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#ライブ配信

「ウィーン・フィル ニューイヤー・コンサート 録音現場潜入レポート」を、別の視点から紐解いてみる

「ウィーン・フィル ニューイヤー・コンサート 録音現場潜入レポート」を、別の視点から紐解いてみる

『季刊・オーディオ アクセサリー』2020 SPRING(176号)に載っているので、是非!

と、記事を書いた渋谷ゆう子さんから(ツイッターでのやりとりの中で)勧められ、買ってしまった(そういえば、発売当初に読んだ気もする)。記事を引用しすぎるのも気がひけるので、記事を読んでいる前提で、私なりの視点をあれこれ示してみたい。

大切なのは「マイクロフォンが邪魔をしない」こと渋谷さん曰く「マイク位置

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マイクロフォン6本で、オーケストラを録る

マイクロフォン6本で、オーケストラを録る

メインのマイクロフォンが2本、

Vn, Va, Vc(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)のあたりに2本、

木管楽器群のあたりに2本。

すべて無指向性。

計6本でオーケストラを録ったときに感じたことのメモ。●ワンポイント(メインのマイクロフォンだけ)でも破綻はしない。

●木管楽器群のマイクロフォンに、金管が時に過剰に飛び込んでくる。音楽バランスが崩れないよう、曲に合わせたフェーダー操作が忙し

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2020 → 2021

2020 → 2021

写真は、コロナ禍の外出自粛時、自転車で出かけた隅田川沿いで撮ったもの……2020年は、私が振り返るまでもなく大転換期だったと思います。私も、会社員からフリーランスに戻る決断をしました。

「“東京” に戻ってきたなら手伝ってよ」

「“東京” に戻ってきたなら録ってくださいよ」

(……数年前に “長野” で起業したのは、過ちだったのかも知れません。でも、当時はそれが最善の選択と思っていたのだから

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録音note寺子屋、はじめます。

録音note寺子屋、はじめます。

2021年1月から、このnote上で録音のための寺子屋を始めることにしました。コロナ禍で、特に音楽家の方々が配信を始められたわけですが、機材選びにしても何から何まで手探りだったことと思います。

検索すれば、「もう専門学校など要らないのではないか」と思える量の情報が転がっていますし、ソフトウェアやアプリなどの使い方などは大体のことが学べますよね。これは、2020年から新たに映像制作を学び始めた私が

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ライブ録音のシステムを組むときに大切なこと

ライブ録音のシステムを組むときに大切なこと

結論から言うと、「シンプル」かつ「直感的に操作できる」ことを大切にしています。

もし複雑な部分があれば、まとめて簡素化しておく。しかしこれとてトラブルがおきれば複雑な部分を紐解くことになるので、複雑さは極力排除したいところです。

……その目的は、

「頭で考えずに身体が反応できる」こと。

例えば、録っている最中にマウスでフェーダーを動かすのは最悪。

だって、マウスでピアノを弾くピアニストは

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“撮る”立場からみたマイクロフォン

2020年から師について(オーケストラを撮れる人は本当に少ないと思います)撮影も始めて、「録る」に加え「撮る」視点を得たのですが、とにかく

マイクロフォンが邪魔

です(笑)。

“録る” 立場からすると、そこにマイクロフォンを置きたいのはわかります……でも、指揮者の顔に被るんじゃーい! とか、固定カメラの前にいつのまにやらマイクスタンドがドーン! とか。

マイクスタンドが邪魔だからといって

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どこで演奏するか 〜 想定された、場の響き

どこで演奏するか 〜 想定された、場の響き

「教会で聞いた賛美歌の響きが忘れられない」という人は多いようで……異国での体験であることに加え「教会の “場の響き” 」もまた異世界であり、そこに神や神聖な存在を感じずにはいられなくなるのだろうか――

さて、場の響き、空間の響きを考慮せずに演奏される機会は、結構な割合で存在する。つまり、「教会でうたわれる想定で書かれた曲を、日本の多目的ホールに持って来ても、本来の響きは得られない」という至極当た

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