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銀河フェニックス物語<出会い編> 第十九話(4) 恋と伝票の行方

第一話のスタート版
第十九話(1)(2)(3

 パキ星の出張から本社へ帰ったら、回したはずの伝票が戻ってきていた。
 経理の了承が得られないと言う。
 数字のミスはないはずなのに・・・。

 もう一度確認して提出する。嫌な予感がした。

 翌日、ジュディ先輩と廊下ですれ違った。
「おはようございます」
 あいさつしたのだけれど、返事がない。聞こえなかったのだろうか。

 いや、今のは絶対、意図的に無視された。

 わたしは何か、地雷を踏んだに違いない。
 まずい。
 ジュディ先輩は、パキ星第二工場プロジェクトの主要メンバーだ。

 隣の席のベルが噂話を聞いてきた。
「ティリー、ジュディ先輩の話聞いた?」

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「何のこと?」
「ティリーが出張に行ってる間に、レイターが先輩をふったのよ」
「ふったんだ」

 わたしには全く関係ない。
 なのに、声が大きくなってしまった。

「ティリー、やっぱり何か知ってたのね? うれしそうだわ」
 うれしそう? わたしが? ベルの勘違いだ。

「出張前にジュディ先輩がレイターのこと、わたしに聞いてきたのよ。つき合ってる人いるのかって。だから、いないって答えたの。それだけよ」
「ふむふむ。それで、先輩がレイターに告ったところ、レイターが断ったと」

 その時、気がついた。
「ねえ、ベル。経理から嫌がらせを受けてるように感じるんだけど、それって、ジュディ先輩の逆恨みかしら?」

t25セーラームーンスーツ一文字

「逆恨みじゃないわよ。正真正銘の恨みだと思う」
「どうして? わたしは関係ないわ」
「だって、レイターは『俺には好きな人がいるから』って断ったんだって」

 レイターの好きな人って。

「それは、わたしのことじゃなくて『愛しの君』のことだわ」
「でも、ジュディ先輩が『それはティリーのこと?』って聞いたら、レイターは否定しなかったらしいよ」
「は?」

 あの男。絶対許さない。

練習にやりバックなし




 パキ星の第二工場に関する予算会議が、あさっての午後に設定された。
 ここの場で、ダルダさんが第二工場の着工状況について報告する。
 出張の鍬入れ式の報告書は、わたしがまとめた。

 その会議の三十分前に、わたしには別のお客様とのアポイントがすでに入っていた。話が長いお客様だから心配だ。

 ダルダさんに相談した。
「予算会議の前に、お客様の先約が入っているので、冒頭、遅れるかもしれません。配布資料は、出席者に事前送信しておきます」
「ガハハハ、安心してくれ。ティリー君の書いた資料を、俺はもう読み終わった。だから大丈夫だ」

 わたしは、ほっと胸をなでおろした。

 ダルダさんはいつも資料を読まないから、心配していた。
 でも、これで、アシスタントであるわたしの仕事は、終わったも同然だ。

 そして、予算会議当日を迎えた。     (5)へ続く

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ティリー「サポートしていただけたらうれしいです」 レイター「船を維持するにゃ、カネがかかるんだよな」 ティリー「フェニックス号のためじゃないです。この世界を維持するためです」 レイター「なんか、すげぇな……」