層筋を選択的に活動させられるエクササイズを選ぶのが望ましいのではないでしょうか?

上腕骨と肩甲骨の位置関係を学習するのにはClosed chainでのこのようなExsが向いているかもしれません。荷重量を増やすことでプログレッションにもなります。

上腕骨と肩甲骨の整合性を保ちながら、骨頭に対して微細な動揺を与えることでローテータカフを刺激することができるのではないでしょうか。この動画の場合肩甲骨の挙上を抑制するためにボールに上腕骨軸の圧力を少し加え、それに伴う肩甲骨外転と少しの上方回旋を保持する必要があり、それを様々な角度で再現する必要があります。

投手などオーバーヘッド動作の多い選手によく用いられるこちらのエクササイズも初期段階ではおススメです。

今回紹介した3つの動画のエクササイズは実施者が慣れるまで、あるいはある程度の安定性が保たれ本人の努力量(震えたり、力んでいる様子)が減ってきたら上腕骨周辺を視覚外においたり閉眼状態で実施することで位置覚などの固有感覚により働きかけることができ、投球時や手を地面に接地する、相手選手にタックルするなどの状況を再現することにも役立てられるのではないでしょうか。


(引用)                              1. Smith, Richard L., and John Brunolli. "Shoulder kinesthesia after anterior glenohumeral joint dislocation." Physical therapy 69.2 (1989): 106-112.

2. Zuckerman, Joseph D., et al. "The effect of instability and subsequent anterior shoulder repair on proprioceptive ability." Journal of shoulder and elbow surgery 12.2 (2003): 105-109.

3. Blasier, R. B., J. E. Carpenter, and L. J. Huston. "Shoulder proprioception. Effect of joint laxity, joint position, and direction of motion." Orthopaedic review 23.1 (1994): 45-50.

4. Lephart, Scott M., et al. "Proprioception of the shoulder joint in healthy, unstable, and surgically repaired shoulders." Journal of shoulder and elbow surgery 3.6 (1994): 371-380.

5.Reinold, Michael M., et al. "Electromyographic analysis of the rotator cuff and deltoid musculature during common shoulder external rotation exercises." Journal of orthopaedic & sports physical therapy 34.7 (2004): 385-394.



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