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太宰治について 私見 「走れメロス」 「人間失格」についてなど

今日は太宰治の誕生日、そして愛人と心中した日なので少し…
太宰治で
私の好きなのは

1「女生徒」
2「きりぎりす」
3「駆け込み訴え」
4「桜桃」
ですかね…他にもいくつか読みましたが…

「トカトントン」は、まぁ印象には残りました。



「走れメロス」

は、原作が昔にあるらしく
それを太宰治が書くと…



「何なんだ…この主人公は?これを読んでどこが感動物語なのか?」
と思いますがより面白いともいえる。
だってメロスが王の横暴さに怒り、テロのような事をしかけて捕まりタヒ刑になる寸前に

自分の親友セリヌンティウスをここに置いておく
俺は妹の結婚をさせてからここに戻って来る。
時間までに戻らなければ…
親友はタヒぬという約束で走る話しですよ。

妹は結婚の予定も無く、走って帰ってきた兄にいきなり結婚をさせられて
「あ〜良かった〜」とメロスは勝手に思いまた帰るんですが
途中でなんか帰る事に迷いますからね。

自分で親友を王に預けて置きながら…
親友が偉いよ。
追記∶こんな行き当たりばったりな男、メロスとずっと友達だった真面目であろう友達が偉いのです。
「あいつの事だから帰って来ないかもしれない。そうしたら俺がタヒぬ事になるんだ。なんで何もしていない俺がこんな目に合わないといけないのだろうか?」
と不安になるのも当たり前だと思いました。

あと、冷酷な王がいきなり感動するって
ご都合主義だよなぁと思いました。
冒頭の王についての話しを読むと、自分に批判的な犯罪者に情けをかけそうに無い気がしますから…

そしてメロスはタヒ刑を免れて、最初に王に怒っていた事はケロッと忘れてるし。

例えば、現代だと岸田総理に怒って暴れて
最後には助けられて親友のひとりになった人って感じですかね?

しかもこれを書いた太宰治の状況も旅館の費用を払う払えないで悩んでいた時期だと思いました。

太宰治ってふざけてるんですよ…


↑これよりも前に、宗教的美徳な話であったと思いますが…
メロスが途中で帰るのもうだるいと思うのが太宰治らしい

    ↓↓詳しい説明がありました…

ギリシャ時代の話しをだいぶ前に知ったのです。
確かそれでは間違うことなく勇者の話です。
教科書で感動をさせたいのなら太宰治じゃない方が良いのかもしれない。
ただし人間らしさのある話しを
子供に見せたいのなら
それで合っていますけれどね…

追記の追記∶私見です。
今太宰治が天国?で「あなたの書いた「走れメロス」が、子供達の教本になって感動されてますよ」と知ったら
「えっ?あのちょちょいと書いたやつが?本当に?
俺が書いたあれで?へぇ〜。俺さぁ本当に芥川賞が欲しかったんだけどとれなかったんだよね。勿論賞金目当て。しかしなぁ教科書?皮肉なもんだね」と笑うかもしれません。

別に私は「走れメロス」が駄目な小説だと云っているわけじゃないですよ。ただの美談じゃないし。

だけど太宰治がもっと力の入れた作品はありますし
読んだけど殆ど忘れた笑
「斜陽」や「富嶽百景」、文章の実験をした小説など傑作がたくさんありますからね…

走れメロス - Wikipedia https://ja.m.wikipedia.org/wiki/より

今、漫画になったメロスをいくつか見ましたけど太宰治の小説を美化しすぎていますね。元ネタをやってるのならわかるけど…だいたい、なんで自分がタヒ刑になる時に妹の結婚式に出席したいと思うのよ?

タヒ刑囚のその願いが通るのがおかしい…

あと自分の身代わりに親友を自分で名指しするって何なのよ?
自分が途中で野盗に襲われたらどうするの?
凄い、周りを巻き込んでるなあと思います。
やはりメロスも太宰治に近いのか。
(そういや、ドラマ「闇金ウシジマくん」Season1を観たらメロスみたいな奴がいたな…友達は真面目に働いていただけなのに、あそこまで我慢しなきゃいけないのは可哀想だった…
勿論このドラマのセリヌンティウスの方も太宰治の小説と同じく、とても人が良いという感じでしたね…)



人間失格



「人間失格」という小説が有名すぎて私も勝手に題名や評判で陰鬱なイメージを作り上げていましたけど
いざ読んでみると本当に太宰治はふざけている人間なので、そこが小説に滲み出ていて良かったです。(その部分が人間失格という事ですよね)



葉蔵は、賢い故にこのままじゃやばいと思い
喜劇映画を見て「これだ」と思うのです。
そして学校でおちゃらけていた。
これ、「人間失格」ですよ?
だけど頭は良いわけです。
そして頭の回転が早いだろうから
女にもモテる。

小説だけじゃなく現実でもそうだったんでしょう?
口がうまそうなのは想像がつく。
一時期主義者の運動にかぶれたりしましたが
まじめじゃ無いので挫折しました。
実家が良家で良かったね…
これは「人間失格」でも被る部分。
そして、心中の部分も被ります。
相手の女性はこういう人だったのか知りませんが
自分だけ助かっちゃいます。

「人間失格」の最後の部分が急に最初に繋がり
成る程と思うか、怖くなりますかね…



ちなみに
1の「女学生」は太宰治ファンの女の子の日記からヒントを得たようだ。
というかほとんど真似かな?
だけど最後までユニークな話でした。
おじさんが書いたとはとても思えない。
楽しそうに生きている女生徒のお話し。
最後のひとことが洒落てましたね。

2の「キリギリス」も、そうですね…
文体がやはり女性視点で面白い。
しかも普通とは違った価値観のある女房の話です。
成功していく夫を、堕落者として見る。
そして最後に哀愁がある。


3「駆け込み訴え」は、主人公はあのユダの話で元祖BLでね
相手はイエス・キリストなのでキリスト教の方は怒り心頭かもしれない。
マグダラのマリアへの嫉妬でイエスを売ったという…
ふざけてます。いや、びっくりしました。


4「桜桃」も私は好きです。
世の中の決められた概念を軽くひっくり返してくれる。
これは短編だし、太宰治入門として良いかもしれません。


他にも色々良いのがありましたが…

こんな太宰治だから面白く小説が書ける。
今だとクズ男代表なんだろう。

出る主人公の男もそんな人間ばかりなので面白い。
名作家は破綻者じゃないと駄目かもしれない…と思いました。
奥さんは難儀だったでしょうけれどね…

太宰治と入水自◯をした女性。
太宰治が心中の相手に選んだので奥さんに勝ったと思ったようだ。
真人間には許しがたい奴らって事なんでしょうね。

しかしこういう人間達を知り、
人間って面白いなと思わせてくれる。


根岸吉太郎監督

「人間失格」という映画を観たが
映画としてはこれが↑
太宰治らしくて良かった。

小説も今思い返すと良かったので
好きな太宰治小説
5.「ヴィヨンの妻」です。
できた妻とやはりしょうもない旦那さん(そういう人はみんな太宰治自身に見える。しかし文才の力のためか魅力的にも見える)のお話しです。

追記

今日思い出しましたので付け足し。
6「燈籠」も良かったです。女の猛者が出てきますが
太宰治が書くので生き生きとしている。

7.「ダス・ゲマイネ」今(21日)色々調べていて思い出しました。
読んでいる間は感嘆していたのに忘れていました。
忘れていたという事は好きでは無いのかもしれませんが、これは本当に才能のある方の書いた小説だとその時に思いました。

あと、もう1作不思議な旅話を姪にする?小説も良かったのですがだいぶ前に読んだので題名がわかりません。
知っている人がいたら教えて下さい。
とにかく太宰治は思ったよりも読みやすい
…かと、思うといきなり古文のような小説を書く。
小説によって文章のスタイルを巧みに変えます。
なので1作読んだだけでは太宰治の良さはわかりませんよ…


太宰治 - Wikipedia https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E5%AE%B0%E6%B2%BB
画像はここからです。


最後に、太宰治は
勿論それだけでは無く並々ならぬ才能があった
という事は付け加え無ければ大変ですね。
頭が良く、文才もあった方でした。じゃなきゃ世の中に残りませんよ。


✳加筆修正致しました

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