四次元くずかご

ドラえもん生まれ 日本語ロック育ち 少年漫画的倫理観 生きやすくはない

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『よしもと短歌塾』感想

『よしもと短歌塾』 @シアターモリエール 2024.3.30 12:30開演 ジェロニモさんのイベントはまだ行ってことないんだけど、ずっと気になっていて、今回のよしもと主催の合同イベント(?)に。 めちゃくちゃ笑った上に、短歌の面白さにも溢れてて楽しかった。 ジェロニモさんと村上さんが司会で、短歌のナビゲーション役、他の6人のかたは事前にもらっていたお題に合わせて歌を持ち寄るという、歌会みたいな形式。 短歌歴も完全に初めてのかたから、ずっと作られてるかたまでそれぞれで、その

    • 陶化交感 澤部渡(スカート)&奇妙礼太郎

      @duo MUSIC EXCHANGE 2024.3.12 19:30開演 オールスタンディングと思い込んで行ったら座席ありでほっとする。 開場時刻過ぎてからだけど、ど真ん中後列に座れた。 まずは奇妙礼太郎さん。 初めて生で聴いたけど、やっぱりめちゃくちゃ声がいい。なんというか「ほんとうのことを歌っている」という説得力があるのだ。 だから“産まれたことを悔やむような人生などあり得ない”というストレートなメッセージが心にスッと入ってくる。(『竜の落とし子』) おでんの歌やギ

      • 警察からは感謝状

        こりゃ今日は死ねねえな。 こういうのはタイミングなのだ。また別の機会を待とう。 残念な気持ちはあるけど、それよりも面倒くささが上にくる。懸命になんか喋ってるこのおじさんに、それなりにあたしが死のうとしてた納得のいく理由をでっちあげて、それなりの涙と叫びで愁嘆場を演出して、終生の自慢話にできる自殺阻止の成功体験を与えてあげないといけない。ああ、面倒くせえ。 泣くのは簡単だが(それなりに哀しみはいつも抱えてるし)、後でこのおじさんのおかげで一旦落ち着いたように見せるため感情

        • 動植事典(増補) 1

          ヤミ【やみ】 古来、真っ黒で大きな鼬の姿で描かれることが多いヤミだが、もちろんその正確な姿は誰にもわからない。光を食う(掃除機が塵を吸い込むように食うというが、これも通説にすぎない)ヤミの輪郭を光学的に捉えることは不可能だ。 ヤミの姿で唯一はっきり視認できるのは肛門(あるいはそれに似た排泄器官)である。ヤミは14日と6時間ごとに一度、排泄をする。これは一見その輝きから無数のカットが施されたダイヤモンドのように見えるが、表面は滑らかで完全な球体をしている。直径3〜5㎝ほどのそれ

        『よしもと短歌塾』感想

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        記事

          『無駄な抵抗』観劇感想

          『無駄な抵抗』(前川知大 作・演出) @世田谷パブリックシアター 2023.11.18 13:00開演 (ネタバレあります) まず、列車がすべて通過するようになった駅、という設定がいい。有り得ないが想像するのは容易な状況。抵抗しがたい理不尽、それは世界(ここではこの街)全てを飲み込んでいて、人が一人飛び込んでも止まらない強大で無慈悲な暴力性を持ち、住人側からの反論や抗議は一切届かない。ただ事実だけを告げる同じアナウンス「列車が通過します」が無感情に放送されるだけ。コミュニ

          『無駄な抵抗』観劇感想

          ラグビーはファウルプレーへのアピールも反則とすべき

          やはりこうなってきた。 TMOの“発言権”が増すことで”映像上目立つ“危険なプレーが遡ってペナライズされるケースが激増し、結果として選手たちがファウルプレーを受けたというアピールすることの意味が大きくなってしまっている。 そもそもレフェリーへのアピールという行為はラグビー精神に反するものだと個人的には考えるが、このままではファウルプレーを受けた時のリアクション(表情、上手い倒れ方、など)が一種のスキルとして重要になっていってしまう可能性すらある。 フランス-イタリア戦では前半

          ラグビーはファウルプレーへのアピールも反則とすべき

          『いつぞやは』観劇感想

          『いつぞやは』(加藤拓也 作・演出) @シアタートラム 2023.10.1 14:30開演 (ネタバレあります) 加藤拓也さんのお芝居は初見。友人に勧められてギリギリチケット購入できた。観劇できてよかった。 言いにくいことを言っていない様、言外に何かを伝えている様、言っていることとまるで違うことを考えている様、シンプルに言葉を失っている様。 それらすべてに実在感があって、メタ的な構造の演劇は個人的には苦手なんだけど、話に引き込まれた。 演技も皆上手く、(“下手な芝居”と

          『いつぞやは』観劇感想

          Unbrave call(サモア戦感想)

          Unbrave call あの選択がそのような名前で後世に残らないといいが。 ラグビーワールドカップ、日本ーサモア戦、後半最後の日本のスコアになったPG選択だ。4トライでのBPは取れず、おそらくチリに大勝するであろうアルゼンチンとの最終決戦に、引き分けという選択肢はなくなった。 もちろん勝つべきで勝利だけを目指して試合に臨むべきだが、戦略的に重要なオプションを失ったのは事実だ。  その前にサモア陣ゴール前のモールアンプレアブルでトライチャンスを逃したのが大きいが、その後

          Unbrave call(サモア戦感想)

          ラグビーワールドカップ2023フランス大会展望

          日程の有利不利がなくなり、アイランダーやアルゼンチンに飛躍の予感。 ホームアドバンテージはあったにせよ、日程の不利がなければジャパンが1位通過できるのだ、と見せつけた2019の意義は大きかった(のだと思いたい)。アプセットや意外な苦戦(善戦)が多く見れそうな気がする。 プール戦は初戦と最終戦に、拮抗した相手同士の試合が組まれている。初戦はレフェリーも規順が統一されてなかったりして、ここで無駄なレッドとかもらわないようにするのが大切か。 プールA(予想フランス→NZ) フラン

          ラグビーワールドカップ2023フランス大会展望

          日本代表vs.フィジー代表 ラグビー観戦

          日本代表vs.フィジー代表 @秩父宮ラグビー場 2023.8.5 19:15 K.O. バックスタンド、カテゴリA 2列目メインに向かって右ゴール前付近 齋藤はもう見切るべきということが明らかになった試合だった。 流と比べてテンポが上げられないなら齋藤の意味がない、流が入ってやっとテンポが上がる始末では…。 一回一回のボール捌きで考えすぎなのが外から見ていてもわかる。おそらくメンタルの問題なのではないか。やがて回復する体の怪我とは違うので、見切るべき時がきたのではないか。

          日本代表vs.フィジー代表 ラグビー観戦

          ジャパンXVvs.オールブラックスXV ラグビー観戦

          ジャパンXVvs.オールブラックスXV @秩父宮ラグビー場 2023.7.8. 17:00 K.O. バックスタンド、カテゴリA 3列目ややメインに向かって右より ノンキャップ試合であり、藤井ディレクターが ”「(初戦は)合宿の中の1試合(という感覚)。そんなに調整をせずに、体もきついままで最初の試合を迎える。その後に徐々に試合形式(の準備)に変えていくと思います」“(https://www.nikkansports.com/sports/news/20230524000

          ジャパンXVvs.オールブラックスXV ラグビー観戦

          『人魂を届けに』観劇感想

          『人魂を届けに』(イキウメ) @シアタートラム 2023.6.10. 13:00開演 (ネタバレあります) 久しぶりの新作、という感じ。『外の道』以来かな。 舞台美術が素晴らしい。珍しく一つの場所のみで演じられるのに飽きない。役者さんは言うまでもなく。篠井さんは当て書きかのような役。”母さん“の率直でありながら真意が見えきらない感じがとてもよく伝わってくる。 「発明」的な仕掛けはなく、どちらかと言うとストレートな話だった印象。いい意味でも悪い意味でも、歯切れの悪さがどこか

          『人魂を届けに』観劇感想

          『再生』(ハイバイ)観劇感想

          『再生』(ハイバイ) @池袋芸術劇場シアターイースト 2023.6.4 14:30開演 全く予備知識なく観に行ったので驚いたけど、“2回目”から面白くなってきて、“3回目”の後は“4回目”も観たくなるような、いつまでも続いてほしいような気持ちになった。 以下メモ。 「踊り続けるとはどういうことか」踊り続けよう、というのは簡単だけど、本当に続けるために必要なのは技術と意志とルーティンなのかも。 管理された混沌を観た。それは美しいものだった。 ルーティンから生まれる違いがあ

          『再生』(ハイバイ)観劇感想

          故に人身に宿りて

          見なければよかったと思った時には既に目に入っていたわけで時既に遅く、三郎太は立派に伸びた角を握って、頸をすっぱりと切られた牡鹿の頭部を持ち上げた。重い上に臭う、が仕方ない。札は貼っていなかったが、この時期路上にある鹿の頭はまず間違いなく美津雄社行きの献物と決まっている。そして三郎太は今から三日ほどかけて美津雄の御神域のほど近くにある村落に向かうつもりだったので、黒々とした目に未だ光を宿すように見えるこの頭を社にまでお運びするのは彼の役目となる。見つけてしまったんだから役目は負

          故に人身に宿りて

          世界を変えるための或る一つの特異点をめぐる探索行(1)

          一章 大いなる知と眠れる過去とがファヌスを長きにわたる探索行へ導く 1  農家の四男なのでファヌスの未来に希望はない。もう少し若い頃から家を出てどこかの職人に弟子入りでもしていれば、それなりの道が開けていたかもしれないが、ファヌスは年の離れた長兄に言われるがままに教会に通い、さわり程度の神学や天文学などを学ぶことで、彼の10代の大半を過ごしてしまった。  今思えば、兄貴は最初っから俺を坊主にしようとしていたんだな、とファヌスは振り返る。しかし、自分が信じてもいない神を他人

          世界を変えるための或る一つの特異点をめぐる探索行(1)

          『重要物語』観劇感想

          『重要物語』(作・演出:ブルー&スカイ) @赤坂RED/THEATER 2023.2.2 19:00開演 池谷のぶえさんが真の力を解放するのは、ブルースカイ作・演出の時だと信じて疑わない。もちろん他のお仕事でもその才能を遺憾なく発揮されているが(コケカキイキイを演じられる役者さんは世界に一人だと思う@『ゲゲゲの先生へ』)、やはりこの組み合わせは圧倒的なのだ。演技の引き出しを自在に開けながら、ごく自然に(時には不自然極まりなく)世界をナンセンスにスライドさせてゆく。無駄な動き

          『重要物語』観劇感想